ライフプランと切っても切れない関係にあるのが社会保険制度です。
社会保険制度としてよく知られているのが年金や医療保険です。名前は知られてますが、意外と誤解も多いのが社会保険制度です。
「社会保険って難しそう」という声もよく聞きます。年金・健康保険などの名前は知っていても、自分がどの制度の対象になるのか分かってないこともよくあります。
そこで今回は、社会保険では誰が「被保険者」に該当するかを、シンプルに整理します。
社会保険における「被保険者」とは?

社会保険は、対象となる人が一定の状態になったときに給付を行うしくみです。
代表的なのは、以下のケースです。
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年金 → 老齢・障害・死亡
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雇用保険 → 失業
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健康保険 → 病気やけが
- 労災保険 → 業務中のケガ
社会保険に限らず、保険は被保険者に事故があったときが対象ですが、何を事故とするかはそれぞれの制度で異なります。
例えば、雇用保険であれば被保険者が失業したときですし、国民年金であれば老齢や死亡が起きたときです。
保険で対象としている事故があった場合も、保険給付の要件を満たさなければ対象にはなりません。ポイントはその制度の被保険者かどうか(被保険者であったか)という点です。
社会保険制度では、民間が扱う保険と違って要件に該当すれば原則的には強制的に被保険者となります。これも社会保険制度の特徴です。
国民年金の被保険者区分(第1号・第2号・第3号)
国民年金の強制加入被保険者には、第1号被保険者、第2号被保険者、第3号被保険者があります。
- 第1号被保険者
- 第2号被保険者
- 第3号被保険者
第1号被保険者
第1号被保険者には、主に自営業者や学生、無職の人が該当します。
第1号被保険者になるのは日本に住む20歳以上60歳未満で、第2号被保険者と第3号被保険者に該当しない人です。
また、老齢か退職を支給事由としている年金(老齢給付等)を受け取ることができる人は除かれます。
第1号被保険者だけ、国内に居住していることも要件です。
第2号被保険者
第2号被保険者は、被用者年金の被保険者や組合員などが該当します。いわゆるサラリーマンや公務員です。
また、年齢や国内に住所を有しているかは問われません。
ただし、65歳以上の被保険者や組合員等で、老齢や退職の受給権を有している人は対象外です。
第3号被保険者
第3号被保険者は、第2号被保険者の配偶者(妻、夫)であり、第2号被保険者の収入によって生計を維持されている人で、20歳以上60歳未満の人がなります。
旦那さんが会社員の専業主婦の人などです。
ただ、旦那さんが退職して第1号被保険者になると、奥さんも第1号被保険者になって保険料を負担することになります。
厚生年金の被保険者

厚生年金は、サラリーマンやOLさんを対象とした労働者の年金制度です。
厚生年金では、適用事業所に使用される70歳未満の人は被保険者です。
適用事業所に該当しない場合でも、事業主の同意と大臣の認可を得ることによって任意で加入できます。
70歳に達しても、老齢年金の受給権がないのであれば、高齢任意加入被保険者になって被保険者になることができます。
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70歳未満で、適用事業所で働いていれば加入
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適用外事業所でも、条件を満たせば任意加入が可能
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70歳以上でも、老齢給付の受給権がなければ「高齢任意加入」ができる
厚生年金は国民年金の上乗せなので、老齢基礎年金の保険料を10年以上納めてれば、厚生年金に加入したのが1か月でも対象です。
- 国民年金の要件 → 保険納付 + 免除 → 10年以上
- 厚生年金の要件 → 国民年金の要件 + 1カ月以上の厚生年金の被保険者期間
雇用保険の被保険者
雇用保険は失業を対象に始まった社会保険の制度です。現在では失業だけでなく、教育訓練制度や雇用の安定のために助成金を交付するなど、失業以外のことも行っています。
雇用保険は、労働者を一人でも雇用していれば原則として適用事業所になります。
また、適用事業所に雇用される労働者は、原則として雇用保険の被保険者になります。
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労働者を1人でも雇っていれば、その事業所は原則適用
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適用事業所で働く人は原則加入
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短時間勤務でも条件により加入対象になる場合あり
健康保険の被保険者

健康保険制度は、病院で治療を受けても窓口で一部負担金を支払うだけで済む制度です。
健康保険法の被保険者も、適用事業所(国、地方公共団体、法人等)に使用される人がなります。
退職した場合でも、保険者に20日以内に申出をすること及び退職日までの2か月継続して被保険者であれば、退職後も被保険者を2年継続できる任意継続被保険者もあります。
健康保険組合のうち、特定健康保険組合の退職者で任意継続被保険者以外の人は、組合に申し出て特例退職被保険者になることができますが、対象者は限定されます。
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会社員、公務員など適用事業所で働く人
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退職後も条件を満たせば任意継続で最長2年継続加入
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特定の健康保険組合では特例退職被保険者制度も存在
国民健康保険の被保険者
国民健康保険は、健康保険などの被用者保険に加入できない自営業の人等が対象になる医療制度です。
給付内容は健康保険と似ていますが、国民健康保険には出産手当金がありません。
町村に住所がある人は、適用除外に該当しない限り、その地域の国民健康保険の被保険者になります。
誤解が多いですが、国民健康保険には被扶養者というものがなく、会社員の夫が退職したために国民健康保険の被保険者になれば、専業主婦の人が被保険者になることもあります。
- 会社員等の健康保険に入れない人が対象
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市町村に住所があり、適用除外に該当しない人
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被扶養者の概念はない → 会社員の夫が退職し国保に入ると、専業主婦の妻も国保加入になる
後期高齢者医療制度の被保険者

後期高齢者医療の被保険者は、後期高齢者医療広域連合の区域内に住所を有する75歳以上の人がなります。
また、65歳以上75歳未満の人であっても、一定の障害状態にあり、後期高齢者医療広域連合の認定を受けた人は被保険者になります。
後期高齢者医療制度の被保険者になった場合は、健康保険や国民健康保険の被保険者でなくなります。
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75歳以上の人が加入
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65〜74歳でも一定の障害があれば加入
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この制度に移行すると、健康保険・国保には戻らない
介護保険の被保険者
介護保険は、要支援や要介護などの介護が必要な状態になった場合でも、1部の負担で介護サービスを利用できる制度です。
介護保険の被保険者には、第1号被保険者と第2号被保険者とがあります。
第1号被保険者には、市町村の区域内に住所を有している65歳以上の人が対象です。
第2号被保険者は、市町村の区域に住所を有している40歳以上65歳未満の人で、医療保険に加入している人です。
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第1号:65歳以上
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第2号:40〜64歳で、医療保険に加入している人
終わり
社会保険制度では、原則として適用除外に該当しなければ被保険者になります。
法律に規定されてますが、何らかの事故があっても被保険者の要件を満たしてなければ給付を受けることはできません。
社会保険の対象外の場合は、民間の保険を検討してみることも必要かもしれません。
例えば、自営業者には出産手当金や傷病手当金がない等→カバーしきれない→保険の利用を検討
反対に社会保険があるおかげで民間の保険を利用しなくても何とかなることが多いです。

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