資産が目減りする?預貯金ではインフレのリスクに対処できない

投稿日:2019年11月18日 更新日:

 

銀行に預けたり、タンス預金をしていれば、元本割れがありません。

反対に株式や不動産に投資をしていると、元本割れの可能性は常にあります。

元本割れが起こるリスクがある一方で価値が上がって増えることもあります。

1万円は5年、10年経っても1万円だろうと思うかもしれませんが、資産の価値は一定ではありません。

過去30年は失われた時代といわれ、運用が必須ではなかったかもしれません。しかし、これからの時代、資産を守るためには資産運用が避けられません。

投資をしない人から見れば、価格の上げ下げだけに一喜一憂しているように見えるかもしれませんが、資産の価値は目に見える価額だけでは分からないこともあります。

インフレ(インフレーション)による資産の目減りについて

インフレ(インフレーション)とは、物価が継続して上昇することをいいます。

 

例えば、現在、手元に500万円あって金庫に預けたとします。

金庫に預けているので、5年経っても500万円に変わりはありません。

しかし、この場合にインフレが2%あったとしたらどうなるでしょう。

 

インフレ2%ということは、現在の価値が500万円の物が来年には2%上昇することを意味します。

来年には2%プラスした金額を出さないとその物が買えなくなるということです。

また、翌年以降も2%ずつ上昇していくので、5年後には1.104倍になっており、5年後には552万円出さなければ現在500万円だった物が買えなくなります。

手元にある500万円には何ら変化がなくても、インフレによって価値が目減りしてしまったのです。

 

一見すると2%は大したことないように見えるかもしれませんが、蓄積すると大きなダメージとなります。

 

資産には、名目的な価値と実質的な価値があるといわれますが、名目的な価値である500万円には変化がないのに、実質的な価値は変化しているのです。

ちなみに2%のインフレが起きた場合に、500万円が5年後に今の価値に直すといくらになっているかというと、452万円になっていることになります。

 

●インフレ2%の500万円

今の500万円と5年後の552万円は実質的に同じ。

500万円をタンス預金してるだけでは、5年後に現在の452万円分の商品しか買えなくなる。

 

預貯金や生命保険ではインフレに対処することが難しい

資産の目減りを表す例としてタンス預金を挙げましたが、預貯金や生命保険であっても同じです。

理由は利率が低いことによります。

 

預貯金であれば、1,000万円の元本までは保証されています。

また、生命保険も終身保険や個人年金は、いくら戻るかが事前に分かります。

 

現在、銀行にお金を預けても、0.001%とか0.002%、高くても0.02%といった利息しか付きませんから、ほぼ無視できるレベルです。

また、生命保険も何十年も預けて数%プラス、下手すれば元本を預けただけというレベルなので、これも無視できるレベルです。

 

日本は長らくインフレとは逆のデフレでしたから、大した問題になりませんでした。

しかし、政府は2%の物価上昇を目指していますし、最近は物価が値上げしたというニュースも聞くようになりました。

 

このまま物価の上昇が続くようなら、老後に備えて生命保険に加入したり、お金を銀行に預けるだけでは、インフレに対するリスクの備えとしては不十分ということです。

 

インフレに強い資産は、リスクのある資産

では、インフレに強いとされる資産にはどのようなものがあるでしょう。

インフレに強いとされる一般的な資産は、株式や投資信託、不動産などです。

確かにこれらの資産は、リスクがあります。

私もリーマンショックではひどい目に遭いました。しかし、そのまま保有していれば持ち直します。

 

不動産も過去には大きく値下がりしましたが、その後は順調に上昇し、今ではバブル期を超えています。

また、不動産の利益は、キャピタルゲイン(譲渡益)だけではなく、インカムゲイン(家賃収入)もあります。

 

不動産の購入では、ローンを使って購入することが一般的ですが、ローンというのはインフレが起きると負担が軽減されます。

インフレでは実質的に資産が目減りしますが、負債も目減りします。

上述したように2%のインフレでは500万円の価値が5年後に452万円になるように、借金も5年後に452万円に目減りすることになります。

 

そもそもリスクというのは、投資の世界では危険という意味ではなく、不確実性をいいます。

預貯金や債券に利息がつくように、今の資産は将来的に利息だけ増えますから、金額の多寡はあっても将来は今より増えてなければおかしいことになります。

 

インフレが2%なら、毎年2%増やさないと資産価値を維持できません。

リスクが5%であれば、株式は95%~105%になるリスクがありますが配当収入もあるので、増える可能性があります。

リスクのない預貯金は、減らないかもしれませんが、増えることもなく、受け取れる利息もあってないようなものです。

 

年金はインフレに弱い

老後生活の柱となる年金もインフレには弱いです。

現在の年金の額は、手取り賃金と物価上昇率が加味され、物価が上昇したら年金も改定されますが、必ずしも物価上昇率と一致するわけではなく、抑制するような仕組みが取られています。

 

平成31年度の年金額も名目値で見ればプラスとなりましたが、実質的価値で見れば目減りしています。

将来的には2割の目減りとなるといった試算もあります。

 

そうなると、個人個人でインフレへの対策を考えておく必要があります。

インフレ時代に備えて、リスクとどうやって付き合っていくかを考えておくといいかもしれません。

 

今回のまとめ

政府はインフレ目標を2%としましたが、結果は及びませんでした。

しかし、年金の目減りや平均寿命の延びといった別のところで問題が起きています。

その後、コロナショックを経て日用品の物価上昇が止まらない状況です。さらに政府の増税で国民は疲弊しています。

 

貯金だけではどんどん資産が目減りしていく状況になり、運用が必須のものとなりました。

インフレに対処するためには、リスクを抑えながら、うまくリスクと付き合っていくことが大切です。

 

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