マンション管理士の資格を取っても食えない?役に立たない?知識を活かせるシーンとは

マンション管理士は、区分所有マンションの運営や管理について管理組合や区分所有者から相談を受けたり、修繕についてアドバイス・サポートする専門家です。

試験の難易度は高く、合格率は10%前後となっています。

同じ不動産関係の資格の宅地建物取引士や管理業務主任者よりも難しく、合格するには勉強時間も2~3倍必要とされています。

 

しかし、ネットでマンション管理士と検索すると「食えない」「役に立たない」「意味がない」といった書き込みが表示されます。

私もマンション管理士として登録してますが、結論から言ってしまうとマンション管理士だけではほとんどの人が生活していくのが難しいようです。

人によって立場や環境が違うので、全ての人におすすめの資格とは言えませんが、役に立たない資格かというと、自信をもって役に立つ資格だと言えます。

独立しても食えないというだけで、少なくとも管理会社、不動産業界、FPならマンション管理士の知識が役立ちます。

また、自身がマンションに住んでるのであれば、マンション管理士の知識が役立つシーンは多いはずです。

マンション管理士とは?

マンションが貴重な財産であるにもかかわらず、管理や運営は管理会社に任せっきりという人も多いのではないでしょうか。

マンションでも高齢化が問題になっており、修繕や理事会でトラブルになることも多くなっています。

マンション管理士は、区分所有建物の運営・管理に関する専門家です。区分所有建物に関する知識を活用してマンションのトラブルを解決するサポートや助言をします。

 

マンション管理士になるには、600時間以上の勉強と合格率10%の試験に合格する必要があります。

これだけの勉強時間は、1級ファイナンシャルプランニング技能士(ファイナンシャルプランナー)や行政書士に合格するのに必要な勉強時間に匹敵します。

資格合格までに1,000時間を費やす人も多く、この勉強時間だけを見ても高い専門性がある資格といえます。

なぜマンション管理士の資格が役に立たないと言われるのか

マンション管理士の資格は、難関資格にもかかわらず、取っても役に立たないと言われることが多いです。

このようなことを言われる理由には、やはりこの資格が仕事につながりにくいことと関係があります。

まず、マンション管理士には独占業務がないので、マンション管理に関するアドバイスやコンサルタントは資格がなくても行えます。

どの資格であっても重要なのは営業力や実務経験ですが、他の資格以上に営業を頑張らないと食べていけません。

 

マンション管理士の仕事は独立が前提の資格といわれています。

もし、マンション管理についての仕事に就くのであれば、マンション管理士よりも管理業務主任者の方が業務を行う上では重要です。なぜなら管理業務主任者には管理組合との契約について独占業務があるからです。

また、管理業務主任者もマンション管理に関する資格のうえ、マンション管理士の下位資格なので取得も比較的楽です。

 

マンション管理士に相談することが一般的でないので、マンション管理について管理会社に問題なければ、管理組合との顧問契約を取るのが大変です。

資格の難易度と需要とのバランスが伴っていないことも、この資格が役に立たないと言われる理由の一つであることは間違いないでしょう。

そもそもマンション管理士試験に合格しても開業する人が少ない

マンション管理士は難関資格にもかかわらず、食えないことで有名なので、開業する人があまりいません。

管理会社に不満を持つ管理組合は多いですが、管理会社に大問題がない限り、マンション管理士に仕事を依頼する機会がありません。資格があっても仕事を得る機会がなければ、開業して食べていくことは難しいです。

そもそもマンション管理士の知名度が低く、私もマンションを所有していた時でもそんな専門家がいることを知りませんでした。

 

マンション管理センターの調査によれば、マンション管理士の半数が100万円も稼げてないそうです。加えて2割以上のマンション管理士が1円も稼いだことがないのを見ると、夢も希望もないかもしれません。

登録しても維持費が5年で2万円以下と安いので、登録だけして何もしない人も多いです。何もしなければ稼ぐのは難しいでしょう。

また、マンション管理士として本気で営業してる人も見たことがありません。多くのマンション管理士は他に仕事を持っており、とりあえず登録だけの人がたくさんいます。マンション管理士として本を書いている人でも食えないなんて書いてるほどです。

ネットの記事でもマンション管理士の特集をしてるのに、マンション管理士について誤解してる記事も見かけます。

中にはマンション管理士で稼いでる人もいますが、圧倒的に少数派です。そもそもマンションのコンサルトは資格がなくても行えます。

マンション管理士で学んだ知識が役に立つ

そもそもマンション管理士という資格を勉強する意味があるのかと言われそうですが、私はマンション管理士を勉強してよかったと思ってます。

 

私は不動産会社とFP事務所でも働いたことがありますが、多い相談の一つにマンションに関するものがありました。

FPはお金のことばかりと思われがちですが、お金以外の相談もあります。

特に区分所有マンションに住んだことがない人は、どのようなトラブルがあるか分からず購入に踏み切れない人もいます。マンションの知識があれば、こういった相談にアドバイスすることもできます。

マンションと一口に言っても新築のものから老朽化したマンションがあり、どちらであっても問題があることを知ったのはマンション管理士のおかげです。

マンション管理士の本来の業務とは違いますが、ライターとして知識を活かしてる人もいます(資格を活かせる)。

 

自分自身が住んでる分譲マンションでも知識を活かせるので、マンション管理士は食えない資格かもしれませんが、役に立たないということはありません。

これからマンションを購入する人にはマンションの様々な問題点について知ることができます。

マンションの購入には数千万円から数億円が必要にもかかわらず、マンションを購入する人の多くが、マンションの問題点を理解せずに購入しています。

  • マンションの知識がない⇒後で後悔する
  • マンション管理士資格者⇒理解して購入できる

 

