八景というと全国的には近江八景や金沢八景が有名ですが、国立国会図書館デジタルコレクションで八景を検索すると日本全国各地に〇〇八景があることが分かります。
横浜市の八景といえば金沢八景が全国的にも有名ですが、横浜市には他にも屏風ヶ浦八景、横浜八景、鶴見八景なんてものもあるようです「八景の分布と最近の研究動向 」。
横浜市内の八景についてたずねてまわるのも面白いと思って場所を調べてみましたが、開発が進んで面影がなかったり、詳細どころかおおよその場所すら分かりません。
仕方ないので横浜は諦めて、隣の鎌倉や逗子といった三浦半島にある八景を調べました。
逗子八景
大正時代に出版された「逗子八景・葉山の史蹟」で紹介されている逗子八景です。
・神武晩鐘(神武寺)
・延命秋月(延命寺)
・桜山暮雪(?)
・小坪帰帆(小坪漁港)
・不動落雁(?)
・猿畠夜雨(法性寺裏山)
・岩殿晴嵐(岩殿寺)
・鳴滝夕照(?)
この書籍には写真も掲載されていますが、写真の当時と今とでは全く別の風景となっています。
神武寺の鐘楼ならと思いきや、当時の写真は茅葺か藁葺です。
神武寺、延命寺、小坪、岩殿寺は今も残っていますが、他のところが詳しく分からず……。
場所が分からない所は、別の時代に設定された八景で調べて訪れましたが、やはりわからない場所もあります。
期間:2カ月くらい?かけてまわりました。
神武寺と法性寺裏山、岩殿寺あたりが個人的にはおすすめです。
参考
「逗子八景:葉山の史蹟」山崎白堂著
神武寺の楼門
延命寺
「桜山の晴嵐」の看板がある蘆花記念公園からの眺めです。
小坪漁港
浪子不動前の不如帰の碑
法性寺裏山のお猿畠の大切岸
岩殿寺の本堂
鳴滝公園
鎌倉八景(大正3年)
大正3年に設定された鎌倉八景は以下のようになっています。
逗子八景や三浦半島八景のように看板はありませんが、何となく場所の目星をつけます。
( )内は予想した場所
・大塔の夜雨(大塔宮)
・長谷の晩鐘(長谷寺)
・由比の帰帆(由比ガ浜海岸)
・松葉谷の晴嵐(松葉谷)
・大佛の秋月(高徳院)
・鶴岡の落雁(鶴岡八幡宮)
・光明寺の夕照(光明寺)
・比企の暮雪(妙本寺)
引用元 8.1 全国の八景リスト 榊原映子(国立環境研所)
松葉谷には日蓮の草庵跡地があったといわれていますが、現在の安国論寺に碑があります。
江戸時代の安永年間(1772年 – 1780年)頃、妙法寺と長勝寺の間で松葉ヶ谷の法難の旧跡を巡って論争が起こり、20年以上争われたが、結論が出なかったといい、正式な跡地は確認されていない。建て直しや、流罪の前後で移転があったとも考えられている。
正式な草庵跡地が確認されていないようなので、安国論寺、妙法寺、長勝寺をまわりました。
費やした期間:2週間
駐車場有:鎌倉宮、光明寺、妙本寺、長谷寺(有料)
大塔宮の本殿
長谷寺の観音堂
由比ヶ浜海岸
松葉谷(上から妙法寺、長勝寺、安国論寺)
大佛がある高徳院
鶴岡八幡宮の本殿
光明寺の境内
妙本寺祖師堂
三浦半島八景
三浦半島各地にも八景がありますが、知られてる一つが三浦半島八景です。
鎌倉八景、逗子八景を先に紹介していますが、八景巡りをするきっかけになったのが三浦半島八景の看板を見たからです。
・大塔(鎌倉宮)の夜雨(鎌倉大塔宮)
・神武寺の晩鐘(逗子神武寺)
・灯台(燈明堂)の帰帆(横須賀浦賀燈明堂)
・猿島の晴嵐(横須賀猿島)
・大佛の秋月(鎌倉高徳院)
・城ヶ島の落雁(三浦城ヶ島)
・長者ヶ崎の夕照(横須賀・葉山長者ヶ崎海岸)
・建長寺の暮雪(鎌倉建長寺)
鎌倉宮の総門近くにある「大塔(鎌倉宮)の夜雨」
神武寺の鐘楼の近くに設置されていた「神武寺の晩鐘」
長者ヶ崎海岸の駐車場に設置されている「長者ヶ崎の夕照」
浦賀の「灯台(燈明堂)の帰帆」
こちらは城ヶ島の展望台近くに設置されてる「城ヶ島の落雁」
長者ヶ崎と浦賀燈明堂にあった看板を確認して三浦半島八景を回ることにしました(2017年1月)。
2017年1月から8月までに、神武寺の晩鐘、灯台(燈明堂)の帰帆、城ヶ島の落雁、長者ヶ崎の夕照までまわりましたが、8月に訪れた建長寺には三浦半島八景の看板が見当たりません。
5箇所目に高徳院に行きましたが、ここでも看板が見当たりません。
現在看板が残っているのは、大塔宮、神武寺、燈明堂、城ヶ島、長者ヶ崎の5か所みたいです。
なかなか時間が取れず、10か月かけて回りました。
感想
三浦半島にある八景をまわりましたが、調べていくと新しい八景が設定されていたり、時代とともに八景は変化していました。
図書館の郷土資料を調べて回ってみると、その土地の歴史に触れることができ、エリアにも詳しくなるのでやってます。