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年金増額でも安心してはいけない?年金が物価上昇に追いつかない理由とは

年金増額でも安心してはいけない?年金が物価上昇に追いつかない理由とは

令和8年度(2026年度)の年金額は、前年度から引き上げられました。

「年金が増えた」というニュースを見ると安心しそうになりますが、実はこの増額は物価の上昇分に届いていません。

なぜ年金は物価上昇にそのまま連動しないのか。その理由は、年金制度に組み込まれた「マクロ経済スライド」という仕組みにあります。

この記事から分かること
 
  • 公的年金の基本的な仕組み(国民年金・厚生年金)
  • 令和8年度(2026年度)の年金額
  • 年金が物価上昇に追いつかない理由(マクロ経済スライド)
  • 「キャリーオーバー制度」とは何か
目次[閉じる]

公的年金には、大きく国民年金と厚生年金がある

公的年金は、大きく国民年金と厚生年金に分けられます。

日本は国民皆年金制度のため、国民は何らかの年金制度に加入しています。

国民年金は「基礎年金」と呼ばれ、日本に住む人すべてが対象です。

 

厚生年金は、国民年金に上乗せされる「2階部分」で、会社員や公務員などが加入します。

なお、かつては公務員向けに共済年金という別制度がありましたが、2015年10月の被用者年金一元化により厚生年金に統一されています。

 

 

国民年金の保険料は定額ですが、厚生年金の保険料は報酬に応じた率で決まるため、報酬が多いほど保険料も年金額も大きくなります。

一方、国民年金は自営業者や学生、無職の人も対象になり、未納や免除の期間がなければ満額を受け取れます。

参考・引用:日本年金機構

 

令和8年度(2026年度)の年金額

令和8年度の年金額(令和7年度からの変化)

区分 月額 前年度からの変化
国民年金(老齢基礎年金・満額) 70,608円 1.9%の引き上げ
夫婦の年金例(国民年金+厚生年金) 177,450円 3,356円増(約1.9%増)

出典:日本年金機構・厚生労働省「令和8年度の年金額改定について」

 

国民年金の満額は、年額780,900円という基準額に、毎年の改定率を乗じて計算されていきます。

改定率は前年度の改定率をもとに毎年更新される仕組みです。

 

なぜ年金は物価上昇に追いつかないのか

年金額の改定では、次の2つの指標のうち低い方が基準として使われるという法律上のルールがあります。

令和8年度の指標
  • 物価変動率:+3.2%(令和7年の値)
  • 名目手取り賃金変動率:+2.1%

 

物価変動率が名目手取り賃金変動率を上回る場合、年金財政を支える現役世代の負担能力に応じて、低い方の名目手取り賃金変動率(+2.1%)が基準として採用されます。

これは新規裁定者(67歳以下)・既裁定者(68歳以上)のどちらにも共通して適用されます。

さらにそこから、年金の伸びを抑制するマクロ経済スライドによる調整が行われます。

令和8年度のスライド調整率は、国民年金(基礎年金)が▲0.2%、厚生年金(報酬比例部分)が▲0.1%(特例的に緩和措置あり)です。

マクロ経済スライドは、平均余命の伸びや年金の支え手となる被保険者数の変化を年金額に反映させ、将来世代の給付水準を保つための仕組みです。

結果として、令和8年度の年金額は、国民年金が+1.9%、厚生年金が+2.0%の引き上げにとどまりました。

つまり、年金額は名目上では増えていても、物価上昇分をそのまま反映しているわけではありません。

実質的な購買力でみると、年金は目減りしているとも言えます。

「年金は物価に連動するのでインフレに強い」と言われることがありますが、マクロ経済スライドがある限り、物価上昇に完全に追いつくわけではないという点には注意が必要です。

 

キャリーオーバー制度

マクロ経済スライドは、年金額が前年度を下回らないように設計されています(名目下限措置)。

そのため、賃金や物価の伸びが小さい年は、本来行うべき調整の一部、またはすべてが見送られることがあります。

2018年度からは、見送られた未調整分を翌年度以降に持ち越すキャリーオーバー制度が導入されています。

賃金・物価が十分に上昇した年度に、持ち越された未調整分をまとめて調整する仕組みです。

マクロ経済スライドは過去に複数回発動されていますが、賃金・物価の伸びが小さい年度が続くと未調整分の持ち越しが積み重なり、将来の調整に影響する可能性があります。

 

まとめ

  • 公的年金は国民年金(基礎年金)と厚生年金の2階建て構造
  • 令和8年度の国民年金(満額)は月額70,608円、前年度比+1.9%
  • 年金の改定は「物価変動率」と「名目手取り賃金変動率」の低い方が基準
  • そこからマクロ経済スライドによる調整が行われ、伸びが抑制される
  • 令和8年度は物価+3.2%に対し年金は+1.9〜2.0%と、上昇分に届いていない
  • キャリーオーバー制度により、未調整分は将来に持ち越される

 

 

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の制度の評価や政策的な見解を示すものではありません。年金額・改定率等の数値は記事更新時点の公的発表に基づくものであり、将来の制度変更により変わる可能性があります。ご自身の年金見込額は、日本年金機構の「ねんきんネット」等で確認することをおすすめします。

 

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