2024年から新しいNISAが始まります。
日本の社会保障制度は人口が増加することを前提に維持できるので、今のような少子高齢社会、人口減少社会では行き詰るのは目に見えています。
社会保障制度の基礎が出来た頃は、国民の寿命が今よりも短く、高齢者も少ない状況でした。
最初の頃は1人の高齢者(年金生活者)を15人以上で支えてたのに、今では3割が高齢者なので2人で1人の高齢者を支えてることになります。
また、年金を受給している高齢者世帯では毎月5万円の赤字になっているといわれ、長生きすればそれだけ老後に必要な資金が多くなります。
制度が破綻しかかっている以上に国民の寿命が延びたことが原因で、本来目出たいはずの長生きがリスクと見られています。
長生きリスクの対策になる可能性を秘めているのがiDeCoやNISAです。
2024年からのNISA
人生100年時代に備えるためには、年金とは別に自助努力で資産形成する必要があります。
一応、政府が国民のために用意してくれた資産形成のシステムが、iDeCoでありNISAになります。
どちらも非課税なので投資が有利になる制度ですが、どちらの制度も理解されてない人は多いです。
老後資金のみの対策はiDeCoですが、流動性という点で見ればNISAに分があります。
2024年からのNISAについての詳細は下の記事にまとめてあるので、ここでは簡単に説明します。
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新NISAが始まるから資産形成の基本である積立投資について知ろう
2024年から新NISAが始まります。 今のNISA制度でも、つみたてNISA、一般NISAとしてありますが、来年からは自由度が高まったり、投資枠が拡大されます。 NISAは国民の資産形成を目的とした …
現在のNISAには、一般NISAとつみたてNISAがありますが、どちらも限度額までであれば課税されません。
金融商品は利息や売却益が出ると約20%の税金がかかりますが、NISAを活用することで非課税になるわけです。ただし、損益通算はできないというデメリットもあります。
そして、一般NISAは上場株式などの豊富な商品を選べ、つみたてNISAは投資信託とETFのみなので初心者向きという特徴があります。
2024年のNISAでは、非課税限度枠は1800万円(このうち成長投資枠は1200万円まで)に拡大され、今までは有限だった非課税期間が無期限になります。
つみたて投資枠 | 成長投資枠 |
年間120万円 | 年間240万円 |
また、今までは一般NISAとつみたてNISAのどちらかを選択でしたが、新NISAでは、つみたて投資枠と成長投資枠との併用が可能になり、売却すると元本分の非課税枠が再び使えるようになります(旧NISAはない)。
なぜドルコスト平均法が初心者向きなのか
ここからは今回の本題であるドルコスト平均法についてです。
投資信託を定期的に買っていくと、時間によるリスクの分散ができると言われています。
たとえば、100万円の投資信託を一括で購入すると、値下がりした時に大きな損になりますが、100万円分を10回に分けて購入すれば、価格が高い時は少なく、価格が安い時は多く購入するといったことが出来、結果として値下がりのリスクを抑えることが出来ます。
投資の基本は安く買って高く売るですが、初心者の人は買うタイミングを考えるといつまで経っても始められないということもあります。
その点、積立投資であれば、購入のリスクを抑えられるので買うタイミングを気にしなくて済みます。
積立投資には、毎月決まった額を購入する方法(ドルコスト平均法)と毎月決まった数を購入する方法とがあります。
こんな感じで基準価額が上がったり下がったりを繰り返したとします。
投資信託は株数ではなく口数で数えますが、基準価額は1万口の価格で表されることが多いです。そして、1月は1万口で1万円、2月は値上がりして1万口で1万1千円という基準価額です。
話を分かりやすくするため、ドルコスト平均法の方は毎月1万円分を購入し、定量購入の方は毎月1万口を購入するとします。
11ヶ月でドルコスト平均だと合計11万円分を購入し、定量購入では9万6千円を購入したことになりました。
12月は1万円に戻ったとしてそれぞれ売却すると、ドルコスト平均は13万4485円、定量購入だと11万円になります。
結果としてドルコスト平均法では2万4485円の利益、定量購入では1万4千円の利益となりました。
投資初心者に推奨されることも多いドルコスト平均法ですが、これにもデメリットはあります。
リターンとリスクは表裏一体といわれるように、リスクを抑えるとリターンも抑えることになります。
また、売却時の価額次第で損することもあります。
慣れてきたら値下がり時に多く買うこともできるようになる
ドルコスト平均法は、投資初心者でも始めやすい投資のやり方ですが、投資を勉強して知識が身につくと値下がりがチャンスと思えるようになります。
株価は上がったり下がったりしますが、いつまでも下がり続けるということはなく、いつかは上昇に転じます。
価額が下がった時に買い増して、上がった時はほどほどに買えば、より大きなリターンを得られる可能性があります。
リーマンショックのような分かりやすい経済危機はむしろチャンスと捉え、種まきをしておくと将来大きなリターンとなって返ってきます。最近の研究ではそこまで優位性はないというものもあります。
あまり長期の積立向きではありませんが、通常の値動きよりも大きな影響を受けるブル・ベアファンドといったものもあります。
また、為替ヘッジ型の投資信託もあります。ドルコスト平均法なら為替リスクも分散できるので、手数料のコストを考慮するとメリットは少ないです。
おわりに
購入を分散するとリスクは抑えられますが、タイミングによっては利益の機会を失うこともあります。
たとえば、年利8%の商品があったとして、最初に100万を一括で投資すれば10年で倍以上になります。
しかし、購入を分散するために100万円を毎年10万円ずつ投資してたら10年で1.5倍にしかなってません。
大げさな例にしましたが、ドルコスト平均法にもメリットとデメリットはあるということです。