簿記の試験は一つじゃない!全経簿記能力検定試験とは?

簿記の知識はすべてのビジネスパーソンにとって役立ちます。

特に将来、会社員として経理を目指したい人にとっては必須の知識といえるのが簿記です。

ある資格コンサルトは、全てのビジネスパーソンに必要な知識が、IT・英語・簿記といいましたが、私もそう思います。

 

簿記の資格試験では日商簿記が有名なので、就職に役立てたい人には日商簿記がおすすめですが、実は簿記の資格試験には日商簿記以外にもあることはご存じでしょうか。

日商簿記以外の簿記試験

簿記の試験というと日商簿記が有名ですが、他にも主催者が異なる簿記試験があります。

会計専門学校の学生向けの全経簿記(全経簿記能力検定)と商業高校の学生向けの簿記実務検定(全商簿記)の2つです。

私は高校で簿記の授業があったので全経簿記も全商簿記も知ってましたが、ほとんどの人はこの2つの試験は知らないと思います。

一般的に簿記の資格というと日商簿記のことを指すので、迷ったら日商簿記を受けておけば間違いありません。

 

日商簿記と比べると知名度が低いので、全経簿記と全商簿記の2つは就職・仕事に役立たたないといった声を聞きますが、学ぶことは同じ簿記なのでそんなことはありません。

ただし、同じ1級でも日商簿記とそれ以外の2つとでは内容とレベルが違うので、その点に気を付けた上でどの簿記資格を目指すか考えないといけません。

例えば、日商簿記では入門資格の3級から最難関の1級までありますが、全経簿記上級では1級の上に最難関の上級というものがあります。これが簿記試験をややこしくしてる原因の一つです。

全経簿記上級は知名度は低いですが、学習する内容はハイレベルです。個人的にFPの最上級資格といわれるCFPより難しいと思います。

日商簿記 1級から3級まである
全経簿記 上級から3級までと更にやさしい基礎がある
全商簿記 1級から3級まである

日商簿記・全経簿記・全商簿記のそれぞれのレベル

簿記の試験には主催者によって日商簿記、全経簿記、全商簿記の3つがあることがお分かり頂けたと思うので、次にそれぞれの難易度を見ていきます。

難易度 日商簿記 全経簿記 全商簿記
難しい 1級 上級
普通 2級 1級 1級
やさしい 3級 2級 2級

同じ1級でも日商簿記とそれ以外の2つとでは難易度が違いますが、その点に気を付ければ上記の表が当てはまります。

日商簿記1級と全経簿記上級とは試験範囲(商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算)も似ており、試験のシステム(試験時間・足切り)も似ています。合格率は日商簿記1級が10%、全経簿記上級が15%とやや日商簿記1級の方が難しいですが、どちらも合格すると税理士試験の受験資格が得られます。

また、日商簿記1級や全経簿記上級で学んだことは税理士試験の簿記論、財務諸表論で大いに役立ちます。

 

私はどの試験も受けましたが、全体として日商簿記試験が少しひねったハイレベルな問題が出る傾向にあります。

例えば、全経簿記1級や全商簿記1級は問題集を繰り返しやれば満点も取れますが、日商簿記2級は1級レベルの人でも満点は難しいと思います。

全経簿記試験について

全経簿記の試験は、全経簿記上級試験だけ毎年2月と7月の年2回実施ですが、それ以外の級は年4回試験があります。

また、2級と3級は令和6年からネット試験(CBT試験)の実施が始まりました。

 

全経簿記上級では13時から14時30分まで商業簿記・会計学が行われ、同じ日の15時から16時30分まで工業簿記・原価計算の試験が行われます。

全経簿記上級に合格するには、商業簿記・会計学と工業簿記・原価計算をあわせて400満点中280点以上必要です。また、それぞれの課目で4割未満だと足切りとして不合格になります。

 

全経簿記1級では、9時から10時30分まで商業簿記・会計学が行われ、10時50分から12時20分まで工業簿記・原価計算が行われます。

全経1級の場合は、商業簿記・会計学と工業簿記・原価計算はそれぞれ別々の扱いなので、どちらかのみの合格もあります。その場合は別の回に残った方に合格すれば1級合格となります。

合格に必要な勉強時間

それぞれの簿記試験に必要な勉強時間は実際にはその人によりますが、一般的には以下のように言われてます。

日商簿記 全経簿記 全商簿記
1級(800~1000時間) 上級(500~800時間)
2級(200~300時間) 1級(150~250時間) 1級(150~200時間)
3級(50時間) 2級(50時間?) 2級(50時間?)

 

私は独学だったので勉強時間は上の数値よりも多いです。特に日商簿記1級は倍くらい費やしてるかもしれません。

当時は学生だったので朝から晩まで電卓を叩いていたような気がします。

 

日商簿記以外の試験を受けるにしても、簿記で学ぶことは同じなので日商簿記のテキストや講座で代用できます。

社会人は勉強できる時間が限られるので、短期合格を目指すなら資格講座の利用がよいでしょう。



まとめ

・簿記の試験には、日商簿記、全経簿記、全商簿記がある。

・全経簿記は専門学校生、全商簿記は高校生が主に受験する。

・全経簿記上級は日商簿記1級と並ぶ簿記試験の最難関資格。

・全経簿記上級か日商簿記1級に合格すると税理士試験の受験資格を得られる。

簿記試験それぞれの難易度

最難関 日商簿記1級・全経簿記上級
普通 日商簿記2級・全経簿記1級・全商簿記1級
やさしい 日商簿記3級・全経簿記2級・全商簿記2級