不動産業界で役立つ資格は宅地建物取引士以外にもあります。
賃貸がメインの会社であれば、小規模短期保険募集人、賃貸不動産経営管理士などの資格が役に立ちます。
売買がメインの会社であれば、ファイナンシャルプランナーやマンション管理士等の資格が役立ちます。
不動産関係の資格といわれるものは数ありますが、中でも宅地建物取引士・管理業務主任者・マンション管理士は不動産三冠資格と呼ばれて重宝されます。
宅地建物取引士は有名ですが、管理業務主任者とマンション管理士はあまり知られてません。
今回は管理業務主任者の不動産業界での役割・立ち位置についてまとめました。
管理業務主任者とは?
管理業務主任者は、マンションの管理会社に必要な資格です。
平成12年の「マンション管理適正化法」に基づいて国家資格として創設されたのが管理業務主任者です。
マンションの管理会社では、事務所ごとに30管理組合に1人以上の設置が義務付けられています(必置義務)。
資格保有者でなければできない業務を独占業務といい、管理業務主任者にも独占業務があります。
管理業務主任者の独占業務
- 管理受託契約前の重要事項説明
- 重要事項に関する書面の記名
- 管理受託契約に係る契約書への記名
- 管理事務に関する報告など
管理業務主任者の主な役割と業務
管理業務主任者には、管理受託契約の重要事項説明や書類の記名といった独占業務がありますが、業務はそれだけではありません。
分譲マンションでは、組合員(区分所有者)の快適な生活を実現し、資産価値を高めるための管理が必要だからです。
総会や理事会の準備や組合員からの相談、利害関係の調整や複雑な権利の整理、様々なトラブルも処理しなければなりません。
また、担当するマンションは一つでなく、複数のマンションを担当するのが普通です。
マンションの組合員は、普段は仕事をしており、マンションの管理運営について知識がないので、一般的にマンションの管理は専門会社に委託します。
管理受託契約とは、分譲マンションの管理について管理組合と管理会社が結ぶ契約です。
この際、契約書のチェックと記名・押印するのも管理業務主任者の仕事です。
総会や理事会で質問があれば、適正なアドバイスも行います。
管理業務主任者の知識は不動産業界全般で役立ちます。
マンション管理の専門家なので、マンションを購入するときの相談相手にも適してます。
管理業務主任者の取得・試験概要
管理業務主任者になるには、試験に合格して登録が必要です。
管理業務主任者の試験は、毎年一回、12月最初の日曜日に実施され、年齢や学歴に関係なく、誰でも受験できます。
ただ、受験地が関東では東京しかないので、東京まで受験しに行くのが面倒くさいかもしれません。
試験は13時から15時までの2時間で行われます。
試験はマークシート形式で行われ、四肢択一の50点満点です。
合格点は毎年異なり、合格率が20%程度になる相対評価の試験です。
- 2023年:合格点35点(合格率21.9%)
- 2022年:合格点36点(18.9%)
- 2021年:合格点35点(19.4%)
管理業務主任者の出題科目
- 民法・その他法令7問
- 区分所有法7問
- 標準管理規約7問
- 適正化法5問
- 管理実務9問
- 会計3問
- 建築・設備10問
- 設備系法令2問
難易度・勉強時間の目安
管理業務主任者を目指す勉強方法には、独学・通信講座・資格スクールがあります。
- 独学→費用が安い・挫折しやすい・勉強時間が多くなる
- 通信講座→費用は普通・挫折しにくい・効率よく勉強できる
- 資格スクール→費用が高い・通勤が面倒・効率よく勉強できる
合格までの勉強時間の目安
- 独学→300時間
- 通信講座・資格スクール→200時間
管理業務主任者の活かし方
- マンション管理会社において設置義務があり、独占業務があるので転職・就職に有利
- マンション管理士試験が5問免除される
- マンションに居住してると知識が役立つ
- 管理組合や理事会の立場でも理解が深まる
- マンション購入のアドバイスができる
都市部の新築供給物件のほとんどがマンションなので、いまや不動産取引にもマンションの基礎知識は不可欠です。
現に不動産会社の多くは管理業務主任者の資格を推奨してる会社が増えてます。
賃貸物件の管理会社でもマンション管理の知識が不可欠なので、大手から中小の不動産会社まで活躍の場が広がっています。
最近では、マンション管理の知識を活かしてライター・動画配信をする人も増えてます。
私が以前、資格を教えた人の中には、田舎にいながら1,000万円稼ぐ人もいます。田舎の平均年収は300万~400万円なので、資格を取って良かったと言ってます。
ライターとして稼ぐポイントは、不動産や金融といった専門分野に特化することのようです。
管理業務主任者と他資格との違い
宅地建物取引士 | 管理業務主任者 | マンション管理士 | |
独占業務 | 不動産取引の重要事項説明・書類の記名 | 受託契約の需要事項説明・書類の記名 | なし |
立場 | 不動産会社 | マンション管理会社 | 管理組合 |
活躍の場 | 不動産会社 | マンション管理会社・不動産会社 | マンション管理会社・不動産会社・独立 |
管理業主任者、宅地建物取引士、マンション管理士は、不動産3大資格と呼ばれ、不動産系の会社で活躍できます。
管理業務主任者と宅地建物取引士とのダブルライセンスなら、マンションにも詳しいので不動産全般に精通できます。
管理業務主任者とマンション管理士のダブルライセンスであれば、マンションの管理運営のエキスパートとして活躍できます。
現在、日本のマンションは700万戸あるといわれ、中でも築40年を超す140万戸のマンションが問題視されています。
最近、マンションの標準規約が見直されたように、老朽化マンションへの対応が求められてます。
まとめ
・管理業務主任者はマンションの管理に関する国家資格
・管理業務主任者を取るとマンション管理について分かるようになる
・独占業務がある(重要事項説明・書類の記名・事務に関する報告)
・独占業務・必置資格なので就職・転職に強い
・合格に必要な晩協時間は200~300時間
・2023年:受験者14,652人・合格者3,208人(合格率21.9%)
・独学でも合格可能だが、資格講座を利用したほうが合格に近づける
・合格するとマンション管理士試験が5問免除になる