高層マンションを筆頭に首都圏のマンション価格の高騰が続いてますが、実は管理費や修繕積立金といった毎月かかるコストも同じように上昇しています。
平成30年度のマンション管理費の平均が約1.6万円でしたが、東京オリンピックやコロナ後も上昇を続け、管理費が5年で30%以上上昇したケースも出ています。
分譲マンションには管理費に加えて修繕積立金が毎月かかりますが、修繕積立金も年々上昇傾向にあります。
特に分譲マンションの多くは、修繕積立金の積立方式に段階増額積立方式を採用してるので、インフレに係わらず増額する仕組みになっています。
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なぜ管理費や修繕積立金は上がり続けているのか?

長尾さん(仮称)は、40代の子育て世代でしたが、上の子供が中学に進学するのを機にマンションを購入しました。
毎月の支払いは住宅ローンに加えて、管理費・修繕積立金がかかります。購入時に修繕積立金が将来値上がりする可能性があると説明を受けましたが、あまり深くは考えてませんでした。
しかし、昨今の人件費や物価高の影響により、総会の決議で管理費と修繕積立金が2割増えることが決定しました。
物価高は日用品や教育費にも影響し、生活にゆとりがない状況に追い込まれました。
区分所有マンションを購入するときに、何に気をつけなければいけなかったのか?
既に購入してしまったからには、どのような対策を取れるかを考えて行動できるかが重要になってきます。
管理費は「日常運営コストの高騰」が直撃
管理費と修繕積立金の目的はそれぞれ異なります。
目的が違うので法律上は区分して扱われています。
管理費……通常の管理に必要な経費(日常的に発生する費用)
管理費の例
- 管理員の人件費、管理組合が払う税金、共用設備の維持費・運転費、管理に必要な事務費、経常的な補修費用、清掃費、ごみ処理費、専門家の活用費、その他運営にかかる費用
修繕積立金は「将来修繕の不足」を防ぐために増額
修繕積立金は、主に十数年ごとに行われる修繕のための積立金です。それ以外にも不測の事故や建替えといった費用に使われるお金です。
修繕積立金……特別の管理に必要な経費(数年・十数年に一回程度必要な費用)
修繕積立金の例
- 十数年ごとに計画的に行う大規模修繕、敷地・共用部分の変更費用、不測の事故など特別の事由によって必要となる費用、建替え費用、売却費用、その他特別に必要となる費用
管理費が値上がりする理由
管理費は主に共用部分の維持管理に使われる費用ですが、清掃費や人件費、ごみ処理費用や水道光熱費が影響してきます。
水道光熱費や人件費が値上がりしている昨今では、管理会社との再契約で管理費が増額されるケースが増えています。
最近は管理費の値上げに応じないマンションが管理会社から契約更新を断られるケースが出ています。
- 管理組合が管理会社を選ぶ時代→管理会社に選ばれる時代へ
最近の管理費の主な値上げ理由
- 建築資材の高騰
- 人件費の高騰(人手不足含)
マンションの管理形態
特にマンションの管理員の人手不足は深刻化しており、管理費の高騰もあって常駐から巡回、清掃回数を減らすマンションも出ています。
- 全部委託契約
- 一部委託契約
- 自主管理
修繕積立金が値上がりする理由
国土交通省が公表しているガイドラインでは、30年に2回以上の大規模修繕を含むとしており、30年に2回の大規模修繕実施に備えて修繕積立金を準備しなければいけません。
また、長期修繕積立計画および積立金の額は5年程度ごとに見直すことが想定されています。
修繕積立金が定期的に値上がりする理由の一つに、修繕金の積立方式があります。
修繕積立金の積立方式については、将来の大規模修繕費をもとに均等割にする均等積立方式と、段階的に増額していく段階増額積立方式がありますが、多くのマンションでは段階増額積立方式を採用しています。
5年程度ごとの計画の見直しによって、均等積立方式でも修繕積立金が増額する恐れはあります(インフレなど)が、段階増額積立方式は増額しなければ修繕費用が確実に不足します。
- 大規模修繕を怠る→資産価値の下落
- 修繕積立金の不足→借入金で賄う→将来的な負担増
段階増額積立方式は値上げ前提の仕組み
建築関係の知り合いと話すと建築資材の高騰は明らかで、建築資材や人件費の高騰で修繕積立金は確実に高くなると予想できます。
段階増額積立方式の場合は、積立方式による修繕積立金の増額に加えて、物価高による増額もあるので、特に注意が必要です。
- 修繕積立金の積立方式が原因
- 建築費、資材、人件費の高騰
- 積立金不足
- 築40年を超えると給排水管、エレベーター、耐震補強などの高額修繕が重なる
修繕積立金が増額する理由
- インフレ
- 積立方式が段階増額積立方式(増額しなければ成り立たない前提)
管理費・修繕積立金が上がりやすいマンションの特徴
毎月修繕積立金が徴収されてることから、建て替えもスムーズに行われるだろうと思ってませんか?
実は区分所有マンションの3割が積立金不足といわれており、建替えをする場合に累計の修繕積立金が不足すれば、一時金として追加で資金が必要になる可能性が高いです。
小規模・築古・豪華設備は特に注意
マンションの維持費コストは管理組合全体で負担します。そのため、区分建物マンションでは以下のような共通点があります。
- 建築費と資材費は全国共通、人件費は都市部が高い
- 設備が豪華、居住者専用バスがあるマンションは管理費が高い
また、以下のようなマンションでは、一時金の徴収、大幅な値上げが行われるリスクが高いといえます。
- 小規模マンション
- 築年数が古い
- 段階増額積立方式を採用している
- マンションの設備が不必要に豪華
組合員の高齢化で合意形成が難しいケースも
マンションは適切に修繕すれば100年以上持つといわれており、そのためには定期的な修繕が欠かせません。
マンションの資産価値を維持するには修繕が欠かせないのですが、老朽化したマンションの中には高齢化が進み、修繕積立金の適正化が図れないマンションが増えています。
組合員の高齢化が進めば、合意形成が難しくなることも増えます。
- 35年の住宅ローンを返済→マンションの老朽化→組合員の高齢化→合意形成が難しい
管理費や修繕積立金の負担を嫌って、マンションを相続しても通知しない人もいるそうです。管理費・修繕積立金が徴収できなければ、滞納率が増えて積立金が不足するので、資産価値の維持が難しくなります。
相続登記の義務化がスタートしましたが、マンションの運営に積極的でない人ばかりだと合意形成自体が難しくなります。
滞納率が高いと将来の一時金リスクが増える
修繕積立金の滞納が高ければ、適切な時期に修繕ができなくなり、結果として将来の修繕費の負担が増えるかもしれません。
- 人件費、建築費、資材費の高騰は値上げ要因
- 段階増額積立方式だと値上がりする前提
- 将来的に3万円を超えるマンションも(タワマンはもっと高い)
- 修繕積立金が不足すると将来に一時金徴収、増額するリスク
購入前に必ずチェックしたいポイント

