病気やケガで働けなくなり、収入が途絶えてしまう。これは多くの人が不安に感じることです。
会社員などが加入する健康保険には、こうしたときの収入を支える「傷病手当金」という制度があります。
この記事では、傷病手当金がいくら・いつまでもらえるのか、どんな条件で受け取れるのかを、労災との違いも交えて整理します。
仕組みを知っておくだけで、いざというときの備えが変わります。
この記事から分かること
- 傷病手当金の対象(業務外のケガ・病気)と労災との違い
- 支給額の計算方法(給与のおよそ3分の2)
- 支給期間「通算1年6か月」(2022年改正)の意味
- 退職後の継続給付と、自営業者の備え方
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傷病手当金とは|業務外のケガ・病気の収入保障

傷病手当金は、健康保険の被保険者が業務外の事由によるケガや病気で働けず、給与を受けられないときに支給される制度です。
療養のために連続して3日間休んだ場合、4日目から支給対象になります。
ここで押さえておきたいのが、「業務外」という点です。
仕事や通勤が原因のケガ・病気は労災保険の対象で、傷病手当金ではありません。
以下、まずは違いを整理します。
労災保険の対象
労災保険は業務上の事由によって労働者がケガや病気になった場合に給付されます。
業務中または通勤中のケガ・病気・障害・死亡が対象です。
-
業務災害
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通勤災害
いずれも仕事との因果関係がポイントになります。
傷病手当金の対象(私傷病)
プライベートのケガ、持病の悪化、家庭での事故など、業務外のケガ・病気や病気は私傷病といわれ、健康保険で対応しています。
プライベート中のケガ、持病の悪化、家庭での不慮の事故などは労災になりません。
この場合、給与補償は会社任せであり、ほとんどの企業はノーワーク・ノーペイの原則に基づいて無給です。
ノーワーク・ノーペイの原則は、労働者が働いてなければ使用者も賃金を支払う義務はないという原則ですが、これは当然と言えば当然の話で違法でも何でもありません。
私傷病休職は会社ごとに制度が異なる
休みが短期間で済む場合は有給休暇を取って対応できますが、休みが長い場合は私傷病休職の申請をするのが一般的です。
私傷病休職の制度については健康保険等の法律に規定がなく、各企業が就業規則によって決めています。
私傷病休職の期間については、ある企業は3か月、別の企業は1年だったり2年だったりとまちまちです。
零細企業なんかだと私傷病休職制度自体がないことも多いです。
私傷病休職制度があったとしても賃金を支払ってくれるとは限りません。 中には就業規則に1か月や3か月賃金を支払ってくれると記載してる企業もあります。
- 業務中・通勤が原因のケガ、病気→労災保険
- 業務外のケガ、病気→私傷病
- 私傷病→労災保険の対象外
- 業務外のケガ、病気→健康保険
健康保険の傷病手当金を受け取る条件

短期間の休業であれば有給休暇で対応できますが、そうでなければ健康保険法の傷病手当金があります。
傷病手当金は、健康保険の被保険者が業務外の事由によるケガや病気で働けず、療養のために3日以上連続して欠勤した場合に4日目から対象になります。
傷病手当金の要件
-
- 療養中であること
- 働くことができないこと
- 連続して3日間の待期を満たしたこと
- 給与が支払われていない(または傷病手当金より少ない)こと
注意したいのは、3日間の待期は通算ではなく「連続」して初めて成立する点です。
待期に休日や有給休暇が含まれていても構いません。
この3日間(待期)が完成した後の4日目から、支給対象になります。
傷病手当金はいくら?|給与のおよそ3分の2

支給額は、1日につき「支給開始日以前12か月の標準報酬月額の平均 ÷ 30 × 2/3」で計算されます。
標準報酬月額とは、保険料計算に使う「月の給与のようなもの」です。
月額を30で割って1日分にし、その3分の2が日額になります。
なお、休職中も社会保険料は免除されません。
賃金の一部が支給される場合、その額が傷病手当金より少なければ差額が支給されます(併給調整)。
出産手当金、障害厚生年金、老齢退職年金などとも調整されます。
傷病手当金はいつまで?|通算1年6か月(2022年改正)

ここは制度が変わった重要なポイントです。傷病手当金の支給期間は、2022年1月の改正で「通算1年6か月」になりました。
改正前(〜2021年12月)
- 支給開始日から暦の上で1年6か月。途中で復職しても、その期間も含めてカウントされた。
改正後(2022年1月〜)
- 実際に支給を受けた日を通算して1年6か月。復職して働いた期間は通算から除かれる。
これにより、いったん復職して再び同じ病気・ケガで休んだ場合でも、残った日数分を受け取れるようになりました。
がん治療や精神疾患など、復職と再休職を繰り返すケースで活用しやすくなっています。
退職後も受け取れる場合がある
傷病手当金は在職中の制度ですが、一定の要件を満たせば、退職後も「継続給付」として受け取れる場合があります。
具体的には、退職日までに健康保険の被保険者期間が継続して1年以上あり、退職時に傷病手当金を受けているか受けられる状態であることなどが条件です。
ただし、退職日に出勤すると「働けない状態」の条件を満たさなくなり、継続給付を受けられなくなるため注意が必要です。
傷病手当金の支給申請
傷病手当金を受けるには「健康保険傷病手当金支給申請書」を提出します。
申請には、医師(または歯科医師)の意見書と、休業期間や報酬の支払いについての事業主の証明が必要です。
提出先は、協会けんぽの被保険者なら都道府県支部、健康保険組合の被保険者は勤務先の担当(総務など)に確認します。
なお、請求権には時効があり、労務不能だった日ごとに翌日から2年で消滅するため、早めの申請が安心です。
自営業者は傷病手当金の対象外

傷病手当金は健康保険(被用者保険)の制度なので、国民健康保険に加入する自営業者は原則として対象になりません。
つまり、自営業者は病気やケガで働けなくなると、収入が途絶えるリスクがあります。
こうしたリスクに備える手段として、民間の就業不能保険や所得補償保険を検討するのも一つの方法です。
ただし、保険には保険料がかかり、保障内容も商品によって異なるため、必要性や条件をよく確認したうえで判断することが大切です。
まとめ
- 傷病手当金は業務外のケガ・病気で働けないときの収入保障(労災は業務上の災害が対象)
- 多くの会社の休職制度は無給が基本
- 支給額は給与(標準報酬月額の日割り)のおよそ3分の2
- 支給期間は通算1年6か月(2022年改正で復職期間は通算外に)
- 一定要件を満たせば退職後も継続給付を受けられる場合がある
- 自営業者は対象外。必要に応じて就業不能保険などで備える
公的保険の仕組みを知っておくだけで、いざというときの生活を守る力が高まります。
自分や家族がどんな保障を受けられるのか、一度確認しておくと安心です。
本記事は2026年6月時点の制度に基づく情報提供を目的としたものです。制度内容や要件は変更される場合があり、個別の判断は加入する健康保険・専門機関の公式情報をご確認ください。特定の保険商品を推奨するものではありません。

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