フラット35を利用する場合の注意点と商品の特徴

投稿日:2015年5月6日 更新日:

借入時の金利が最後まで適用され、月々の返済額が変わらないことから人気の住宅ローンが「フラット35」です。

 

最初の頃のフラット35は、審査の結果が出るのが遅く、いろいろと使い勝手も悪いため、不動産会社の営業としてお客様に勧めることはあまりありませんでした。

しかし、現在は審査の結果が早く分かり、使い勝手も改善されたので、他のローンと比べても問題ないようになりました。

フラット35とは

フラット35とは、住宅金融支援機構が扱う住宅ローンの一つです。

住宅金融支援機構が金融機関から買い取った住宅ローンを証券化して、投資家へ証券を発行することに特徴がある長期固定型の住宅ローンです。

 

フラット35には、買取型と保証型がありますが、多数を占める買取型を中心に知っていれば問題ないと思います。

フラット35では、まず住宅ローンの利用者が金融機関へフラット35の利用を申込み、金融機関は住宅ローンの債権(お金を返してもらう権利)を住宅金融支援機構に売却します。

そして、住宅金融支援機構は買い取った債権(債券は売却したり譲渡したりできる)を証券化して投資家に発行します。

債権の証券化によってリスクは投資家へ移転し、これにより長期の固定金利が可能となります。

 

民間の住宅ローンは、借り入れる人の職業や勤続年数が審査されますが、フラット35は民間の住宅ローンと比較して審査基準が異なっています。

例えば、勤続年数が1年未満でもフラット35なら審査が通ることもありますが、民間の住宅ローンでは勤続年数が1年未満だとほとんど審査が通りません。

また、民間の住宅ローンは自営業者や派遣労働者等に対する審査が厳しく、所得が多くても審査落ちという事が珍しくありませんが、フラット35であれば審査基準が違うので通ることも多かったりします。

 

フラット35の特徴

・適用される金利が全期間固定

・保証料が不要

・繰り上げ返済の手数料がかからない

・借り換えができる

・団体信用生命保険が強制ではない

・適合住宅でないと利用できない

・融資事務手数料がかかる

・変動金利と比べて金利が高い

・保険に加入できないと民間のローンは利用できないが、フラット35なら利用可能

 

利用の際に注意した方がいいところ

フラット35を利用する際は、他の住宅ローンと違って注意したほうがいいところがあります。

 

フラット35の利用では、融資額が物件の9割以上か9割未満かによって金利が異なるので、フラット35を利用する際は頭金を最低でも1割以上用意したほうがいいかもしれません。

物件によってはフラット35Sというタイプを利用できることがあり、フラット35Sだとさらに金利が下がります。

 

フラット35の適用金利は、申込んだ時ではなくて実際の融資実行のときの水準となります。

 

借り入れ期間によっても金利が変わります。

2015年5月の状況では、返済期間が20年以下かそうでないかで適用金利が0.2%程度違っています。ローン期間20年以下の場合はフラット20になります。

融資の際にかかる融資手数料は金融機関によって異なっています。

 

通常、住宅ローンの利用の際は、債務者(お金を借りて返す人)が無くなった場合に備えて団体信用生命保険へ加入します。

団体信用生命保険に加入していれば、債務者が死亡した場合でも保険金で残りの借金を返済するので、金融機関は借金を回収することができ、また遺族はそのまま住宅に住むことができます。

フラット35では、この団体信用生命保険への加入が任意なので、団体信用生命保険の利用の際は自分で加入する必要があります。

任意であるため、フラット35を利用の際は団体信用生命保険の代わりに生命保険の収入保障保険(一定期間毎月受け取れる生命保険)を利用するといったこともできます。

 

フラット35では、融資の対象となる住宅が住宅金融支援機構の定める基準に適合していることが求められるため適合証明書が必要となります。

他にも、一位の抵当権を設定できること、床面積が一戸建てなら70㎡以上、マンションなら30㎡以上といった条件も満たす必要があります。

 

意外と重要なのが借り入れ可能額が民間のローンより高額になるという点です。

借入可能な金額の計算を適用金利で計算するので、年収が同じなら変動金利の審査よりも借り入れられる金額が多くなるといった特徴があるため、過大に借り過ぎないよう注意が必要です。

 

フラット35の利用要件

 ・申込み時の年齢が70歳未満であること

・日本国籍、永住許可があること

・年間の住宅ローン返済額が年収に占める割合の基準を満たしていること、例えば年収が400万円未満なら30%、400万円以上なら35%

・返済期間が15年以上であること

・借り入れ額が、物件購入価額以内であり、かつ100万円以上8000万円以内であること

・対象不動産に一番抵当権を設定できること

・対象不動産がフラット35が定める適合住宅であること

・一戸建ての場合は床面積が70㎡以上あり、マンションの場合は床面積が30㎡以上あること

 

フラット35の利用は返せる金額で

 現在の日本は、過去最低水準の金利といわれ、他の先進国と比較して突出して住宅ローンの金利が低いです。

住宅ローンの利用実態をみると、金利が低くなっているのでローンを利用しやすくなってはいますが、まだまだ物件ありきで住宅ローンに対する検証がおろそかになりがちです。

住宅ローンの新規利用者の多くが、ローンの返済と子供の教育時期が重なるため、住宅ローンを借り入れ可能な上限額で利用してしまうと将来の家計に大きな影響を与えることになり、最悪の場合はデフォルトとなります。

 

例えば、年収500万円の人が、ローンの返済負担率が35%、金利が1.6%で35年借りたとすると、住宅ローンの借り入れ可能な金額は4600万円程度になります。

もしも、上記条件で借入可能額上限でローンを利用すると毎月の返済額は14万3109円となります。

仮にこの家庭に子供と専業主婦の奥さんがいた場合、教育資金や生活費を考えたら住宅ローンに充てられる月の金額はせいぜい10万円以下でしょう。

老後資金の準備を考えたらもっと下げたほうがいいかもしれません。もっとも実際は奥さんがパートに出ることでカバーすることが多いですが……。

仮に10万円になるよう設定した場合は、住宅ローン利用額は3200万円程度になります。

この1400万円の差は、将来大きく負担となって返ってくるはずです。

 

バブル崩壊から20年以上経っても住宅ローンで破綻する人が減少しないのは住宅ローンの検証をおろそかにしていることが原因といえます。

不動産会社とお客様は、住宅を購入したら関係は終わりですが、住宅ローンは借り入れたときから何十年にもわたって付き合うことになります。

住宅ローンは借り入れ時から教育資金や老後資金等を総合的に見て比較することが大切です。

 

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