NISAの拡大で利用者側から出てきたよくある疑問や誤解

投稿日:2024年8月6日 更新日:

2024年から始まったNISAも半年以上が経ちました。

楽天のアンケートによれば、9割の人が新NISAについて知っている・聞いたことがあると答えています。

新NISAが始まる前からテレビや雑誌で散々取り上げられてたので、興味を持つ人も増えているようです。

しかし、実際にNISAを始めている人はその半分もいないというのが実情です。

 

以前のNISAは投資枠や期間の制限があって中途半端な制度でしたが、新NISAは上限額が引き上げられ、期間も無制限となって使い勝手がよくなりました。

新NISAとiDeCoをうまく活用すれば老後2000円問題(今は3000万?)は解決できるはずです。

一方でまだ誤解や疑問も多く、利用してるのにうまくいってない人も多いようです。

 

新NISAが始まって半年以上が経過し、利用者さんから疑問や誤解が出ているようなので改めてまとめました。

新NISAのポイント

最近は長生きがリスクと見られるようになり、老後は特に必要なお金が増えます。

老後は生活費以外に医療費や介護費までかかってくるからです。

老後は年金だけでは生活が厳しいので、それまでに準備してきた老後資金が重要になってきます。

老後期間は公的年金を受け取りつつ、老後資金を運用しながら取り崩すがポイントです。

 

新NISAのポイント

・運用益非課税

・投資期間無期限

・年間投資枠360万円(つみたて投資120万、成長投資枠240万)

・生涯投資枠1800万円

・投資枠が翌年復活

非課税という点ではiDeCoの方が勝りますが、iDeCoは老後にしか受け取れません。しかし、NISAは目的は決まってません(いつでも売却できる)。

 

基本は長期・積立・分散投資

初心者向きなのは投資信託を使った積立です。

金融庁も投資信託での長期的な資産形成を推奨しています。

短期売買だと売り買いのタイミングが難しいですが、投資信託の積立投資ならタイミングを判断する必要が少ないからです。

また、いい投資信託なら1本だけで分散投資の効果が得られますし、個別銘柄のように倒産もありません。

損益通算できないのを考えても、投資信託こそNISAに適してると思います。

 

長期・積立・分散投資では、維持費(信託報酬)が安いということが重要です。

保有してる限りかかる費用が信託報酬なので、長期保有するうえで重視するポイントです。

投資信託にはインデックスファンドとアクティブファンドがありますが、インデックスファンドの方が信託報酬が安いのでインデックスが人気です。私もインデックスファンドしか保有してません。

 

投資信託は長期向きの商品なのに、日本人の平均保有期間は3年以下といわれています。

運用では複利を味方にすることが大切なので、これではメリットを活かせません。

投資信託の3分の2(2σ)が20%のリスクに収まるといわれてますが、10年程度ごとに起こる暴落ではそれを超えるマイナスもあるので、マイナスに耐えられず解約する人もいます。でも、結局は数年で元に戻ります。

 

下の表は100万円を運用した場合の結果です。

  3% 5% 7%
1年 103万 105万 107万
3年 109万 116万 123万
20年 180万 265万 397万
30年 243万 432万 761万

このように保有期間が長いほど複利の効果は大きくなります。

投資は時間を味方にすることが大事なので、始めるのは早く、長期保有が有利です。

早い方が有利ですが、始めるのに遅いということはありません。

 

成長投資枠でも投資信託は購入できる

新NISAの年間の投資枠は360万円で、そのうちの120万円がつみたて投資枠、240万円が成長投資枠です。

NISAの積立として毎月10万円を上限に設定できます。

投資信託をつみたて枠でしか買えないと誤解してる人がいますが、成長投資枠でも投資信託は購入できます。

つみたて投資として毎月10万円を設定してても、それとは別に成長投資枠で同じ投資信託を買えば、結果として毎月30万円積立できます。

注意点はとしては、購入時にNISA口座を選び、普通の口座で購入しないことです。普通の口座だと売却益に課税されてしまいます。

 

NISA口座内で売却した場合の投資枠の復活は翌年です。すぐに復活するわけではありません。

 

老後資金の準備は、現状ではNISAとiDeCoを活用するのがおすすめですが、それぞれ以下の点に違いがあります。

iDeCoとの比較

  NISA iDeCo
目的 決まってない 老後資金(60歳まで引き出せない)
非課税 運用益 拠出時・運用益・給付時
商品 株式・ETF・投資信託等(リスク低~高) 定期預金・保険・投資信託(リスク低)

 

おわりに

長期・積立・分散投資がいいといっても、10年以上保有していれば、どこかで市場の下落は起こります。問題はその時でも継続できるかどうかです。

投資信託は運用はプロがやるので初心者向きですが、商品選びで失敗すると保有期間が短くなってしまいます。

投資信託の平均保有期間3~4年以下といわれても、よい商品の保有率は高いです。

 

NISAは国民の資産形成のための制度のはずなのに、増税や保険料の負担増で日本人が投資に回すお金がなくなっています。これが一番の問題です。

この30年で国民の平均収入が横ばいですが、税負担は増え、社会保険料が倍以上では日本人の生活が苦しくなってます。

30年賃金が増えないのは日本とイタリアくらいで、他の国は上がってます。

30年前は10位以内だった年収も今では韓国に抜かれて24位という始末です。

アベノミクスの失敗も尾を引いてます。

 

こうなったら利用できる制度は賢く活用して不安を解消するしかありません。

  • B!