土地の境界はもめることが多い|土地の境界トラブルが多い理由とは?

投稿日:2018年12月22日 更新日:

不動産のトラブルで上位に入るのが土地の境界の問題です。

日本の土地は、誰かしらの所有に属するはずですが、一目見て誰の土地であるかは分かりません。

現在住んでいる人がいるからといって、その人がその不動産を所有しているとは限りませんからややこしいのです。

土地は、個人で保有していることがあれば、会社で保有していることもありますし、国や地方自治体が所有していることもあります。

 

相続をきっかけに多くなるのが共有ですが、共有だと一つの土地に所有者が二名以上存在することになります。

共有名義の土地全部を処分するには全員の同意が必要なので、二次、三次と相続が続いて一等地なのに放置されてる土地もあります。

このように不動産自体が分かりにくく複雑であるため、土地の境界にまつわる問題も分かりにくく、結果としてもめるわけです。

不動産を分かりにくくしてるもの

まず、土地の境界でもめる原因の一つが、不動産自体がわかりにくいということです。

不動産は生活にとても身近なものなのに、不動産取引は法律が絡むため分かりにくく、また、不動産価格も不動産業者でない限り、相場が分かりにくいと言われます。

不動産取引では法律用語が飛び交うため、法律に触れたことがない人にとっては難しく感じるようです。また、不動産価格は常に変動しますし、個人対個人の相対取引であるため不動産価格の把握が難しいです。

 

不動産では、建物と土地のそれぞれの所有者が異なることもあります。

外国の中には、建物は土地の従物という扱いになっており、所有者が一緒という国もあります。

しかし、日本の不動産制度では土地と建物は別物という考えですから、これも分かりにくい要因となっています。

 

住所とは別に土地には地番という番号が付けられています。

「住所は1丁目の1-1なのに、地番は1111だけど、どうゆうことか?」なんて質問を受けることもあります。

同じ住所の一つの土地なのに、住所と地番が違うことも不動産を分かりにくくしているのかもしれません。

土地の数え方の単位は、一筆、二筆というように筆が単位で数えるのですが、土地と建物を購入したら土地が5筆だったということもあります。

同じ人の所有権でも、土地を分けたりする(分筆)ことがあれば、別々の土地を合体させる(合筆)することもあるように、そもそも住所と地番は別物です。

似てるから分かりにくくなっているのです。

 

ざっと不動産制度の分かりにくい要因を挙げてみましたが、これらはあくまでも一部にしかすぎず、不動産制度自体が分かりにくいようにできているのかと思うほどです。

 

当事者の認識の違い

ここまで不動産は目に見えないから分かりにくいとか、制度自体が分かりにくいと言いましたが、分かりにくいことは当事者間の認識のずれを生じさせることにもなります。

よくあるのが、Aさんは1-1という1筆の土地が自分の所有だと認識していたら、隣のBさんも自分の所有だと認識していたため、両者が譲らず争うというケースです。

お隣さん同士何十年も仲良くやってきたのに、土地の認識の違いで関係がこじれるといった話は珍しいことではありません。

 

例が多くないかもしれませんが、民法には時効取得というものがあります。

例えば、本当は他人の土地なのに、自分のものと認識して長年使用してきた場合に、本来は所有権がないのですが、法律で所有を認めてしまおうというものです。なかには本来の所有者なのに普段から近所付き合いのある人だったので放っておくこともあるかもしれません。

取得時効によって土地を取得した人と、土地を失った人が今後も良好な関係を築けるかといわれたら……まあ、疑問ですよね。

これも当事者の認識の違いからくるものです。

 

庭を手入れしたとか、外構工事をしたことで、見た目が変わって土地の境界について誤解が生じることもあります。

当初はお互いが正しく認識していたとしても、時間の経過とともに境界の認識がずれてくることもありえるということです。

 

公図も登記も必ずしも正しいとは限らない

公図というのは土地の図面をいい、登記というのは法務局に登録してある不動産の情報です。

公図の歴史は明治時代にさかのぼり、地租改正事業で土地の図面は個人がそれぞれ作成し提出しました。

中には適当に作成したようなものまであったそうなので、昔の公図を信頼することは難しいです。

今でこそ測量技術は大幅に発展し、測量のプロもいますが、今でも技術や機械が進歩することで面積や長さに多少の誤差が生じるということはあります。

 

登記は、建物ごと、地番ごとに番号が付けられており、それぞれの登記を調べれば不動産の所有権に関することや、抵当権といったその不動産の情報を知ることができます。

また、登記簿には不動産の面積が記されています。

公図が信頼できない場合は、登記簿に書いてある面積も信頼できるか怪しいことになります。

このような理由もあって不動産取引では公募売買がよく行われています。

 

不動産取引による誤解

不動産の取引では、公簿売買と実測売買とがあります。

 

公募売買というのは、登記簿の所在、地番、面積に基づいて不動産取引を行うことです。

したがって、例え登記簿上の面積と実際の面積が異なっていても清算は行いません。

 

一方、実測売買は、実際に不動産の面積を測量し、実測面積に基づいて不動産取引を行うことです。

差額は後で清算することになります。

 

東京の一等地などでは、少しの面積の違いで何億円も生じるので、実測売買が行われることが多いようです。

しかし、地方のような土地の値段がそこまで高額でない場合は、測量代金がかかるために公募売買の方が行われます。

 

実際に測量したら少なかった場合は、あまりいい気はしないはずです。こういったことがもめる原因になることもあります。

といっても実際は土地の面積なんて見て分かるものではありませんから、表面化することのほうが少ないかもしれません。

 

土地は高額と認識されている

不動産は一般的に高額です。特に都心の土地は高額です。

上で述べたように東京の一等地では少しの面積の違いが何百、何千万の違いを生じることがあります。

登記簿を信じて購入したのに、実際に測量したら違ったということはあります。

 

土地の境界には、境界標があるのが一般的です。

境界標があれば、普通はそこが境界に間違いないと思いますが、境界標が必ずしも本当の境界であるとは限りません。

お隣さん同士で境界を適当に決めたり、中には勝手に境界を移動する人がいるからです。

境界を確定する場合は、お隣さん同士の話し合いではなくて、境界確定訴訟によるほうがはっきりします。

境界標は、土地の境界を表す重要な目印なので、勝手に移動したり、撤去は禁止されています。

 

 

越境の問題

土地の境界をめぐっては越境の問題もトラブルが生じやすいです。

庭に木を植えていれば、木が伸びて枝が隣地を越えることがあります。また、木は根っこが隣の土地に越境することもあります。

一応、法律では枝については越境している枝を切ってくれと言える決まりがあり、根に関しては勝手に切ることも認められています。

枝に関しては、勝手に切ることが法律で認められていませんので、相手の行動次第ではお隣さん同士がもめることは想定できます。

 

建物をリフォームする場合は、最小限度の範囲で隣地に立ち入ることが認められています。

しかし、いくら法律で認められているからといって、えらそうな態度では、後々のトラブルの種を蒔くことになります。

もしかしたらその時点で殴り合いの喧嘩に発展するかもしれません。

 

まとめ

土地の境界に限らず、不動産はもめやすいです。

・公図が正しいとは限らないこと

・登記が正しいとは限らない→不動産は公信の原則を採っていない

・不動産が分かりにくい

・境界が目に見えない

・不動産が高額であること

・当事者間の誤解

といったことが理由としてあげられますが、これらは一部でしかありません。

 

土地の境界でもめないためには、当たり前だけど普段からの付き合いも大事です。

お互い同士が悪い感情を持つと解決は難しくなります。

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