分譲マンションでも賃貸物件でも、管理費の名目でお金が徴収されるのが一般的です。
賃貸物件では、管理費の代わりに共益費という言葉が使われることもあります。
管理費の名目でお金が徴収されてるのに、ポスト周辺はごみが散乱してたり、階段も落ち葉だらけで汚れていることがあります。
特に賃貸では見慣れた光景なので、賃借人に会った時に愚痴を言われることもたびたびです。
では、管理費・共益費とはそもそもどのようなものなのでしょうか?
そもそも管理費と共益費の違いは?
では、管理費と共益費の違いは何なのでしょう。
用語の意味としては次のように使われることが多いです。
- 管理費:建物の維持管理にかかる費用(エレベーター、清掃、管理会社など)
- 共益費:共用部分の電気代や水道代などの共有スペースの利用に必要な費用
ところが両者はあまり区別されないことも多く、実際はどちらも同じような性質で使われています。
分譲マンションの所有者が負担するのは管理費の名目で徴収されますが、賃貸の場合は管理費だったり共益費の名目で徴収されてます。
分譲と賃貸での意味の違い
分譲マンションでは、上記で説明したどちらも管理費の名目で徴収されます。
分譲マンションのルールを定めた区分所有法という法律では、管理費の目的について規定してます。
- 管理員人件費
- 管理組合が支払う税金(公租公課)
- 共用設備の保守維持費・運転費
- 備品費・通信費その他の事務費
- 共用部分に係る火災保険・地震保険その他の損害保険料
- 経常的な補修費(稀にかかる補修費→修繕積立金)
- 清掃費・消毒日・ごみ処理費
- 管理会社への委託業務費
- 専門家の活用に要する費用
- 管理組合の運営に要する費用
- その他管理組合の一般的な業務に係る費用
これらの費用はすべて管理費になります。
賃貸では、賃貸人もあまり考えず管理費、共益費を使ってることが多いです。
あるアパートでは管理が5,000なのに、別のアパートでは共益費が10,000円、さらに別のアパートでは管理費も共益費も0円と様々です。0円の場合は家賃に含む意味で使われることが多いです。
家賃が高いと判断されると申し込みが入らないといった理由で、一部を管理費・共益費に組み入れる賃貸人もいます。
同じ部屋なのに、1月は家賃8万円・管理費1万円だったのに、2月は家賃9万円・管理費0円で募集する不動産会社・賃貸人もいます。
分譲マンションの場合は管理費に根拠がありますが、賃貸の場合はほとんどあてになりません。
賃貸人には、賃貸物件について使用及び収益に必要な修繕をする義務があります(賃借人が使えるようにしなければならない)。
賃貸人には修繕して使用させる義務があるので、専有部分も共用部分の区別はあまり重要ではありません。
強いていうなら、更新料や仲介手数料は家賃が対象(家賃の1ヶ月分)なので、家賃の一部を管理費・共益費の名目に振り分けてる方が少し安く済みます。
管理費・共益費をめぐるトラブルや誤解
「家賃が安いと思ったら管理費が高かった」
「共益費の内訳が不透明」
「管理費を負担してるのに共用部分が汚い、ボロボロ」
家賃の一部を管理費に振り替えるのは、なかなか入居者が決まらない場合に不動産会社が時々取る方法です。
管理費が高いと感じた時は、費用の根拠を聞いてみるといいでしょう。
家賃の値上げを通知されるときに管理費も値上がりするようなら、値上げの根拠を聞いてみるのもいいかもしれません。
賃貸人は、投資目的で部屋を貸してるので、分譲マンションのように共用部分が清掃されないこともあります。管理会社が常駐してるわけでもないので、清掃が行き届かないこともあります。
あまりに汚かったり、電灯切れであれば、管理会社や賃貸人に通知してあげるとむしろ感謝されるかもしれません。
分譲マンションを賃貸物件として貸し出す人もいます。
分譲マンションは管理費が常にかかりますが、賃貸契約で同じ額を管理費として設定するわけではありません。
例えば、分譲マンションの管理費が1万四千円の場合に、賃貸契約の管理費を1万五千円に設定したり、家賃に含めて20万円(管理費含む)と設定する賃貸人もいます。むしろ同じ額にする賃貸契約の方が少ないくらいです。
また、分譲マンションでは、利害関係があれば総会に出席して意見を述べることができるとされてますが、たとえマンションの管理費を上げる議題であっても賃借人は利害関係人に当たらないとされています(管理費を賃借人が払う契約であっても)。
分譲の管理費≠賃貸の管理費
管理費・共益費の妥当な相場は?
管理費・共益費の妥当な相場を考えた場合、分譲マンションと賃貸では開きがありそうです。何より設備に差があります。
賃貸の場合は、管理費・共益費の名目で徴収されていても、必ずしも管理の目的とは限らないので、0円~15,000円と様々です。
分譲マンションの管理費は管理組合で決定しますが、物価上昇や人件費高騰は値上がり原因です。
また、物件の規模や設備、グレードによっても違います。
分譲マンションの管理費の一例
専有部分の面積 | 月額管理費の目安 |
50㎡ | 6,000~12,000円 |
70~80㎡ | 10,000~20,000円 |
100㎡ | 15,000~30,000円 |
タワーマンション | 10,000~25,000円 |
分譲マンションの管理費は、自主管理、一部委託、全部委託といった管理形態によっても違います。
管理費が妥当かどうか
- 清掃頻度、設備の状況、設備の豪華さ
- 管理会社や管理組合の運営状況にも注目
まとめ
・管理費・共益費は、居住者全体の利益のための費用
・賃貸の管理費は必ずしも共用部分に使われてるとは限らない(あいまい)
・分譲マンションの管理費は法律に基づいて目的が決まっている
・賃貸の管理費は、賃貸人・管理会社によって0円(家賃に含)~15,000円と様々
・分譲マンションの管理費は、設備が豪華・部屋が広い・小規模だと高くなる
・管理形態(自主管理・一部委託・全部委託)によっても分譲マンションの管理費は異なる
・分譲マンションの管理費はその都度見直される(通常は高くなる)→修繕積立金は5年が目安