銀行に預けたり、タンス預金をしていた場合は、元本割れがありません。
反対に株式や不動産に投資をしていると、元本割れはしょっちゅう起こります。
しかし、元本割れが起こるリスクがあるかわりに、価値が上がって増えることもあります。
投資をしない人から見れば、価額の上げ下げだけに一喜一憂しているように見えるかもしれませんが、資産の価値は目に見える価額だけでは分からないこともあります。
インフレ(インフレーション)による資産の目減りについて
インフレ(インフレーション)とは、物価が継続して上昇することをいいます。
例えば、現在、手元に500万円あって金庫に預けたとしましょう。
金庫に預けているので、5年経っても500万円に変わりはありません。
しかし、この場合にインフレが2%あったとしたらどうなるでしょうか。
インフレ2%ということは、現在の価値が500万円の物が来年には2%上昇することを意味します。
つまり、来年には2%プラスした金額を出さないとその物が買えなくなるということです。
また、翌年以降も2%ずつ上昇していくので、5年後には1.104倍になっており、552万円出さなければ5年前に500万円だった物が買えなくなっているのです。
手元にある500万円には何ら変化がなくても、インフレによって価値が目減りしてしまったのです。
一見すると2%は大したことないように見えるかもしれませんが、蓄積すると大きなダメージとなります。
資産には、名目的な価値と実質的な価値があるといわれますが、名目的な価値である500万円には変化がないのに、実質的な価値は変化しているのです。
ちなみに2%のインフレが起きた場合に、500万円が5年後に今の価値に直すといくらになっているかというと、452万円になっていることになります。
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預貯金や生命保険ではインフレに対処することが難しい
例として金庫預金を挙げましたが、預貯金や生命保険であっても同じです。
理由は利率が低いことによります。
預貯金でれば、1000万円の元本までは保証されています。
また、生命保険も終身保険や個人年金の多くは、いくら戻るかが事前に分かります。
現在、銀行にお金を預けても、0.001%とか0.002%、高くても0.02%といった利息しか付きませんから、ほぼ無視できるレベルです。
また、生命保険も何十年も預けて数%プラス、下手すれば元本を預けただけというレベルなので、これも無視できるレベルです。
日本は長らくインフレとは逆のデフレでしたから、大した問題になりませんでした。
しかし、政府はインフレに誘導したがっていますし、最近は物価が値上げしたというニュースもよく聞きます。
以上のことから、老後に備えて生命保険に加入したり、お金を銀行に預けるだけでは、インフレに対するリスクの備えとしては不十分ということです。
インフレに強い資産は、リスクのある資産
では、インフレに強いとされる資産にはどのようなものがあるでしょうか。
インフレに強いとされる一般的な資産は、株式や投資信託、不動産です。
確かにこれらの資産は、リスクがあります。
私もリーマンショックでは、ひどい目に遭いました。しかし、そのまま保有していれば持ち直します。
不動産も過去には大きく値下がりしましたが、その後は順調に上昇し、今ではバブル期を超えています。
また、不動産の利益は、譲渡益(キャピタルゲイン)だけではなく、家賃収入(インカムゲイン)もあります。
不動産の購入では、ローンを使って購入することが一般的ですが、ローンというのはインフレが起きると負担が軽減されます。
インフレでは資産が目減りしますが負債も目減りするので、上述したように2%のインフレでは500万円の価値が5年後に452万円になるように、借金も5年後に452万円には目減りすることになります。
そもそもリスクというのは、危険という意味ではなく、不確実性をいいます。
例えば、リスクが5%であれば、株式は95%~105%になるリスクがありますが配当収入もあるので、増える可能性があります。
リスクのない預貯金は、減らないかもしれませんが、増えることもなく、受け取れる利息もあってないようなものです。
年金はインフレに弱い
老後生活の柱となる年金もインフレには弱いです。
年金の額は、手取り賃金と物価上昇率が加味され、物価が上昇したら年金も改定されますが、必ずしも物価上昇率と一致するわけではなく、抑制するような仕組みが取られています。
平成31年度の年金額も名目値で見ればプラスとなりましたが、実質的価値で見れば目減りしています。
将来的には、2割の目減りとなるといった試算もあります。
そうなると、個人個人でインフレへの対策を考えておく必要があります。
「預貯金では資産の目減りに対処できない」のまとめ
政府はインフレ目標を2%としましたが、結果は遠く及びませんでした。
しかし、年金の目減りや平均寿命の延びといった別のところで問題が起きています。
インフレに対処するためにも、リスクを抑えながら、うまくリスクと付き合っていくことが大切です。