今から数年前(2019年頃?)、長期間にわたって金利が固定される「フラット35」を使って不動産の投資物件を購入するといった不正が発覚してニュースになりました。
私もフラット35の不正利用が発覚して住宅金融支援機構(フラット35を扱ってる)から一括返済を求められた人の話を聞くこともありました。
一括返済を求められても普通は返済できませんから、こういったケースでは物件を手放すことになります。
住宅ローンの不正利用の多くは不動産業者の主導によるものなので、少しの知識があれば巻き込まれることを防げます。
若者の間で増える投資目的の住宅ローン不正利用
先日もテレビの特集で放映されてましたが、不動産業者が住宅ローンの知識がない若者を対象に積極的に不動産投資を呼びかけ、業者主導で若者がフラット35の不正利用をしてました。
テレビを見てる限りでは、若者はよく分からず業者にいわれるままフラット35の不正利用をした感じでした。
私も会社員時代にお客さんのふりをして何度か不動産投資セミナーに参加したことがありますが、こういったセミナーではまず老後の不安をあおります。
少し前に話題となった「老後2000万円問題」をもちだして不安をあおり、解決のためにワンルームマンションを購入することを勧めてきます。
あわせて節税になる、生命保険代わりになる、老後の資産になる、インフレに強い、といった話で畳みかけてきます。
最後に担当者が付いて個別相談だったり、興味を持った人を対象にした相談会が始まります。
ここまでは普通の不動産投資セミナーですが、いざ申込をすると若者なので年収が少なかったり、頭金が少ないことが多いです。
そして、悪徳業者は審査を通すために不正を企みます。
投資目的で住宅ローンは使えない
まず、最初にいうと住宅ローンは投資用不動産では利用できません。
【フラット35】(住宅ローン)は、お客さまの住まいの夢をかなえるために、利用目的を自ら居住する住宅の取得に限定し、長期にわたり固定金利でご融資しております。
ローンを利用して投資不動産を購入するのであれば、不動産投資ローンや事業用ローンが使えます。
住宅ローンは居住のために利用するので、利用者側も家を失わないよう必死に返済することから、貸す側にとってもリスクが低いとされています。
そのため住宅ローンの金利は、投資向けのローンの金利と比べて低くなっており、毎月の返済額も住宅ローンの方が軽くなります。
審査も住宅ローンの方が通りやすいのが一般的で、不動産投資ローンだと利用者の属性や収益性、頭金なども審査されます。
そのため審査が通りやすいフラット35が悪用されているようです。
稀にお客さんの方から不正利用を提案してくる人もいます。
お客さんの側から住宅ローンで不動産投資を買いたいと言われたので断ると、みんなやってると言われ、そんなに不正利用が浸透してるのかと驚いたことがあります。
審査を通すために書類を改ざんする
住宅ローンの知識がない若者を中心にターゲットにされた感がありますが、書類集めから銀行とのやり取りまで手続きは業者が行います。
審査を通すために契約書を別に用意して価格を変えたり、源泉徴収票を改ざんして少しでも収入を多く見せることも必要だからです。
何より金融機関とお客さんが話をしてばれたら大変です。
といっても普通の不動産業者は手続きまでやってくれることが多いです。違いは書類の改ざんといった犯罪行為をするかどうかです。
テレビの特集では、金融機関からの確認や追加書類の際に疑いを持ったお客さんもいましたが、そのことを不動産業者に問いかけると、よくあることなので無視して大丈夫と言われてました。
そして数日後にお客さんが業者に電話をかけると、電話は繋がらなくなったそうです。
ローンの手続きは一般的に不動産業者が代わりに行うことが多いのですが、お客さんの方でも時々チェックしたり、詳しい知り合いに相談することも大事かもしれません。
住宅金融支援機構も注意喚起してますが、たとえお客さんが手続きを業者任せにしても、虚偽の内容で融資を受けることは詐欺罪という犯罪であり、お客さん自身が責任を問われる可能性があります。
住宅ローンの金利が安いので、他の借り入れの返済に充てるためだったり、他の用途の費用(車の購入、教育費など)として不動産の購入費に上乗せして申し込むのも不正利用です。
投資にはリスクがある
結局、一括返済を求められたお客さんは競売で家を失った後も借金だけが残ったそうです。
どんな投資でもリスクはあるのですが、投資をする際はどういったリスクがあるかを知っておくことが大事です。
不動産投資はローンを利用した投資なので、自己資金の何倍もの借入金を活用することになります。
たとえば、自己資金500万円で5000万円の借入金、家賃収入が年間300万円とするならば、500万円の元手で年間300万円の収入ということになります。
自己資金の何倍もの投資を行うことができる(レバレッジ効果)反面、様々なリスクがあります。
代表的なのは、金利変動リスク、空室リスク、家賃・不動産価格の下落リスク、家賃滞納リスクなどです。
老朽化してれば建替えも問題になります。老朽化しても修繕ができず、それがもとで通行人などにケガをさせたら今度は損害賠償のリスクです。
このように投資には様々なリスクがあり、投資は自己責任が原則ということを踏まえて行動することです。
老後不安を解消するには定年後も年金以外の収入は必要
老後2000万円問題も今では3000万円問題にレベルアップしたそうです。
この老後3000万円に対処するために不動産投資は有効な方法の一つです。
今ならiDeCoやNISAの活用も老後の資金問題には有効です。
いずれにしもて公的年金だけでは生活は苦しいはずなので、公的年金以外の収入は必要です。
近所のマクドやモスバーガーでは80歳位?のおじいさん、おばあさんが働いてるのを見かけます。
貯えがない人や少ない人は、定年後も継続して働くことが必要となるでしょう。
定年後も働くのは日本だけでなく、世界的に一般的となりつつあるようです。今までの認識を改めなければ行けない時期なのかもしれません。
まとめ
・住宅ローンは不動産投資に利用できない。
・住宅ローンの不正利用がばれると一括返済を求められる。
・若者に不動産投資が人気。
・若者やローン知識がない人が悪徳不動産業者に狙われている。
・不明な点があったら知り合いや金融機関に相談する。