日本では多くの人が生命保険に加入しているといわれますが、「難しい」「自分がどんな保険に入っているか分からない」という声をよく聞きます。
保険会社ごとに商品名が異なることも、分かりにくさの一因です。
しかし、無数にある生命保険も、基本となる形は「定期保険」「終身保険」「養老保険(生死混合保険)」の3種類だけです。
複雑に見える商品も、この3つのいずれかを応用したものにすぎません。基本を理解すれば、自分に合った保険を選びやすくなります。
この記事で分かること
- 生命保険の目的と、社会保険との関係
- 基本3種類(定期・終身・養老)の特徴と違い
- 解約返戻金と貯蓄性の考え方
- 自分に合った保険の選び方
目次[閉じる]
まず「社会保険でカバーされる範囲」を押さえる

生命保険を考えるうえで大切なのは、公的な社会保険でどこまで備えられているかを先に知ることです。
社会保険は強制加入で、すでに一定の保障があります。
その不足分を民間の生命保険で補う、と考えると無駄が減ります。
- 死亡時:公的年金から遺族年金が支給される場合があります。生命保険は、その不足分を補うように考えます。
- 病気・けが:健康保険には高額療養費制度があり、自己負担には上限があります。医療保険は、それでもカバーしきれない部分を補うものと位置づけられます。
つまり、「いくらの保障が必要か(必要保障額)」は、公的保障を差し引いて考えるのが基本です。
ここを踏まえると、過大な保険への加入を避けられます。
生命保険の主な目的
生命保険は、主に次の目的で利用されます。
死亡保障
大黒柱に万一のことがあっても、遺された家族が生活できるように備えます。共働きが一般的になり、必要な保障額は世帯によって大きく異なります。場合によっては手厚い死亡保険を必要としないこともあります。
貯蓄(資産形成)
終身保険・個人年金・養老保険などには、貯蓄的な性格があります。ただし貯蓄性は予定利率の影響を受けます(後述)。
医療・介護への備え
平均寿命が延びる中で、医療保険・がん保険・介護保険の需要が高まっています。
生命保険の基本3種類の違い

まず全体像を表で整理します。
| 定期保険 | 終身保険 | 養老保険(生死混合) | |
| 保障期間 | 一定期間 | 一生涯 | 一定期間(満期まで) |
| 満期金 | なし | なし | あり(死亡保険金と同額) |
| 貯蓄性 | 低い(掛け捨て中心) | あり(解約返戻金) | 高い |
| 保険料 | 割安 | 中〜高 | 最も高め |
| 主な用途の例 | 子の独立まで・住宅ローン期間など | 葬儀費用・相続対策など | 教育資金など計画的な準備 |
以下、順に見ていきます。
定期保険|一定期間を割安に保障
定期保険は、一定の期間だけ保障する生命保険です。
保障が一定期間に限られるため、保険料は割安です。
原則として掛け捨てで、保障期間に何もなければ契約は終了し、解約返戻金はないか、あってもわずかです。
同じ保障額なら最も保険料を抑えられるのがメリットです。
子どもが小さく手厚い保障が必要な時期や、住宅ローンの返済期間など、「一定期間だけ大きな保障がほしい」場面に向いています。
保障がだんだん減る逓減定期保険、増える逓増定期保険、毎月年金のように受け取れる収入保障保険も、一定期間を保障する定期保険の応用です。
終身保険|一生涯の保障と貯蓄性
終身保険は、保障が一生涯続く生命保険です。
解約しない限り必ず保障されます。
掛け捨てではないため、定期保険より保険料は高めです。葬儀費用など「いずれ必ず必要になる費用」への備えや、相続対策として利用されることがあります。
なお、亡くなったときには健康保険から埋葬料等が支給されますが、金額は限定的です。
解約返戻金について
終身保険では、保険会社が保険料の一部を積み立てており、解約するとその一部が解約返戻金として戻ってきます。
この仕組みを使い、保障を得ながら将来資金を準備する使い方もあります。
ただし、保険料払込期間の途中で解約すると、払った保険料を下回る(元本割れ)ことが多い点に注意が必要です。
また、貯蓄性は契約時の予定利率に左右されます。
予定利率が低い時期に契約した保険は、貯蓄目的としての妙味が小さくなります。
💡 予定利率は金利環境によって見直されます。近年は金利が上昇する局面に入り、保険の予定利率にも変化が見られます。貯蓄目的で検討する場合は、契約時点の条件を確認し、新NISAやiDeCoなど他の手段とも比較したうえで判断することが大切です。
運用結果に応じて保険金や解約返戻金が変わる変額終身保険もあります(価格変動・元本割れの可能性があります)。
養老保険(生死混合保険)|貯蓄性が高いタイプ

