簿記の知識が必要な資格試験は多い

以前、ビジネスマンが取る最初の資格として簿記がおすすめと紹介しました。

簿記の知識が役立つ資格試験は多いので、ステップアップもしやすいです。

例えば、マンション管理士のように一見すると簿記とは関係ないような資格でも必ず1問は出題されるので、簿記の知識があると他の資格が少しだけ楽になります(難関資格では1点が合否を分ける)。

特に金融関係の資格は簿記の知識があると理解しやすいことが多いので勉強が捗ります。

ビジネスパーソンに必要なスキルといわれてるのが、簿記、IT、英語の3つといわれてるので、簿記を勉強しておくと何かと役に立ちます。

簿記の目的と資格

簿記の目的は、企業の一定期間の経営成績と一定時期の資産状況を知るためですが、これらは損益計算書、貸借対照表といった資料にまとめられます。

損益計算書や貸借対照表といった決算書が分かれば、企業の状況が分かるので社会人として武器になります。

また、決算書が読めると株式投資に大いに役立ちます。

企業分析でよく使われるPER(株価収益率)、PBR(株価純資産倍率)、EPS(1株当たり純利益)、ROE(自己資本利益率)、ROA(純資産利益率)といった指標も簿記の知識があれば使いこなせます。

 

損益計算書には、売上高から売上原価を引いた売上総利益や、売上総利益から販売費及び一般管理費を引いた営業利益や、営業利益に営業外収益を加えて営業外費用を引いた経常利益、当期純利益が表示されてますが、簿記が分かればこれらの数値の意味も分かります(活用できる)。

貸借対照表についても分かるようになります。資産の部は資産の使い方を表し、負債と純資産はお金をどこから調達したかを表してるといったことが分かるので、資料から財政状況が分かってしまいます。

決算書を読めば、どの株が割安で、成績がよくて、値上がりが期待できるか予想することができます(当たるわけではない)。

日商簿記

決算書を読みこなしたい人は簿記の資格がうってつけです。貸借対照表や損益計算書、キャッシュフロー表といった決算書をどのように作るかが学べます。

簿記の資格には、日商簿記、全経簿記、全商簿記の3つがありますが、どの資格でも簿記の知識が身につきます。

ただし、社会の知名度としては圧倒的に日商簿記が有名なので、就職や転職に資格を役立てたいと思うなら日商簿記一択です。

 

簿記の資格で最難関といわれるのが日商簿記1級と全経簿記上級です。

企業分析や決算書の読みこなしなら、どちらでも十分身につきます。また、この2つの資格は税理士の受験資格を得ることができます。

どちらも難関資格ですが、全経簿記上級の方が素直な問題が多いので攻略しやすいです。

 

合格率

  • 日商簿記3級 40%
  • 日商簿記2級 20~40%
  • 日商簿記1級 10%
  • 全経簿記上級 13~20%

証券アナリスト

証券アナリストは、証券や企業分析の専門家です。

金融系の資格であり、投資・金融について分析する専門家なので、簿記の知識が役立ちます。

特に財務分析では、企業の決算書を分析して収益性や成長性の判断が問われます。

 

合格率 1次・2次 約50%

ファイナンシャルプランナー

ファイナンシャルプランナー(以下FP)は、個人や家計のファイナンシャルプランニングに関する専門家です。

FPの資格には、1級から3級までの国家資格のFP技能士、民間資格のAFPおよびCFPがあります。

FPの試験では、金融、保険、不動産、ライフプラン、税金、相続といった6分野から出題されます。

不動産では減価償却費、税金では決算書の見方が問われます。

相談者に家計の状況を説明する際も貸借対照表の知識があると有利です。

 

合格率

  • 3級FP技能士 70~80%
  • 2級FP技能士(AFP) 20~50%
  • 1級FP技能士 10~18%
  • CFP(1課目) 30~40%

中小企業診断士

中小企業診断士は、経営やマーケティング、経済学やITといった知識を使って企業のコンサルタントをする専門家です。

財務・会計という科目で決算書の分析や管理会計が問われるので、簿記の資格で身につけた知識が役立ちます。

 

合格率

  • 1次 20~30%
  • 2次 20%

情報処理技術者試験

ITに関する資格は多いですが、唯一の国家資格が情報処理技術者試験です。

レベルによって複数の資格があり、入門レベルのITパスポートは社会人に必要な知識が学べます。

試験では、経営や法務、マネジメント、会計などが幅広く問われるので、簿記の知識が役立ちます。

合格率 ITパスポート 50%

税理士

税理士は税金の専門家として企業や個人の依頼を受けて決算書を作成します。

簿記論、財務諸表論の試験では、会計処理や決算書の作成だけでなく、理論についての理解が必要です。

簿記資格よりも難易度は高いので、簿記2級に合格してから目指す人が多いです。また、課目合格制を採ってるのも特徴的です。

 

合格率 1科目 10~20%

公認会計士

公認会計士は、会計や監査の専門家です。

三大資格の一つなので難易度も高いですが、簿記資格をきっかけに目指す人は多いです。

財務会計論で簿記や会計理論について学びます。

 

合格率 8%

米国公認会計士

米国公認会計士は、アメリカの州ごとに認定する公認会計士です。

試験は英語なので、英語のレベルも一定以上でないと合格できません。

国際的な会計ルールが身につくので、日本より海外で活躍できます。

 

合格率 科目 40~60%

不動産鑑定士

不動産鑑定士は、国や民間の依頼で不動産の価値を鑑定する専門家です。

鑑定を行って報酬を得られるのは不動産鑑定士だけです。

不動産鑑定士の論文試験に会計学があり、主に会計理論が問われます。

 

合格率 論文 15~18%

管理業務主任者

管理業務主任者はマンションの管理組合に必要な資格です。

試験では簿記の仕分けに関する問題が2問出題されます。2級簿記レベルの知識があれば勉強しないで2点もらったようなものです。

 

合格率 20%

マンション管理士

マンション管理士は区分所有マンションのコンサルタントです。

マンション管理士試験でも簿記に関する問題が1問は出題されます。

 

合格率 8~10%

まとめ

・簿記の知識は、社会人に必須のスキルの一つ(簿記・英語・IT)

・簿記の知識があると他の資格に役立つことがある

・決算書が読めれば投資に役立つ