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個人事業主・フリーランスは老後破産しやすい?|年金が少ない理由と今やるべき対策をFPが解説

個人事業主・フリーランスは老後破産しやすい?|年金が少ない理由と今やるべき対策をFPが解説
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フリーランス・個人事業主が老後リスクを抱える理由

投資

厚生労働白書によれば、高齢者世帯の半数以上は公的年金のみの収入で生活しています。

その一方で、フリーランスや個人事業主は現役時代の収入が高くても、年金受給額が小さくなりやすいという構造的な課題があります。

 

平均寿命は延び続けている

先進国では、2007年に生まれた子供の半数が107歳まで長生きすると言われています。

本当にそうなるかは現時点では不明ですが、医療技術や健康意識の向上によって平均寿命は毎年延びています。

今の年金制度では65歳を老齢として年金を支給してますが、長寿化が続く現代では、将来的に支給開始年齢が引き上げられる可能性は高いでしょう。

働く期間は延びるにもかかわらず、年金がもらえるのは先になる可能性が高い――これが年金の構造的な問題です。

 

個人事業主は年金が会社員より大幅に少ない

個人事業主・フリーランス(以下個人事業主等)の期間が長い人ほど老後に破産するリスクが高いといわれています。

個人事業主等で働いている期間は、基本的に国民年金しか反映されないので、個人事業主等の期間が長い人ほど会社員の人より老後資金について対策が必要になるからです。

個人事業主やフリーランスの人は年金が会社員より少ないので、健康寿命をいかに延ばすかと老後対策は早いうちから考えておく必要があります。

  • 個人事業主は年金が少ない→健康寿命・老後対策が必要

 

国民年金だけでは生活が成り立たない現実

たとえば、20歳の人が二人いて、一人はフリーランスとして40年働き、もう一人は会社員として40年働いたとします。

また、二人の収入は平均して400万円の年収だったとします。ざっくりと計算してみると、フリーランスの人は約78万円、会社員の人は約170万円が年金として受け取れます。

78万円だと一か月あたり6万5千円ですから、これだけでは生活していけません。

個人事業主やフリーランスの人は引退なんて考えず、働き続けることが必要というのが今の年金制度です。

ちなみに公的年金には国民年金と厚生年金とがありますが、個人事業主であっても会社員として勤めた期間があれば、それに応じた厚生年金が受け取れます。

 

個人事業主やフリーランスの老後が危険と言われる背景

個人事業主は自分で事業を行っている人で、フリーランスは個人で企業から仕事を請け負ってる人です。

会社に属さずに自分の能力だけで稼いでる個人事業主やフリーランスは、私の周りにもいますが優秀な人が多いです。中にはリストラされたり、仕事がなかったために個人やフリーランスを選んだ人もいますが、自分の能力で稼ぐというのはやっぱり魅力的です。

 

自由に働く代わりに失う社会保障

個人事業主等として働くことのメリットは、自分の能力で収入を稼ぐことができるので、会社に縛られない、つまり自由に働けるということです。

個人事業主・フリーランスは働き方の自由度が高い反面、会社員が当然のように受け取っている社会保障の多くがありません。

個人事業主等が受け取れる年金は会社員より少ないので、働ける限り働くか、かなりの老後資金を用意しないと老後生活が破産しかねません。

 

会社員であれば、

  • 厚生年金

  • 健康保険組合(または協会けんぽ)

  • 会社負担の社会保険料

  • 各種休職制度

といった手厚い保障があります。

 

一方、個人事業主やフリーランスは、すべて自分で保険料を負担し、保障も最小限しかありません。

収入が途切れた習慣に生活が危うくなるという構造的な弱点があります。

 

傷病手当金・出産手当金がないといリスク

個人事業主が注意すべきは、会社員であれば当然受け取れる手当てがないことです。

 

傷病手当金

病気やケガで働けない時、会社員なら給料の約2/3が最長1年6か月支給されます。しかし、個人事業主にはこれがありません。

つまり、働けない=収入ゼロとなって生活が崩壊しかねません。

 

出産手当金

出産で働けない期間に支給される手当もありません。個人事業主は産前・産後の期間も収入を自分で確保しなければなりません。

 

個人事業主・フリーランスが抱える構造的リスクまとめ

  • 個人事業の期間は年金が国民年金だけ
  • 会社員の半分以下になりやすい
  • 病気になっても傷病手当金がない→収入がゼロ
  • 出産しても出産手当金がない
  • 老後も働き続けなければいけない制度設計

つまり、個人事業主の老後は自由の代償として、制度的にリスクが高い構造になっています。

 

年金制度はなくならないが、負担は確実に増える

年金は将来受け取れないといった意見をたまに聞きますが、日本政府がある限り年金制度自体はなくならない制度です。

社会保障制度では、給付と負担のバランスを見ながら持続可能な社会保障を実現するといった考えがあるからです。

これにより公的年金は財政検証によって5年に一度の見直しが行われています。

 

支給開始年齢は今後引き上げの可能性大

現在の年金の支給開始年齢は65歳ですが、すでに70歳支給も議論されています。

年金の支給開始年齢を引き上げたり、年金額を減額したり、保険料を引き上げてでも社会保障制度は維持される仕組みです。

 

◎支給開始年齢が引き上げられる理由

  • 平均寿命は毎年延びている

  • 65歳を高齢者と呼ぶのが現実に合わなくなっている

  • 社会保障費が膨張し続けている

制度の持続性を考えれば、支給開始年齢の引き上げはほぼ既定路線です。

つまり、「65歳から年金を受け取って引退生活」を実行すると、多くの人が老後破綻することになります。

 