養老保険は、満期まで生きていれば満期金を受け取れ、満期前に亡くなれば(満期金と同額の)死亡保険金が支払われる保険です。
たとえば60歳満期なら、60歳までに亡くなれば死亡保険金、生きていれば同額の満期金を受け取れます。
貯蓄性が高い一方、保険料は3種類の中で最も高めです。
子どもの教育資金など、計画的な準備に使われてきました。子どもの学資保険も、この養老保険の一種です。
貯蓄性は予定利率の影響を受けるため、他の資産形成手段と比較して検討するとよいでしょう。
貯金と保険の違い
貯金は、目標額に達するまで時間がかかります。
これに対して保険は、加入した時点から契約した保障額を確保できます。
その代わりに保険料がかかります。「万一が”いつ起きるか分からない”リスクに、すぐ満額で備えられる」のが保険の役割です。
保険料の見直しで金額が下がることがありますが、理由はさまざまです(終身から定期への変更、保障額の減少など)。
逆に、保障が不足していれば見直しでむしろ上がることもあります。
大切なのは金額の大小ではなく、必要な保障がカバーできているかです。
貯金と保険の違いを示したのが下の図です。
満額の保障を得ようと思っても、貯金だと時間がかかります。これに対して保険であれば、加入したときから満額の保障を得ることができます。そのかわりに保険料がかかるということです。
生命保険に対してネガティブな印象を持つ人は多いですが、ライフプランに合わせてうまく使い分けることが大切です。
自分に合った保険の選び方
目的をはっきりさせる
死亡保障が目的か、貯蓄が目的かで選ぶ種類が変わります。保障目的なら、まず割安な定期保険で必要保障額を確保するのが基本です。
必要保障額は公的保障を差し引いて考える
遺族年金や高額療養費でカバーされる分を踏まえ、不足分だけ備えます。
貯蓄目的は他の手段と比較する
貯蓄性保険は予定利率に左右されます。新NISA・iDeCoなどと比較し、流動性(途中で引き出せるか)もあわせて検討します。
ライフプランの変化で見直す
子の独立、住宅購入、収入の変化などの節目で、保障が過不足ないか確認します。
まとめ
◎生命保険の基本は、終身保険、定期保険、養老保険の3つ
- 終身保険は一生涯保障される
- 定期保険は一定期間保障される
- 養老保険は、満期まで生きていても亡くなっても同じ金額が保障される
◎定期保険の特徴
- 保障期間が一定:10年、20年、60歳までなど期間を決めて加入
- 期間中に死亡した場合のみ保険金が支払われる
- 掛け捨てが多く、解約返戻金は基本的にない
- 保険料を抑えられるが、更新時に上がるのが通常
- 子供が独立までの保障を確保したい人
- 住宅ローン期間中だけ保障を得たい人
◎終身保険の特徴
- 一生涯の保障
- 保険料は一定(全期払い・一定期間支払)
- 解約返戻金がある(貯蓄性がある)
- 保険料が高い
- 葬儀費用・相続対策に備えられる
◎生死混合保険の特徴
- 期間内に死亡した場合→死亡保険金
- 生存して満期を迎えた場合→満期保険金
- 生きていても、亡くなっても保険金が受け取れる
- 保険料は最も高い
- 子供の教育資金や結婚資金を計画的に準備できる
ご注意
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の保険商品・金融商品の加入や購入を推奨するものではありません。
当事務所は保険募集や投資助言・代理業の登録を行っていません。保険の予定利率・商品内容・税制は改正や見直しがあり、記載の内容は執筆時点のものです。加入・見直しの判断は、保障内容を確認のうえ、必要に応じて専門家にご相談ください。

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