日本人の8割が加入しているといわれる生命保険ですが、生命保険に対して難しい、よく分からないといった意見を耳にします。
保険に加入している人でも、実は自分がどんな保険に加入しているか分かってない人も多いです。
同じような保険なのに、保険会社が違えば商品名も違うといったことも保険を分かりにくくしている原因です。内容が少し違って、名前も異なれば、普通の人にはほとんど見分けがつきません。
たくさんの保険会社から様々に販売されている保険商品ですが、実は保険の基本は3種類しかありません。
一見すると複雑に見える保険商品ですが、基本の3種類のうちのいずれかを少し複雑にしたものに過ぎません。
無数にある生命保険の商品も基本となる形は限られているので、基本を理解することで生命保険をうまく活用できるようになります。
生命保険の目的は何か
生命保険は、様々な目的で利用されています。
生命保険を考えるうえでは、社会保険の知識があると無駄な保険に入らなくて済みます。
生命保険は任意加入ですが、社会保険は強制加入なので、生命保険に加入する際は社会保険をカバーするように加入すると無駄がなくなります。
- 生命保険 →遺族年金などの不足を補うように加入
- 医療保険 →健康保険などではカバーできない部分を補う
生命保険に加入する目的として、第一に挙げられるのが死亡保障です。
家族の大黒柱が死亡した場合でも遺族が生活していけるようにするのが死亡保障です。
現在のように共働きも普通になってくると必要な保障は少なくて済み、場合によっては死亡保険に入らないという選択もあります。
次にあげられるのが、貯蓄機能を活用したものです。
終身保険や個人年金、養老保険といった保険であれば、貯蓄するという仕組みづくりができます。
ただし、今のように利率が低いとメリットは少なく、むしろ資産の目減りのリスクがあります。
また、企業では退職金を準備するために生命保険を活用することがあります。
生命保険の中には、逓増定期保険や逓減定期保険といったものがあります。
特に逓増定期保険は、企業で退職金準備で利用されるケースが多いです。
最近は、平均余命が伸びてるので、生命保険よりも医療保険や介護保険の需要が高くなっています。
保険会社のほうでも需要に合わせて医療保険、がん保険、介護保険の商品開発に力を入れています。
- 平均余命の伸び →医療保険・がん保険の需要拡大
- 最近のトレンド →医療保険・がん保険の新商品増加
生命保険の基本は3種類
最近の生命保険の商品は、収入保障保険といった商品が人気です。
専門用語が多く、難しいと思われがちな生命保険ですが、基本となるのは「定期保険」「終身保険」「生死混合保険」の3つです。
この3つの基本が分かれば、自分が入っている生命保険はどのタイプなのかわかるようになります。
「住宅資金」「教育資金」「老後資金」は、人生の三大資金と呼ばれてますが、生命保険も場合によっては三大資金に準ずるほどの高額な支出になります。
基本が3つしかないという事を押さえておけば、自分にとってどの保険がふさわしいのか判断しやすくなります。
その結果、保険屋さんの言いなりにならずに済むので、無駄な保険への加入も回避できるかもしれません。
生命保険の中にも老後資金や教育資金を貯める目的の商品がありますが、生命保険で最も重要なのは保障です。
必要な保障がカバーできてない保険ではいざというときに役に立ちません。
定期保険とは
「定期保険」は、一定期間について保障する生命保険です。
一定期間しか保障されないので、終身保険や生死混合保険と比べて保険料が割安です。
定期保険は、保険料が掛け捨てなので、保障期間に何もなければそのまま契約が終了し、原則として保険料は返りません。解約返戻金はあったとしても少ないです。
保障金額が同じであれば、一番保険料をおさえられるのがメリットです。
だんだん保障が減っていく逓減定期保険や、反対にだんだん保障が増えていく逓増定期保険も、一定の期間について保障する保険なので定期保険の一種といえます。
人気の収入保障保険も一定期間内の保障なので、定期保険を応用したものといえます。
定期保険は、保険料が終身保険や生死混合保険と比べて割安で済むため、子供がまだ小さいといった手厚い保障が必要な時期に対して、利用すると少ない保険料で大きなリスクをカバーできます。
終身保険とは
「終身保険」は、保障が一生涯続く生命保険です。
人は必ず死亡しますので、生命保険を解約しない限りは、必ず保障される生命保険といえます。
