地震の強さを表す震度と建築物の耐震基準・耐震等級

投稿日:2022年3月5日 更新日:

 

日本は地震大国なので、今住んでいる家が地震があったときに大丈夫なのかは多くの人が気になるところです。

建築物は災害に対する安全性や利用に関して制限が設けられており、建築基準法では建築物の最低基準が規定されています。

よくいわれる旧耐震基準と新耐震基準は、耐震性の基準について差があり、住宅ローンにも影響するといわれています。

地震の規模を表すマグニチュードと揺れの強さを表す震度

地震の大きさを表す単位に「マグニチュード」と「震度」があります。

 

マグニチュードは、地震の規模を表すもので、1増えるごとにエネルギーも約32倍増加していきます。

一方で震度というのは、その場所での揺れの強さを表し、0から7までの10段階(0、1、2、3、4、5弱、5強、6弱、6強、7)あります。

 

東日本大震災は、三陸沖を震源としたマグニチュード9.0でしたが、震源地から距離があるほど震度も弱くなります。

同じ関東でも震源地が近い北関東は震度6弱もありましたが、神奈川は5弱とかでした。

 

新耐震基準

よくいわれる旧耐震基準とか新耐震基準というのは、建築基準法上の建物の地震に対する基準をいいます。

1968年の十勝沖地震をきっかけに鉄筋コンクリート造の柱等の耐震基準が改正され、1978年の宮城県沖地震をきっかけに現在の耐震基準(新耐震基準)の改正が行われました。

 

新耐震基準は、1981年(昭和56年)6月1日以降の建築確認を受けた建物に適用されており、それより前は旧耐震基準といわれて区別されています。

 

旧耐震基準では、震度5強の地震に対して「即座に建物が損壊しない」でした。

新耐震基準では、震度5強の地震に対しては「ほとんど損傷しない」、震度6強~7に対して「倒壊・崩壊しない」に改められました。

ちなみに倒壊・崩壊しないというのは、建物にある程度の被害が出るのは仕方ないが、建物の中や周辺にいる人は守られることを目標にしています。あくまでも人の安全の確保を目標にしています。

 

住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)

その後、2000年にも建築基準法は改正され、住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)も施行されました。

この品確法では、住宅性能表示制度、10年間の瑕疵担保責任の義務付け、紛争処理体制の整備といったことが規定されました。

 

品確法の住宅性能表示基準では、耐震等級を三段階で評価しています。

耐震等級3 建築基準法の1.5倍の性能
耐震等級2 建築基準法の1.25倍の性能
耐震等級1 建築基準法レベルの強さ

 

耐震等級3は、100年に1度程度発生する地震(震度6強~7)の力の1.5倍に対して倒壊・崩壊せず、数十年に1度程度発生する地震(震度5強)の力の1.5倍に対して構造躯体が損傷しない性能を有していることになります。

耐震等級2は、100年に1度程度発生する地震(震度6強~7)の力の1.25倍に対して倒壊・崩壊せず、数十年に1度程度発生する地震(震度5強)の力の1.25倍に対して構造躯体が損傷しない性能です。

耐震等級1は、100年に1度程度発生する地震(震度6強~7)の力に対して倒壊・崩壊せず、数十年に1度程度発生する地震(震度5強)の力に対して構造躯体が損傷しない性能です。

建築基準法の耐震基準はこちらの耐震等級1です。

 

参考:国土交通省住宅局住宅生産課 新築住宅の住宅性能表示ガイド

 

マンションは耐震等級1がほとんど

建築基準法は最低限を定めた基準といわれていますが、建築基準法の耐震基準は耐震等級1程度といわれています。

 

一方、住宅メーカーが建てる一戸建ては、耐震等級3級が多いといわれています。

 

マンションの場合は、9割近くが耐震等級1、10%近くが耐震等級2で、耐震等級3は非常に少ないといわれています。

 

今までのマンションは建物の強度を高めることで地震に備える構造でしたが、近年になって大地震が明日起きても不思議ではないと騒がれるようになり、免震や制震といった構造が注目されています。

免震構造とは、建物の基礎と上部との間に積層ゴムといった免震装置を付ける構造をいいます。間の免震層が地震の揺れを和らげ、エネルギーを減らすという構造です。

制震構造は、建物の骨組みに取り付けたダンパーといった制震装置が、建物の揺れを吸収・抑制します。

 

免震構造や制震構造のマンションなら、耐震等級3にほぼ該当するといわれますが、それだけコストは高くなりますから建物も高額です。予算に余裕があるならマンションでも免震や耐震のものを検討するのが安心です。

 

まとめ

・新耐震基準は、1981年(昭和56年)6月1日以降に建築確認を受けた建物に適用されている。

・建築基準法は、安全性や建物の必要最低基準を定めた法律(耐震等級1)。

・新耐震基準では、震度5強は構造躯体がほとんど損傷しない、震度6強~7は倒壊・崩壊しないことを目標にしている。

・マンションはほとんどが耐震等級1、一戸建てはほとんどが耐震等級3。

・旧耐震基準だとローンや住宅ローン控除が使えない。

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