認知症になると何でもなかった日々の出来事に悪影響を与えます。
よく知られてるのは、認知能力が低下して人の名前が分からなくなったり、どこに何があったか分からなくなったりですが、他にも銀行でお金を引き出せなくなったり、相続がスムーズにいかなくなるといったことがあります。
認知症のリスク
ご存じのように認知症になると、認知機能や判断能力の低下により、物忘れがひどくなったり、自分で何をしているか分からなくなったりします。
日本社会の3割近くが高齢者といわれており、このうちの5人に1人が認知症のリスクがあるといわれてます。
銀行などの金融機関では、認知症の疑いがある人を詐欺や不正から保護するために預金取引は制限されますが、家族も影響を受けることが多いです。
判断能力の低下で意思能力がないと判断されると、何かを買ったり、契約するといった法律行為が無効となることがあります。
認知症になると法律行為が制限されるので、相続や契約といった行為にも影響します。
たとえば、相続の遺産分割協議は法定相続人全員の同意がいりますが、相続が発生して遺産を分割協議する場合に、法定相続人に認知症の人がいると判断能力が問題となります。
また、最近は高齢者を狙った詐欺や不正が増えてますが、詐欺師にあったらお金はまず返ってきません。
認知症になると法律行為が無効になるといっても、詐欺師には関係ありません。
契約が理解できず処分も難しい
認知症になると判断が難しくなるので、契約や資産の処分も出来なくなります。
法律的には意思がなければ、金融商品や不動産の取引を理解するのは難しく、原則として契約は無効になります。
株式や不動産といった資産は処分して換金できます。しかし、認知症だと自分自身で判断することが難しいので、市場が悪化しても損失を回避することができません。
銀行も普通預金の口座に対して本人のための費用であれば対応してくれるかもしれませんが、リスクのある商品に対しては否定的なので処分が難しくなります。
金融商品や不動産の取引なら相手は一般的に免許ある業者なのでいいですが、詐欺師の標的になると大変です。
オレオレ詐欺、ワンクリック詐欺や架空請求詐欺だけでなく、最近は突然自宅まで来て無料点検業者を装い、不必要なリフォームや契約を要求するケースもあります。
現在、町内会の役員をやらされてますが、小さな町内なのに毎月のようにこういった詐欺の報告があります。
詐欺師にいくら法律行為が無効と訴えたところで通用しません。
不動産でもリスク
認知症になると金融機関は口座を制限します。
アパートを所有して貸し出してる場合は入金まで制限されないので、家賃口座に入金はされますが引き出しは制限されます。
また、認知症の人は法律行為が難しいので、不動産の売却もできなくなります。
結果として本人が亡くなるまで空き家にして放置するケースが多いです。
空き家と知られたことで空き巣が入ったり、犯罪の取引場所に使われるリスクもあります。
認知症になった本人のために成年後見制度を利用されることが多いですが、本人のために家族が自宅を売却しようと思っても成年後見制度だと認められないことが多いです。
認知症になると不動産の売却ができなくなるだけでなく、判断能力がないので契約ができませんから、保有しているアパートの新規賃貸契約もできなくなります。
契約行為ができないので、契約の更新、保険契約、原状回復の工事、リフォーム、ありとあらゆる行為に支障をきたすのは想像に難くないでしょう。
認知症は早めの対策を
私が所属している勉強会でも成年後見制度は話題になりますが、最近は家族信託の話の方がよく出ます。
家族信託は、自分の財産の管理、運用や処分を家族などに任せる契約です。
成年後見制度では、本人の自宅は原則として売却できませんでしたが、家族信託なら売却することもできます。
信託の方が今は成年後見制度より注目されてます。
相続まで考えるのであれば、事前に財産を贈与することも対策になります。
年間110万円までは相続税がかからない暦年課税を使ったり、生前贈与を活用するといったことがよく採られてます。
相続対策というと、まず考えられてるのが遺言書の作成ですが、認知症になったら遺言書の作成も難しくなります。
まとめ
いかがだったでしょう、今回は認知症になると日々の行動だけでなく、契約や相続にも影響を与えるという話でした。
認知症対策は、本人の判断能力があるうちの早めの対策が重要です。
私も祖母や伯父の認知症を見てきたので、自分はならないよう認知症に効果ありといわれる運動、語学と楽器をライフスタイルに取り入れてます。