資格を取得すると身につく知識

  • どのような管理形態があるか知っている(自主管理・一部委託・全部委託)
  • 管理費や修繕積立金の適正化
  • 修繕積立金が将来どうなるか予測ができる
  • 総会・理事会の運営
  • 管理費や修繕積立金を滞納するとどうなるか
  • 管理規約と使用細則の違いが分かる
  • 区分所有法と規約での扱いの違いを知っている
  • 理事会の仕事を知っている

 

マンション管理士資格が役立つ場面

  • マンションに住んでるとき
  • 管理会社に就職してるとき
  • 不動産会社で働いてるとき
  • マンション管理士として独立するとき
  • マンションに関する記事を書いてるとき

老朽化マンションは増え続ける

日本にはマンションが700万あるといわれており、築40年のマンションも140万戸に上ると言われています。

今後も老朽化マンションは増え続けていき、社会問題となることは明らかです。

また、日本は現在、少子高齢社会真っ只中なので、管理会社も人手不足に落ちいっており、管理業務を撤退する会社も出てきました。

老朽化マンションが増え続ける一方で、こういったマンションはお金がないのでなかなか解決にいたりません。

区分所有マンションは不特定多数の人が共有する関係から、老朽化マンションだけでなく、問題を抱えるマンションは今後も増え続けるでしょう。

 

管理組合の高齢化、建替え問題、修繕積立金不足のマンションなど、問題を抱えるマンションが今後増え続けるといわれています。

マンション管理士はこれからの資格といわれてきましたが、これは何年も前から散々言われています。老朽化で崩れるマンションが出てきた時にマンション管理士が取り上げられ、ようやく日の目を浴びるかもしれないと思ってます。

マンション管理士資格の活かし方

マンション管理士が食えないといっても、資格を活かす方法はあります。

不動産業界やマンション管理業界に就職する

まだマンション管理士の知名度が低いため、独立しても食えないかもしれませんが、不動産会社や管理会社では知識が役立ちます。

 

不動産会社ではマンションの取引も数多く行われますが、マンションに対する知識不足の営業もいます。

知識不足が原因でトラブルに発展することも多いですが、マンション管理士の資格者なら回避できたトラブルがほとんどです。

 

マンション管理会社では管理業務主任者の資格があれば十分ですが、専門的な知識となるとマンション管理士に分があります。

不動産会社なら宅建士とマンション管理士のダブルライセンス、管理会社なら管理業務主任者とマンション管理士のダブルライセンスがあれば強みになります。

マンション管理士の知識を活かして副業をする人が増えている

コロナウィルスによって収入を得られなかった人が続出しました。リスク対策として最近では土日のみの副業やライターの副業をする人が増えています。

マンション管理士だけでは生活できない人も、他の士業の資格とのダブルライセンスで収入を得てる人がいます。私の知り合いには、弁護士、社労士、行政書士といった士業とのダブルライセンスの人もいます。

また、マンション管理士は維持費が他の士業と比べて安いので、土日のみマンション購入希望者にコンサルしたり、ライターとして活動してる人もいます。

特にライターでは専門性がある方が単価が高いので、マンション管理士にはうってつけです。

マンション管理士として独立後、スキマ時間にライターとして副業する人は多いです。

マンション管理士を役立てるためには

マンション管理士の資格を役立てるためには行動が必要です。

既に紹介したように宅建士、管理業務主任者、他の士業とのダブルライセンスで仕事の幅を広げることができます。マンション管理士で学ぶ知識に加えて建設の知識があると仕事につながりやすくなります。

マンション管理士は実務経験が重要なので、不動産業界や管理会社に勤めてから独立すると成功しやすくなります。

 

マンション管理士は仕事を得るのが大変かもしれませんが、独立すれば一国一城の主です。やり方次第で収入に限りがありません。中には年収2,000万円以上稼ぐ人もいるそうです。

 

資格を有しても待っているだけでは食えるようにならないので、営業や情報発信が重要です。

マンション管理士の事務所を検索してもホームページやSNSアカウントすらない事務所は多いです。

誰も知らなければ仕事を得ることはできませんから、集客のために情報発信や広告も必要です。

ホームページやブログ、記事を書けば宣伝にもなるので、独立した後のライターの副業とあわせてブログを書くことはおすすめです。

ブログの他にもSNSやYouTubeで情報を発信すると顧客を獲得しやすくなります。

 

マンション管理士の資格の評価
  • 食べていくのは難しいと言われてるが、役に立つ資格
  • 管理会社、不動産会社では活かせる
  • 独立しても食べていくのに時間がかかる
  • 現状では副業向きか
  • 兼業の人が多い
  • 将来化ける可能性がある

まとめ

日本にはマンションが700万戸あると言われ、築40年のマンションも140万戸あるといわれています。このことから何年も前からマンション管理士の資格は将来有望な資格といわれてきましたが、実際は仕事につながらないことが多く受験者も年々減少傾向にあります。

マンション管理士は現在はなかなか稼げないと言われていますが、やり方次第で十分役に立つ資格です。

 

マンション管理士資格の活かし方

  • 宅建士や管理業務主任者と活かすと効果的
  • マンション管理士単体では厳しい状況はメイン業務で乗り切る
  • マンションの住宅ライターとして知識を活用する
  • ブログやSNS、YouTubeなどで情報発信する