昨年の利上げで2016年から続くマイナス金利が解消されましたが、今度は政策金利を0.5%に引き上げることが発表されました。
政策金利が0.5%の水準となるのは、2018年10月以来となります。
政策金利の上昇は経済や金融市場への影響が大きく、特に借入れをしている中小企業や住宅ローン利用者から心配の声が上がっています。
中小企業などは金融機関から借入して設備投資するので、借入金利が上がることは死活問題です。
変動金利は短期プライムレートの影響を受けますが、昨年に主要銀行が17年ぶりに引き上げたことが話題になりました。
今回、0.25%から0.5%に金利が引き上げられることで、住宅ローンの返済額に与える影響もあります。
今回の日銀の政策金利引き上げを受けて短期プライムレートを引き上げることを決定した銀行も出ています。直ぐに金利が上昇しなくても将来的に金利が上がる可能性があります。
政策金利引き上げが生活に及ぼす影響
金利引き上げの影響が大きいと言われてるのは不動産業と製造業です。
不動産業は金融機関から資金を借りて不動産を仕入れたり、建物を建設するので影響は大きいといわれています。また、金利が上がれば住宅ローンを組んで住宅を購入する人が減少します。
製造業も融資で設備投資をするので、金利が上がれば利息の負担は増えますし、設備投資を先延ばしする動きも出ます。
また、日本の金利が上がれば円が買われて円高に動く可能性があります。円高に動けば外貨建ての金融資産が目減りすることになります。
一方、金利が上昇するメリットとしては、短期プライムレートの引き上げで預金金利が上昇するので、受け取れる利息が増えます。
金利が上がれば、借入金の負担が増えるデメリットがありますが、貸付金による受取利息や受取配当金が増えるメリットもあります。
金利上昇の影響
メリット | デメリット |
受取利息、資産が増える | 支払利息、住宅ローンの負担が増える |
政策金利の引き上げが住宅ローンの返済に及ぼす影響
政策金利の引き上げで影響を受けると懸念されてるのが住宅ローンです。
将来、どこまで住宅ローンの金利が上がるかは不明な点が多いので、ここではいくつかの例をもとに見ていきます。
住宅ローンを金利0.6%で3,000万円借りて、35年で返済している人のケース
住宅ローンを返済期間35年、金利0.6%で3,000万円借りた場合の返済額は月々79,208円です。
6年目から0.7%に上昇したと仮定すると、月々の返済は80,369円になり、今後30年で417,960円の負担増になります。
6年目からの金利 | 返済額 | 総額 |
0.75% | 80,953円 | 628,200円 |
0.8% | 81,540円 | 839,000円 |
0.85% | 82,130円 | 1,051,920円 |
0.9% | 82,723円 | 1,265,000円 |
住宅ローンを金利0.5%で5,000万円借りて、35年で返済してるケース
当初の返済額 129,792円
6年目からの金利 | 返済額 | 負担増総額 |
0.6% | 131,704円 | 688,320円 |
0.7% | 133,634円 | 1,383,120円 |
0.8% | 135,582円 | 2,084,400円 |
住宅ローンを金利0.4%で7,000万円借り、30年で返済してるケース
当初の返済額 206,376円
6年目からの金利 | 月々の返済額 | 負担増総額 |
0.5% | 208,931円 | 766,500円 |
0.6% | 211,506円 | 1,539,000円 |
0.7% | 214,102円 | 2,317,800円 |
おわりに
現在は0.5%以下の金利で住宅ローンを借りてる人もおり、固定金利と比較すると1.5%近くの差があります。
1.5%の差は大きく、変動金利が少し上昇した程度では、まだ変動金利の方が有利です。
例えば、5,000万円を35年で借りた場合、0.5%と2%とでは月々の返済額が129,792円、165,631円とその差は35,839円もあります。
総額だと1,500万円の差になるので、借りるときの金利はバカにできません。
日本銀行の田村直樹審議委員は、人件費の上昇や物価が上振れするリスクを抑えるために2025年度後半に1%引き上げる必要があると言っています。
現状では固定金利より変動金利の方が有利なので、特別固定金利に借り換える動きはありませんが、変動金利の場合は将来のリスクについて考えておくとよいでしょう。
あわせてライフプランを立てて、投資に挑戦するのもいいかもしれません。
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