全経簿記上級は日商簿記1級と並ぶ簿記資格の最高峰

簿記資格の最高峰というと、多くの人は簿記1級を思い浮かべると思います。

しかし、日商簿記1級と並ぶ簿記資格があることをほとんどの人は知りません。

その名は「全経簿記上級」という資格です。

 

全経簿記上級の試験難易度は日商簿記1級と同レベルの内容です。

私も日商簿記1級と並行して勉強しましたが、試験範囲は似てました。

 

税理士試験の受験資格が緩和されたと聞きましたが、調べたら緩和されたのは簿記論と財務諸表論だけで、税法課目は引き続き受験資格があります。

日商簿記1級に合格すれば税理士試験の受験資格を得ることができますが、全経簿記上級試験の合格でも得られます。

税理士試験の受験資格がない人には、日商簿記1級といっしょに合格を目指すことをおすすめる資格です。

全経簿記上級の試験概要

全経簿記上級の試験は、毎年2月と7月に行われます。

上述したように、全経簿記上級に合格すると税理士試験の受験資格を得ることができます。

 

全経簿記上級の試験レベル

商業簿記 / 会計学(上場企業)
上場企業の経理担当者ないし会計専門職ならびに将来,税理士・公認会計士を目指す者として,最新の会計諸基準を理解し,これに基づく財務諸表を作成できる。また,会計数値の意味を理解し,経営管理者として会計情報を利用できる。

工業簿記 / 原価計算
製造・販売過程に係る原価の理論を理解したうえで,経理担当者ないし公認会計士を含む会計専門職を目指す者として,原価に関わる簿記を行い,損益計算書と貸借対照表を作成できる。また,製造・販売過程の責任者ないし上級管理者として,意思決定ならびに業績評価のための会計を運用できる。

 

日商簿記1級の合格率は10%前後ですが、全経簿記上級は15%~20%です。最近は15%以下になることも多いですが、日商簿記1級の合格率よりも高い傾向にあります。

日商簿記1級は相対評価といわれてますが、全経簿記上級は絶対評価といわれてます(実際は怪しい)。

 

試験時間は、商業簿記と会計学が13時から14時30分までの1時間30分行われ、工業簿記と原価計算が15時から16時30分までの1時間30分行われます。

 

試験は商業簿記、会計学、工業簿記、原価計算のそれぞれ100点ずつの合計400点満点です。

合格に必要なのは合計で280点以上ですが、1課目でも4割未満だと足切りにあって不合格です。

 

全経簿記上級試験の受験料は7,800円です。

日商簿記1級合格者でも試験対策が必要

一般的に全経簿記上級は日商簿記1級よりも簡単といわれています。

日商簿記1級も全経簿記上級も足切りがあり、日商簿記1級で足切りにあう人は多いですが、全経簿記上級で足切りにあった人を知りません。全体的に全経簿記上級は基本的な問題が多いので、対策も立てやすいからです。

しかし、日商簿記1級に合格してる人が全経簿記上級をそのまま受験しても合格は難しいでしょう。

全経簿記上級の方がひねった問題は少ないですが、日商簿記に慣れた人から見ると試験が特徴的だからです。

日商簿記では見られないような理論問題が出たり、見慣れない原価計算も出題されたりします。当時の私は会計法規集を読むことが日課となっていたので、対策は立てやすかったです。

といっても過去問を解いて確認しておけば、日商簿記1級に合格した人ならまず合格できるでしょう。

 

 

私が受験した時の感想をいうと、日商簿記よりも全経簿記上級の方が基本問題が多いものの、計算量が多いと感じました。

慌てずに基本問題を解いていったら自然と落ち着きました。

同時期に受けた簿記1級は不合格でしたが、全経簿記上級の方は1回目の受験で330点取れました。次の試験で簿記1級も合格しました。

基本的に日商簿記1級と全経簿記上級は範囲が被るので、税理士試験の受験資格を得るためにはどちらも受けるとよいでしょう。

日商簿記だけだと試験が年に2回ですが、全経簿記上級試験も受けることでチャンスが倍になりますし、やる気を維持できます。

まとめ

全経簿記上級の試験は対策がしやすく、難易度的にも日商簿記1級より易しいです。

税理士試験の受験資格を得るために日商簿記1級の勉強をしている人は、全経簿記上級試験も並行して受験するのがおすすめです。

 

全経簿記上級を受けるメリット

・税理士試験の受験資格が得られる

・日商簿記1級のモチベーションが維持できる

・日商簿記1級より対策がしやすい

・自分に自信がつく