購入前にすること
- 管理費・修繕積立金の上昇することを考慮して資金計画を立てる
- ライフプランを立てて全体のバランスを見る
長期修繕計画と積立金額を確認する
- 予定工事と積立金額に無理がないか
- 管理費や修繕積立金の滞納をチェック
- 修繕積立金の積立方式が均等積立方式と段階増額積立方式のどちらか
過去の修繕実績を確認する
- 修繕が適切に行われているか、先送りしていないか
- マンションの築年月はいつか(旧耐震基準か新耐震基準か)
管理組合の運営状況の確認
- マンションの所有者は必ず組合員になる
- マンションは多数決によって決議される
- どのような運営状況か総会議事録で確認
- 組合員が積極的に運営に参加→資産価値を維持しやすくなる
- 修繕積立金の値上がりを想定してライフプランを立ててみる
すでに住んでいる人が取れる対策

- 家計を見直す
- 将来の値上げを想定してシミュレーションをする→積立投資を取り入れる(インフレ)
- 現在の価値と比較して柔軟な行動をとれるようにする(売却など)
総会に参加し、管理会社・契約内容も見直す
近所づきあいが嫌いだから区分マンションにしたという人は多いですが、実際は戸建て以上に近所づきあいが重要なのが区分建物マンションです。
- 他人任せにせず積極的に総会に参加することも重要
- 管理会社の見直し
- 近所づきあいは戸建てより重要
将来の値上げを前提にライフプランを組む
- 生活防衛資金や教育資金と区別して、マンションの予備資金を積み立てる
- NISAや投資信託を利用して長期的に運用し、将来の一時金・値上げに備える
現在、インフレが懸念されてますが、今後は投資を実践する人とそうでない人とで差がつきます。
- 投資しない人→インフレに対応できない
- 毎月1万円を積立投資(7%)→5年(71万円)→10年(171万円)
- 100万円を7%で運用→10年(213万円)→20年(433万円)
- 管理費・修繕積立金に備える→5年ごとに50%アップしても家計へのダメージが緩和
資産価値が下がる前に売却するという選択肢も
区分所有マンションで十分な修繕積立金が積立てられているのは3割といわれてますが、修繕積立金不足が大きく、将来的に負担増が見込まれるのであれば、資産価値が下落する前に売却して住み替えることも現実的な対策かもしれません。
- 所有権は放棄できない→老朽化で通行人がケガ→誰が責任を負う?
まとめ|管理費・修繕積立金は上がる前提で準備しておけば怖くない
今後、マンションの管理費・修繕積立金は値上げが避けられませんが、購入前のチェック、住んでからの工夫、ライフプランでの備え、将来の住み替え判断でリスクが緩和・解消できます。
管理費はその都度値上げ、修繕積立金の場合は5年程度に見直しといった違いもあります。
家計単位では、できる範囲でいいので毎月投資で積み立てをしてると将来のリスクに備えやすくなります。

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