日商簿記1級と全経簿記上級はどちらを目指すべき?それぞれの特徴と選び方

簿記の資格を主催する団体には、日本商工会議所、全国経理教育協会、全国高等商業協会があり、それぞれの簿記資格は日商簿記、全経簿記、全商簿記と呼ばれています。

全商簿記は高校生が対象の試験ですが、日商簿記と全経簿記は社会人で受ける人も多いです。

特に日商簿記の試験は知名度も人気も高く、毎年50万人が受験する人気資格となっています。

一方、全経簿記は勉強範囲においては日商簿記と被り、レベルも似ているのにもかかわらず、受験者は多くありません。私が全経簿記1級を受験した時は全部で3人しかいませんでした。

試験会場が専門学校だったこともあり、専門学校生のための資格と誤解されているのかもしれません。

 

日商簿記1級は簿記試験の最高峰といわれ、合格者には税理士試験の受験資格が与えられます。

私は高校で簿記に出会いましたが、日商簿記1級は難易度も知名度も高く、商業高校卒業者にとって合格者は羨望の眼差しで見られます。

そんな簿記1級と双璧をなす簿記資格の最高峰が全経簿記上級です。

全経簿記上級に合格した場合も税理士試験の受験資格が得られるので、税理士の受験資格が目的なら日商簿記1級と併願がおすすめです。

日商簿記1級と全経簿記上級の基本情報

日商簿記1級は、日本商工会議所が主催する簿記検定の資格です。

日本商工会議所の簿記1級の紹介ページでは、簿記1級について「極めて高度な商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算を修得し、会計基準や会社法、財務諸表等規則などの企業会計に関する法規を踏まえて、経営管理や経営分析を行うために求められるレベル。合格すると税理士試験の受験資格が得られる。公認会計士、税理士などの国家資格への登竜門。」と紹介しています。

 

一方、全経簿記上級は全国経理教育協会が主催する簿記検定の資格です。

全経簿記上級も出題レベルと範囲は日商簿記1級と似ています。

「最新の会計諸基準の理解、これに基づく財務諸表の作成ができる。会計数値の意味を理解し、会計情報を作成及び利用できる。

製造・販売過程に係る原価の理論を理解したうえで原価に関わる簿記を行い、損益計算書・貸借対照表を作成できる。また、製造・販売過程の責任者ないし上級管理者として、意思決定ならびに業績評価のための会計を運用できる。

全経簿記の資格を分かりにくくしてるのが、1級の上に上級があることですが、試験のレベルはそれぞれ以下のようになってます。

資格のレベル 日商簿記 全経簿記
難関 1級 上級
普通 2級 1級
やさしい 3級 2級

 

 

1級、上級とありますが、受験資格はどちらにもありません。2級に合格してから1級を目指す人がほとんどですが、最初から1級(上級)を目指しても問題ありません。

日商簿記1級も全経簿記上級も試験は1年に2回行われます。

日商簿記1級は6月と11月、全経簿記上級は2月と7月に実施されます。

試験範囲はどちらも似てるので、税理士資格がない人が両方の試験を受ければチャンスは倍になります。私も全経簿記上級の存在を知ってからは、日商簿記1級を11月に受けて、全経簿記上級を2月に受けました。11月に受けた日商簿記1級が不合格でしたが、次の6月に受けた時に合格しました。

モチベーション維持という点でも両方受験することをすすめます。

試験内容と難易度

日商簿記1級・全経簿記上級は試験科目も似ています。どちらも商業簿記、会計学、工業簿記、原価計算の4つがあり、どちらの試験も商業簿記と会計学が90分、工業簿記と原価計算が90分で行われます。

 

日商簿記はそれぞれの科目が25点配点の合計100点満点です。一方、全経簿記上級はそれぞれ100点配点の400点満点です。

合格するにはどちらも7割以上の点数が必要(日商簿記は70点以上、全経簿記は280点以上)です。また、4科目のうち1科目でも点数が4割を下回ると足切りで不合格になるのも同じです。

 

問題の傾向としては、日商簿記1級が計算を重視してるのに対して、全経簿記上級の方が理論を重視してます。

日商簿記1級の問題の方がひねった問題が多く出るのに対して、全経簿記上級は基本的な問題が中心です。そのため、全経簿記上級の方が努力が報われやすい試験といえます。

 

合格率は、日商簿記1級がだいたい10%、全経簿記上級が12~16%(211~215回)なので、やや日商簿記1級の合格率が低いです。

勉強時間については、日商簿記1級が800時間~1000時間といわれてますが、全経簿記上級は600時間~800時間で合格を狙えます。

 

日商簿記1級と全経簿記上級のどっちを選ぶべき?目的別おすすめ

日商簿記1級と全経簿記上級はどちらも税理士試験の受験資格を得られるので、税理士試験の受験資格が目的ならどちらかに合格するまで両方受験するのが良いと思います。

 

就職・転職に強いのは圧倒的に日商簿記1級です。

全経簿記上級は知名度が低いので、そもそも面接官が知らない可能性があります。いくら難関資格でも相手が知らなければ就職に有利になりません。

全経簿記上級を取得した人であっても、日商簿記1級に合格するまで受け続ける人は多いです。

全経簿記上級の資格を持ってると周りに言っても反応がないことがほとんどですが、日商簿記1級の資格を持ってると言うと凄いと言われます」

 

私は全経簿記上級に600時間、日商簿記1級に1400時間費やしましたが、税理士を目指す人であれば、日商簿記1級にこだわる必要はないので、全経簿記上級を取ってすぐに税理士の勉強をした方がいいかもしれません。

 

日商簿記1級の方が分かりやすい教材が入手しやすいです。独学で頑張るなら教材が特に重要です。

全経簿記上級の場合は手に入る教材があまりないので、日商簿記1級のテキストで学習を進め、全経簿記上級の試験対策は過去問を使った学習が効果的です。

日商簿記1級の学習が終わってる人なら、全経簿記上級は過去問だけで十分対策できるはずです。

 

全経簿記上級の過去問題集はTACのものが分かりやすいと思います。全経簿記上級に関するテキストは分かりにくいものが多いですが、TACなら大手予備校なので安心です。

独学で会計資格を目指すのであれば、TACか資格の大原のテキストが分かりやすく出来てます。

資格講座を利用する場合は、スタディングの簿記1級講座で学習を進め、全経簿記上級対策だけTACの過去問を使った学習が効果的です。



日商簿記1級と全経簿記上級の違いについてのまとめ

日商簿記1級 全経簿記上級
主催団体 日本商工会議所 全国経理教育協会
難易度 非常に高い(合格率10%前後) 高い(合格率12〜16%程度)
出題範囲 商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算 左と同じ
試験の実施 年2回(6月・11月) 年2回(2月・7月)
合格基準 各科目10点以上かつ合計70点以上 各科目40点以上かつ合計280点以上
難しさの印象 複雑な計算問題が多い(特に工業簿記) 理論多く、計算問題は基本的なものが多い
税理士試験の受験資格 あり あり
就職・転職の評価 高い(大企業・会計事務所) 認知度が低い
学習時間目安 800〜1,000時間 600〜800時間程度