社会保障は維持されるが改悪は避けられない

国は社会保障制度を維持するために、以下のような調整を行います。

  • 年金支給額の抑制(マクロ経済スライド)

  • 保険料率の引き上げ

  • 介護保険・医療費の自己負担増

  • 支給開始年齢引き上げ

  • ステルス増税

これらは制度維持のための必要な調整という扱いです。

国が破綻しない限り制度は続きますが、昔より良くなることは今後ないと思ったほうがいいでしょう。

 

人口減少が現役世代の負担をさらに押し上げる

年金制度を苦しめている最大の要因は、少子高齢化です。

  • 現役世代の人数は急減

  • 高齢者人口は増え続ける

  • 1人あたりの社会保険料負担が重くなる

 

特に今後は、1人の高齢者を1.3~2人で支えるという構造になります。

しかも、1.3~2人の中には中高齢引きこもりも含まれています。

この状況では、保険料は上がるのに、もらえる年金は増えないという未来は避けられないでしょう。

 

個人事業主が抱える「何とかなる」の罠

生活保護世帯の多くが高齢者

生活保護を受給している世帯の多くが老後世帯です。

個人事業主等は、何とかなると思って何もしなければ、生活保護の世話になる可能性は高くなります。

何とかなると思って何にもならず、知人に借金を頼みまくって誰からも相手にされなくなり、最後には生活保護を受けてやっと落ち着いた人もいます。

 

必要資金の現実(毎月25万円→不足分は4,000〜6,000万円)

仮に毎月25万円が必要だったら、年金が月11万5千だと毎月13万5千円の赤字です。

頑張って75歳まで働いたとして、100歳まで生きるには4千万円以上が必要です。ずっと個人事業主だった人なら6千万円近く必要です。

この金額を貯金だけで準備するのは難しく、老後対策は別に考える必要があります。ところが、ほとんどの人は老後対策をしていません。

 

健康寿命が最大の資産になる理由

誰かに頼らずに健康でいられるまでを健康寿命といいます。

平均寿命も大事ですが、身体が資本の個人事業主等にとっては健康寿命が何より大事です。

健康のために運動を始めるといったことでも健康寿命は延ばせます。

 

生活水準を下げるのには限界がある

中には生活水準を下げればいいのではないかという人もいますが、生活水準を下げるのにも限界があります。

 

食費・光熱費はインフレに弱い

毎日スーパーの安売り品だけでは無理がありますし、食品も輸入に頼ることが多い日本では外国の物価上昇が食費に影響してきます。

長くデフレ経済が続いた日本も、ここ数年で物価高へと流れが変わり、月末になると来月の値上げリストがニュースで発表されるのが恒例になりました。

食料品・電気代・ガス代・日用品などの生活必需品はインフレに弱く、避けられない支出であるのも問題です。

 

田舎移住にもリスク

都心部は家賃が高いからと田舎に引越す人も多いですが、田舎は田舎で大変です。

ガソリン代が何倍もかかったり、人間関係でうまくいかずに悩む人も多いです。人間関係でうまくいかずに結局戻ってきた人もいます。 

 

個人事業主の出口戦略|法人化という選択肢

リスク

個人事業主等で売上が上がるようになって所得税が増えると、法人化を考える時がきます。

法人化で厚生年金に加入できる

法人化することで厚生年金や健康保険の被保険者になることができます。

個人事業主から法人の経営者になれば、他の会社員と同じ社会保険に加入できます。

  • 国民年金 → 国民年金と厚生年金
  • 国民健康保険 → 協会けんぽ

 

自分の会社なら引退を自分で決められる

自分の作った会社なら引退も自分で決めることができるので、無理なく働き続けることも可能です。

ただし、社会保険料は高くなるのが普通です。

  • 社会保険料は増えるが老後保障は改善

 

個人事業主・フリーランスが今すぐ始めるべき老後対策

個人事業主やフリーランスだと年金が少ない可能性が高いので、まずは現状を知ることです。

現状を知れば対策を立てられます。

 

年金の上乗せ制度(iDeCo・国民年金基金)を利用する

個人事業主等の老後対策としては、確定拠出年金の個人型(iDeCo)や国民年金基金といった年金の上乗せ制度、小規模企業共済といった退職金制度があります。

これらの制度は所得控除ができるので、余裕があるなら検討したい制度です。

 

付加年金(400円の保険料で200円の年金アップ)

国民年金保険料に加えて400円を納付すると年金が200円増える付加年金もあります。

400円払うと年金が200円増えるということは、名目的には2年で元が取れるということです。

 

年金の繰下げ受給で増額する

年金の支給開始年齢を遅らせることで年金額が増える繰り下げ支給も検討してみるといいかもしれません。

 

NISAでの積立投資(30代なら十分間に合う)

貯金だけだとほとんど殖えないので投資も考えた方がいいかもしれません。

今はNISAという非課税制度もあります。20代、30代であれば、毎月数万円の積立投資でも老後資金は作れます。

  • 毎月3万円→35年→6,000万円
  • 毎月4万円→30年→5,500万円

 

まとめ

  • 個人事業主やフリーランスは老後のリスクが高い
  • 年金制度は日本がある限り改悪されても維持される
  • 年金制度はなくならないが、会社員との差は広がる
  • 個人事業主やフリーランスにとって健康は生命線
  • 法人化で社会保障を厚くする選択肢もある
  • 個人事業主やフリーランスにも立てられる老後対策はある
  • 老後対策は気づいた日が最速のスタート

 

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