部屋の家賃にまつわる話|引っ越し前に知っておくべきポイント

投稿日:2018年1月11日 更新日:

不動産屋をしていると、家賃に関する質問をよく受けます。

家賃はどうやって払えばいいかといった簡単なものから、家賃を滞納した場合の質問までさまざまです。

今回は不動産の家賃についてまつわる話を中心にまとめました。

家賃はどのようにして支払えばいいですか

「毎月の家賃の支払い方法には、どのような方法があるでしょうか。」

賃貸借契約で、契約で家賃の支払い方法が決められています。

家賃の支払い方法については、貸主や不動産管理会社によって違います。契約時や契約書に支払い方法について説明があります。

 

家賃の支払い方法の具体的な例

家賃の支払い方法には、具体的には以下の方法があります。

〇その都度、借主が契約で指定された口座に振り込む方法

〇借主が直接貸主の自宅に持参したり、借主が貸主に指定された場所に持参する方法

〇借主が不動産管理会社に持参する方法、または、不動産管理会社の口座に振り込む方法

〇金融機関や保証会社を媒介にして自動振替にして指定口座に振り込む方法

といったものがあります。

 

今の賃貸管理では、自動振替にして直接管理会社や貸主の指定口座に振り込む方法が多いです。

 

入居審査で見られる収入と家賃の関係

賃貸物件の申込をした後は、不動産管理会社や大家さんの審査があります。

まず、入居審査で見られるのが申し込みをした人の支払い能力、つまり借りる人の収入が見られます。

この審査では無駄に家賃が負担とならないか、申し込みした人の収入で家賃が支払っていけるのかといったことが判断されます。

 

目安は収入の3分の1未満

収入による審査は、大家さんや不動産管理会社の考えによって判断が分かれるので明確な基準はありません。

しかし、収入の3分の1以上の家賃だと断られる可能性が高いです。

 

ちなみに収入から社会保険料と税金が引かれるので、実際に使えるお金はもっと少なくなります。できれば余裕を持たせると生活が楽です。

 

どんなことが審査されるか

賃貸の審査で重視される順番は、1に収入、2に職業、3に勤務先、4に連帯保証人、といったところです。

賃貸の申込審査では、収入と職業、勤務先、連帯保証人は必ずチェックされると思って間違いありません。

 

収入については、給与明細や源泉徴収票に記載してあるので確認できます。

自営業を営む人であれば、確定申告書が収入を証明する書類となります。自営業だと収入というより事業所得が見られます。

 

職業について差別する人がいるように、不動産の審査でも審査に通りやすい職業と通りにくい職業とがあります。

こればかりは大家さんや管理会社によるとしかいえません。

また、賃貸物件がある場所にもよるかもしれません。

例えば、水商売の人は避けられる傾向にありますが、風俗店街にある賃貸物件ならむしろ歓迎されることもあります。

 

自営業の人は注意

自営業の人の中には、何でもかんでも費用処理する人がいます。

自営業の人の収入については、売り上げではなく、所得の部分が見られます。

そのため、何でも費用処理している場合は、所得が少なくなります。

所得が少ないということは、審査も厳しくなりますので注意が必要です。

 

ちなみに住宅ローンの審査でも自営業者は所得の部分が見られるので、何でも費用処理している人は住宅ローンの借り入れは厳しくなります。ローン会社に対応した借入計画が必要かもしれません。

 

今は連帯保証人を必要とせず、保証会社を利用することが多い

最近は保証会社の利用を必須としている会社が多いので、連帯保証人がいない場合でも借りられる物件は増えました。

保証会社は、借主が家賃を滞納したときに備えて利用します。

借主が家賃を滞納した場合は、保証会社が借主の家賃を肩代わりして貸主に家賃を支払います。

 

保証会社を利用する場合は、保証会社による入居者の審査があります。

保証会社を利用するケースでは、大家さんと不動産管理会社の審査よりも、保証会社の審査に通るかどうかが重要かもしれません。

 

事前に貸主は借主から担保として敷金を預かるのですが、最近は敷金不要のものや敷金を抑えた条件の物件が増えてます。

敷金不要の物件では保証会社が必須とされてます。

また、家賃を滞納して保証会社が肩代わりしたとしても、借主は滞納した家賃を免除されるわけではありません。

保証会社が滞納した家賃を肩代わりすれば当然に債権が移るので、今後は保証会社に滞納した家賃の支払いをしていくことになります。

 

家賃の支払いが遅れるとどうなる?

先日、保証会社の担当者さんに聞いたのですが、不景気もあって家賃を滞納する人は15軒に1軒程度の割合でいるそうです。

家賃滞納の理由が失業や借金、単純にお金がないという場合は問題です。

ただ単に忘れている場合は、遅れた分をまとめて支払えば済みます。

しかし、失業や借金などでお金がない人だと、2か月目は支払えても次第に遅れがちになっていく可能性が高いです。

ギャンブルや無駄遣いが多い人、計画性のない人は滞納率も高い傾向です。

 

家賃滞納者を退去させるのは大変

ドラマなどでは、1か月、ひどいケースだと1日過ぎただけで荷物が部屋から出され、追い出しにあったりします。

今はうるさくなったので、こういった番組はやらせがほとんどですが、昔はこういったことが実際にあったようです。

 

日本は借地借家法という法律で借主が保護されますし、たとえ貸主でも勝手に借主の部屋に入れば住居侵入罪として犯罪です。

賃借権は債権ですが、この借地借家法という法律によって物権のように借主が保護されています。

 

現在の日本では、本人が住み続けたい場合に、家賃の滞納が1か月程度では退去させるのは難しいとされています。

 

借主が家賃を滞納した場合に、貸主との交渉で借主が退去に応じてくれば別ですが、必ずしも応じてくれるとは限りません。

滞納があった場合、部屋の貸主は催告後、裁判所に訴えたうえで、部屋の明け渡しを請求することになります。

そうなると、数か月から1年以上かかることも多く、現実的ではないので早期解決のためには最終的に貸主と借主で話し合うことになることが多いです。

家賃はいいから部屋を出ろとか、毎月の家賃に加えて滞納分を分割で返済するというのが現実的かもしれません。

滞納を予防するため、保証会社の利用にかかわらず、貸主側は入居審査を重視します。保証会社を利用してても必ずしも安心とは限らないからです。

 

最悪なのは夜逃げ

夜逃げされると荷物が置きっぱなしになるので、次の入居者募集ができません。

残された荷物は、個人の所有物なので勝手に処分できないからです。

 

夜逃げするなら荷物は片づけていくのが最低限のマナーです。

夜逃げで借主が置いていった荷物について(明け渡しの原状回復)は、処分した費用は借主の負担とする契約が多いです。ただ、必ずしも費用を回収できるとは限りません。

 

まとめ

・家賃の支払い方法は、契約時に契約書で指定された方法でおこなう

・最近の家賃支払いは、自動振替が多いので、振替に使う口座を用意しておく

・賃貸の審査では、大家さんや不動産管理会社が入居審査を行う

・保証会社を利用する場合は、保証会社の審査もある(保証会社の審査が通ればOKという大家さんや不動産会社もある)

・自営業の人は売上でなく所得が審査の対象

・家賃滞納者の明け渡し請求は時間がかかる

・家賃の滞納で早期解決に現実的なのは話し合い

・家賃を数日、1か月遅れただけでは契約を解約できない

  • B!