新NISAのポイントと積立投資の基本が一気にわかる記事

2024年から新NISAが始まります。

今のNISA制度にも、つみたてNISA、一般NISAとしてありますが、来年からは自由度が高まったり、投資枠が拡大されます。

NISAは国民の資産形成を目的としたものなので、投資未経験の人にも投資を始める制度として適しています。

ただし、非課税とはいっても投資にはリスクがありますし、リスクを嫌うあまり安定志向過ぎて残念な結果となることは考えられます。

そこで今回は投資初心者でも資産形成がしやすい積立投資について説明します。

今のNISAと新NISAの違い｜どこが変わるのか？

資産形成は長い期間コツコツと続けるのが大切なので、長くコツコツ投資することを国が後押ししようとできたのがNISA制度です。

日本の個人資産が2000兆円なので、日本の個人資産を運用して1％上昇させることができれば、日本の名目GDPが3％引き上げるのと同様の効果が期待できるといわれています。そのため国が金融機能の向上に目をつけるのは当然といえます。

2023年までのNISA

NISAには、つみたてと一般のものがあり、つみたてNISAは投資信託、一般NISAは投資信託に加えて株式なども対象になります。

2023年のNISAも期間が終了するまでは続けられます。

• 併用不可

• 売却しても枠は復活しない

新NISA（2024年〜）の特徴

非課税限度枠は1800万円（このうち成長投資枠は1200万円まで）に拡大され、非課税保有期間にいたっては無期限になります。

• 非課税限度枠→拡大
• 非課税保有期間（5年または20年）→無期限

最大の特徴は、つみたて投資枠と成長投資枠との併用が可能で、売却すると元本分の非課税枠が翌年復活します。

• つみたて投資 or 成長投資 → 併用可（つみたて年120万円・成長投資年240万円）
• 枠を使い切る→売却→売却した部分は翌年復活

非課税保有期間が無期限になり、年間投資枠の上限はありますが売却したら非課税枠が復活する（上限内で）ので、使い勝手が格段に良くなります。

積立は資産形成の基本｜初心者がまずやるべき理由

投資未経験の人には積立投資がおすすめです。

長期・分散・積立が資産形成の黄金ルール

資産形成では、分散投資で長期的に積立てていくのが基本とされています。

長期、分散、積立がポイントとなるのは、必ず投資でつきもののリスクを抑えることが可能だからです。

投資をしていると、株が暴落して価値が半分以下になることも普通ですし、最悪の場合は企業が倒産してしまうこともあります。また、株価は日々上下しますから、どのタイミングで買うか判断に迷うこともあります。

資金を一括投資してしまうと、株式市場の影響を大きく受けますし、値下がって大損する可能性もあります。

個別株式の場合は、それなりの資金が手元にないと始められません。

その点、積立投資なら少額からコツコツと始めることができ、買うタイミングで悩むこともありません。

個別株をやる場合も、積立投資と並行して行えば、精神的にリスクが取りやすくなります。

• 長期投資：値動きのリスクが平均化される
• 分散投資：1つの資産が暴落しても全体で吸収できる
• 積立投資：買うタイミングを気にしなくていい（ドルコスト平均法）

長期投資が最強の理由（金融庁データ）

投資というのは、投資する人がお金を企業に預け、預かったお金を企業が有効に活用して利益を上げ、結果として利益の一部を配当金として受け取れます。

したがって投資で利益を得るには基本的に時間がかかります。短期的に売買を繰り返すのは投資というよりギャンブルに近い（というよりコツがいる）わけです。

• デイトレード、スイングトレード（投機、ギャンブルに近い）　⇔　長期積立て、中長期（投資）

金融庁のデータ（1985年～）によれば、積立投資を5年間した場合に、投資した人の年間収益率は－8％～14％の範囲で収まり、投資した人の20％程度が損失を出す結果となりました。

しかし、積立投資を20年間と継続した場合、収益率は2％～8％となり、損失を出したケースはゼロでした。

• 積立投資の期間→長くなるほど損失しにくい・収益率が平均に収束

コインやサイコロも最初のうちは結果が偏るかもしれませんが、数をこなしていくと大数の法則によりコインは表と裏が1/2、サイコロは1/6の割合に収束していきます。

投資も長期で行うことで期待リターンに収束していくことから、長期的に投資を続けることはリスク回避になります。

分散投資でリスクを抑える

手持ちの資金を一つの株に投資すると、その株が暴落したらアウトです。最悪の場合は倒産で資金を失うことになりかねません。

有名な投資の格言に「すべての卵を一つのかごに盛るな」というものがありますが、投資先も分散することでリスクを抑えられます。

• 特定の1社の株：倒産したら終わり

• 分散された投信：世界中の株式・債券にリスク分散

よく分散投資のモデルに例えられるGPIFも外国株式、国内株式、外国債券、国内債券にバランスよく分散投資しています。GPIFは、年金積立金管理運用独立行政法人のことで、私たちの年金を運用している機関投資家です。

同じ時期でも良い成績の企業があれば、良くない企業があるように、似たような動きをする株価よりも、あまり関係ないもの同士（相関が弱い）を選べば分散の効果が得られます。

グローバル化で海外の影響を受けやすくなった日本なので、外国株式や外国債券にも分散投資した方がリスクだけでなく、リターンも取り込めます。

投資信託やETFは、複数の資産が組み合わさっているので、自然と分散投資の効果があります。

積立投資は「買うタイミング」で悩まなくていい

積立投資は定期的にコツコツと積立を行う投資です。毎月決まった額を積立てるので買うタイミングを気にしなくて済みます。

株価が高いときは買う分も少なくなりますが、株価が安ければ多く買うことができるため、高値で買うリスクが抑えられます（ドルコスト平均法）。

ドルコスト平均法は、リターンが抑えられるかもしれませんが、リスクを抑えられることから、投資初心者や未経験者が投資を始めるのにおすすめの方法です。

定額の積立投資では、毎月一定額の投資信託や株式を購入するのですが、投資信託なら100円といった少ない資金でも始められます。

投資するための資金を貯めるのを待っていると、投資機会を逃してしまいます。その点、投資信託であれば、すぐに始められます。

市場の状況に寄っては大きく値下がりすることがあります。 そんな時であっても止めることなく継続して積立てていくことが重要です。

• 価格の値下げ→安く買える
• 継続する→あとで活きてくる
• いつでも、少額でも、初心者でも始められる

こういった理由が初心者に向いている最大の理由です。

積立投資の注意点｜商品選びが9割を決める

積立投資は「買うタイミング」は心配いりませんが、何を買うかは自分自身で判断する必要があります。

年間コストが高い商品は長期投資に不利とされ、銘柄選びで成績が大きく変わります。

最初の投資信託選びを間違えると、20年後のリターンに大きな差が出ます。

そのため、投信の中身を理解することが重要です。

おわりに｜インフレ時代に投資は必須

投資をしなければインフレで資産は目減りしていきます。

今の1万円も20年後の1万円も額面的には同じかもしれませんが、20年後の1万円札では今の6000円分の商品も買えないかもしれません。表面的には同じでも価値は変化していくので、投資を身につけてせめてインフレ分は維持したいものです。

新NISAは、資産形成をする人にとって非常に有利な制度になりました。長期・分散・積立を丁寧に続ければ、インフレに負けない資産づくりが可能です。