受けていた年金が受けられなくなる理由(失権事由と支給停止)について

社会保険

日本の公的年金には、大きく国民年金と厚生年金保険があります。

国民年金には、主に老齢、死亡、障害を事由とするものがあり、それぞれ老齢基礎年金、遺族基礎年金、障害基礎年金といわれます。

厚生年金保険にも老齢、死亡、障害を支給事由とするものがあり、それぞれ老齢厚生年金、遺族厚生年金、障害厚生年金といわれます。

これらの公的年金は必ずしも一生続くわけではなく、中には年金の受給権を失ったり、支給が停止になることがあります。

年金の失権

年金の受給権を失うことを年金の失権といいます。

失権は権利を失うことをいい、停止とは違います。

失権の停止はある事由によって支給が停止されていることで、停止事由がなくなれば再び年金を受けられます。

老齢基礎年金の失権

老齢基礎年金の受給権は、受給権者が死亡した時に消滅します。

老齢基礎年金の失権→受給権者の死亡

 

遺族基礎年金の失権

遺族基礎年金の受給権者は、死亡した者に生計を維持されていた配偶者又は子です。

遺族基礎年金の受給権は、以下のいずれかに該当すると消滅します(共通の消滅事由)。

1.受給権者の死亡

2.受給権者の婚姻

3.受給権者が直系血族または直系姻族以外の者の養子になったとき

直系血族とは、父母、祖父母、といったように血族を直系的にさかのぼった人をいいます。

例えば、受給権者が祖父母の養子になっても失権しませんが、伯父や叔母の養子になったら失権します。

 

配偶者の受給権は、すべての子が以下のいずれかに該当すると消滅します。

  • 死亡
  • 婚姻
  • 配偶者以外の養子になった
  • 離縁により、死亡した被保険者または被保険者であった者の子でなくなった
  • 生計を同じくしなくなった
  • 18歳に達した日以後の最初の3月31日が終了した
  • 障害等級に該当する子が障害の事情がやんだとき、20歳に達した

 

子が遺族基礎年金の受給権を有する場合は、以下のいずれかに該当すると失権します。

  • 離縁によって死亡した被保険者・被保険者であった者の子でなくなった
  • 18歳に達する日以後の最初の3月31日が終了した
  • 障害等級の事情がやんだとき
  • 20歳に達した

 

障害基礎年金の失権

障害基礎年金の受給権は、以下のいずれかの場合に消滅します。

1.受給権者が死亡した

2.厚生年金保険の障害等級(1級、2級、3級)に該当する障害の状態にない者が65歳に達したとき

3.厚生年金の障害等級に該当する障害状態に該当しなくなった日から起算して、同法に規定する障害状態に該当することなく3年を経過したとき

4.併合認定により、前後の障害を併合した障害の程度による障害基礎年金の受給権を取得したとき(従前の受給権消滅)

 

老齢厚生年金の失権

老齢厚生年金の受給権は、受給権者の死亡によって消滅します。

 

遺族厚生年金の失権

遺族厚生年金の受給権は、以下のいずれかに該当すると消滅します。

 

共通の失権事由

  • 死亡
  • 婚姻
  • 直系血族および直系姻族以外の者の養子になったとき
  • 離縁により、死亡した被保険者または被保険者であった者との親族関係が終了した

 

30歳未満の妻の失権事由

  • 受給権を取得した当時30歳未満だった妻が遺族厚生年金と同一の支給事由に基づく遺族基礎年金の受給権を取得しないときは、受給権を取得した日から起算して5年を経過したとき
  • 遺族厚生年金と同一の事由に基づく遺族基礎年金の受給権を有する妻が30歳に達する日前に遺族基礎年金が消滅した場合に、遺族基礎年金の受給権が消滅した日から起算して5年を経過したとき

 

子と孫の失権事由

  • 18歳に達した日以後の最初の3月31日が終了した
  • 障害等級の1級または2級に該当する場合に障害の状態がやんだとき
  • 20歳に達したとき

 

父母、孫、祖父母の失権事由

父母、孫、祖父母の受給権は、被保険者または被保険者であった者の死亡当時に胎児であった子が出生した時に消滅します。

 

障害厚生年金の失権

障害厚生年金の受給権は、以下のいずれかに該当すると消滅します。

  • 死亡
  • 障害等級に該当する程度の障害の状態(1~3級)にない者が65歳に達したとき
  • 障害等級に該当する状態でなくなった日から障害の状態に該当するなく3年が経過したとき(65歳未満除く)

 

また、併合認定されると受給権を取得した時に従前の受給権が消滅します。

併合認定は、前後の障害がある場合に障害を併合して認定されることです。

 

年金の支給停止

年金の支給停止は、受給権はあるがある事由によって年金の支給が停止されている状態です。

受給権を失ったわけではないので、支給停止の事由がなくなれば再び受け取ることができます。

例えば、遺族基礎年金は労働基準法による遺族補償が行われている時は死亡日から6年間、支給が停止されます。また、子の遺族基礎年金は、父もしくは母がいるときはその間、支給が停止されます。

配偶者に対する遺族基礎年金は、所在が1年以上明らかでないときはこの申請により、所在が明らかでないときに遡って支給が停止されます。

まとめ

・公的年金の受給権は失権することがある

・死亡すると失権する

・年金の失権と停止は違う

・失権は権利が消滅すること

・停止は支給事由が停止されてるだけで受給権はある

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