老齢年金を受け取るために必要な受給資格期間

社会保険

老後の生活の柱となるのが国民年金および厚生年金保険といった公的年金です。

国民年金は20歳以上のすべての人が加入する年金制度で、厚生年金保険は会社員や公務員などを対象にした年金制度です。

国民年金の被保険者には第1号から第3号までありますが、この期間は公的年金を受け取るための要件と関係しています。

老後に年金を受け取るためには、原則として保険料を納付しないといけません。

老齢年金を受け取るための最低限必要な期間(受給資格期間)は平成29年に短縮されましたが、保険料納付済期間が少ないと将来受け取れる年金も少なくなるということは知っておくといいでしょう。

老齢年金を受けるために必要な期間

国民年金、厚生年金保険といった公的年金には、老齢年金、障害年金、遺族年金といた3つの年金がありますが、今回は多くの人が対象になる老齢年金を受け取るための受給資格期間について見ていきます。

老齢年金は受給要件を満たした人に老後に支給される年金をいいます。具体的には国民年金の老齢基礎年金と厚生年金保険の老齢厚生年金のことをいいます。

これらの老齢年金は、要件を満たしていれば65歳(老後)から受け取れます。

 

老齢厚生年金は老齢基礎年金の受給要件を満たしていれば受けられるので、ここからは老齢基礎年金を中心に進めていきます。

 

老齢基礎年金の受給要件は以下の通りです。

  • 保険料納付済期間、保険料免除期間があること
  • 保険料納付済期間、免除期間が10年以上あること
  • 65歳に達したこと

 

保険料納付済期間はその名の通り国民年金保険料を納付した期間をいいます。免除期間について詳しくは後述しますが、保険料を支払わなくてよかったり、一定額免除された期間のことです。

以前は老齢年金を受け取るためには25年以上の受給資格期間が必要でしたが、平成29年の改正によって現在は10年以上に短縮されました。

保険料納付済期間について

国民年金では、20歳から60歳までを原則被保険者期間としています。

老齢基礎年金の金額は、原則として保険料納付済期間をもとに計算されます。つまり10年以上に短縮されて老齢年金が受け取れるようになったからといって、年金額まで増えるわけではないことになります。

国民年金の保険料を10年納めた人と40年納めた人とでは、受け取れる年金も4倍違うことになります。そもそも国民年金の満額が少ないことを考えれば、受給資格を満たしても全く安心できません。

 

国民年金の被保険者には、第1号被保険者、第2号被保険者、第3号被保険者の3種類があります

第1号被保険者は、主に自営業者などが対象になり、保険料は自ら納めた期間が保険料納付済期間になります。

第2号被保険者は会社員や公務員が対象です。会社員は給与から天引きされて社会保険料を納めますが、この期間は国民年金の第2号被保険者でもあります(国民年金と厚生年金の2つに加入)。給与から天引きされて納めた期間が保険料納付済期間になります。

第3号被保険者は、第2号被保険者に扶養されている配偶者です。第3号被保険者は保険料を納めてませんが、保険料納付済期間として扱われます。

国民年金の免除期間とは

国民年金では、一定の要件を満たした人は保険料が免除されますが、この期間が免除期間です。

保険料免除期間には、法定免除と申請免除があります。

 

法定免除は法律によって定められた免除で、以下のものがあります。

  • 障害等級1級および2級の障害年金の受給者
  • 生活保護を受けている者
  • 国立ハンセン病療養所、国立保養所等に入所している者

 

第1号被保険者が法定免除要件に該当した時は、該当した日の属する月の前月から該当しなくなる日の属する月まで保険料が免除されます。

法定免除期間の期間は保険料を払ってませんが、納付済期間の人の半分が年金として反映されます。

 

申請免除は、所得(前年)が少ない人や無職の人、学生などが対象です。ニートであっても保険料の納付義務がありますが、免除してもらえるかもしれません(世帯主)。

申請免除には、全額免除、4分の3免除、半額免除、4分の1免除、学生納付特例、納付猶予があります。所得が低かったり、無職であっても申請して厚生労働大臣に承認されないと免除されません(申請主義)。

申請免除の期間は、全額免除は半分、4分の3免除は8分の5、半額免除は8分の6、4分の1免除は8分の7が年金として反映されます。

学生納付特例や猶予制度は、受給資格期間にはなりますが、年金には反映されません。ただ、保険料を追納すれば年金額に反映されます。

合算対象期間

老齢年金を受け取るための国民年金の受給資格期間は、主に保険料納付済期間と免除期間ですが、合算対象期間というものもあります。

合算対象期間は、国民年金に任意加入できたのにしなかった期間やできなかった期間が対象です。合算対象期間は受給資格期間には算入されますが、年金額には反映されません。

合算対象期間の例

  • 昭和61年4月1日以後の20~60歳未満の期間において海外に暮らしていた日本人が任意加入しなかった期間
  • 平成3年3月31日までの学生が任意加入できたのにしなかった期間
  • 昭和36年4月1日から昭和55年3月31日までの20~60歳までの期間について国会議員であったために国民年金に加入しなかった期間
  • 第2号被保険者として厚生年金保険や共済組合に加入していた20歳前の期間と60歳以後の期間

など

まとめ

・公的年金を受け取るためには受給資格を満たす必要がある

・老齢年金であれば、老齢基礎年金の受給資格の要件を満たす必要がある

・国民年金には第1号被保険者から第3号被保険者までの被保険者がある

・原則として受け取れる国民年金は納めた期間によって増減する

・受給資格を満たしても納めた期間が少ないと年金も少ない

・老齢年金を受け取るためには、10年以上の受給資格期間が必要

受給資格期間=保険料納付済期間+保険料免除期間+合算対象期間

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