終身保険は、保険料が掛け捨てにはならないことから、定期保険と比べると保険料は高くなります。
一生にわたって保障が続くので、葬儀代といった必ず発生する費用のために利用する人が多いです。
葬儀費は社会保険からも出ます(金額は少ない)。
解約返戻金について
終身保険では、保険事故に備えて保険会社が保険料の一部を積み立てますが、解約したときは、この積み立てた保険料が手元に戻ってきます。
この払い戻される保険料が解約返戻金(かいやくへんれいきん)や解約払戻金(かいやくはらいもどしきん)といわれるものです。
この解約返戻金を利用して老後資金の形成するといった利用がされることがあります。
終身保険に加入することで、保障を得ながら、貯蓄していくといった方法です。
予定利率が高かったときは、老後資金準備目的で加入している人が多くいました。保険を支払うだけであとは老後資金が形成されていくからです。
解約返戻金というお金が時間の経過とともに積み立てられ、さらに保険料の支払期間が過ぎてもそのままにしておくと解約返戻金が利率に応じて増えていきます。
解約返戻金を年金として受け取ったり、保障内容を切り替えるなど、3種類の保険のなかでは応用が利く生命保険です。
ただし、「保険料払込期間」前に解約してしまうと元本割れや、支払った保険料を下回る解約返戻金の受け取りとなることも多いです。
また、終身保険の保険料は、保険会社が予定している利率によって決まるので、今のように低い予定利率では、投資先としての魅力はありません。
終身保険の一種に、運用結果によって保険金や解約返戻金が変わる変額終身保険という商品もあります。
生死混合保険とは
生死混合保険は、養老保険とも呼ばれています。
「生死混交保険」は、満期まで生きていれば満期金が受け取れ、満期までに死亡すれば保険金が支払われます。
例えば、60歳が満期の生死混合保険であれば、60歳までに死亡した場合は保険金が支払われます。 一方で60歳のときに生きていれば保険金と同じ金額を満期金として受け取れます。
生死混合保険も、貯蓄性を目的として加入されてましたが、今のような低利率時代ではあまり魅力ある投資先ではありません。
生死混合保険の保険料は、定期保険と終身保険よりも高くなるのが普通です。
現在は、マイナス金利やデフレの影響で販売を中止している保険会社も多いです。
子どもが生まれたときに利用される学資保険も生死混合保険の一つです。
貯金と保険の違い
「見直しをしたら保険料が下がった」という話を聞きますが、理由は様々です。
終身保険から定期保険に変更したり、保障が減ったなどに保険料が下がりますが、保障が不足している場合はむしろ保険料が上がることもあります。
同じ保険金でも終身保険と定期保険とでは、毎月の保険料に何倍もの差がつきます。
また、生命保険は保険料の払込期間や加入年齢、加入期間等によっても変わります。
重要なのは必要な保障をカバーできているかどうかです。
最近は保険料がもったいないと生命保険に加入しない人が増えているそうです。
貯金と保険の違いを示したのが下の図です。
満額の保障を得ようと思っても、貯金だと時間がかかります。
これに対して保険であれば、加入したときから満額の保障を得ることができます。そのかわりに保険料がかかるということです。
生命保険に対してネガティブな印象を持つ人は多いですが、ライフプランに合わせてうまく使い分けることが大切です。
まとめ
生命保険の基本は、終身保険、定期保険、養老保険の3つ
- 終身保険は一生涯保障される
- 定期保険は一定期間保障される
- 養老保険は、満期まで生きていても亡くなっても同じ金額が保障される
定期保険の特徴
- 保障期間が一定:10年、20年、60歳までなど期間を決めて加入
- 期間中に死亡した場合のみ保険金が支払われる
- 掛け捨てが多く、解約返戻金は基本的にない
- 保険料を抑えられるが、更新時に上がるのが通常
- 子供が独立までの保障を確保したい人
- 住宅ローン期間中だけ保障を得たい人
終身保険の特徴
- 一生涯の保障
- 保険料は一定(全期払い・一定期間支払)
- 解約返戻金がある(貯蓄性がある)
- 保険料が高い
- 葬儀費用・相続対策に備えられる
生死混合保険の特徴
- 期間内に死亡した場合→死亡保険金
- 生存して満期を迎えた場合→満期保険金
- 生きていても、亡くなっても保険金が受け取れる
- 保険料は最も高い
- 子供の教育資金や結婚資金を計画的に準備できる
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