日本の公的年金は、全ての人が対象の国民年金と会社員などが加入する厚生年金の2階建て年金といわれています。
2階部分 | 厚生年金保険 |
1階部分 | 国民年金 |
2階建て年金について詳しくは以下のリンクから

老後2,000万円問題は、国民年金と厚生年金だけでは不足する部分についての問題です。
国民年金や厚生年金は納付済期間や報酬月額などによって金額が違うので、自営業の期間が長かったり、アルバイト・パートの期間が長かったりすると将来受け取る年金にも影響します。
総務省の家計調査年報によれば、65歳以上夫婦のみの無職世帯では毎月26万円がかかるようです。一方で公的年金の平均は20~22万円なので、毎月不足する分は老後までに貯めた資金を取り崩すことになります。この取り崩すために元となる資金が2,000万円です。
老後に備えるための公的年金の3階部分
老後の収入から支出を引いたマイナス分は、老後のために必要な備えとして準備しなければなりません。
毎月5万円のマイナスと想定した場合、毎月のマイナス分を退職時から平均余命までカバーできる資金が必要です。
例えば、65歳で定年退職するのであれば、そこから平均余命(24歳)と長生きを考えてプラス10年の34年分のマイナス分が必要です。
-5万円×12カ月×34年=△2,040万円
上の例では退職までに約2,000万円が必要となります。
老後の収入を補う資金の作り方には、積立投資、生命保険、不動産投資といったものがありますが、老後の暮らしを補填できるならどれでも大丈夫です。商品によって有利不利はあります。
国民年金、厚生年金といった公的年金のさらに上の3階部分として注目されてる制度もいくつかあるので紹介していきます。
付加年金
国民年金の第1号被保険者であれば、付加年金の対象になります。
付加年金は毎月の保険料に400円プラスして納めることで、老齢基礎年金がプラス200円されるというものです。
例えば、付加年金として10年納めれば400円×12カ月×10年で48,000円を上乗せして納めたことになります。
この結果、将来の年金が24,000円(200円×12カ月×10年分)増えることになります。
つまり額面上は2年で元が取れることになります。額面上といったのはインフレには対応できないので、実質で見ると2年以上かかるかもしれないからです。
いずれにしても有利な制度なので、個人事業主なら利用する価値は十分あります。
国民年金基金
国民年金基金も老齢基礎年金に上乗せする制度です。
掛け金は給付の型、加入口数などで異なります。iDeCoと併用できますが、掛け金の上限はiDeCoとあわせて68,000円までです。
国民年金基金には、地域型国民年金基金(住所のある人が加入できる)と職能型国民年金基金(特定の業種の人が加入できる)とがあり、どちらかを選択して加入します。
また、第1号被保険者である限り途中で止めることができません。
確定給付企業年金
確定給付企業年金は、企業が加入する上乗せ年金制度です。
将来の給付金額があらかじめ決めっているので確定給付といいます。
今話題のiDeCoは個人型確定拠出年金のことですが、確定拠出年金が将来の年金を自分で運用するのに対して、確定給付企業年金は自分で運用することはしません。
給付額が確定してるので、それに応じた掛け金を企業が拠出します。
掛け金は企業が支払いますが、取り決めによって加入者も負担することができます。
確定拠出年金
確定拠出年金は、加入者が自分で掛け金を運用し、運用した結果を老後の年金として受け取れる制度です。したがって運用の知識と巧拙に影響を受ける制度といえます。
確定拠出年金には、企業型と個人型(iDeCo)とがあります。
企業型を利用するには企業が企業型確定拠出年金を実施してる必要があります。
企業型確定拠出年金の掛け金は企業が負担しますが、個人型は自分で加入と掛け金を決めます。
掛け金の受け取りは原則60歳以降と決まっており、老後資金にしか使えないので生活に無理のない範囲で利用するのが基本です。
NISA
2024年度から始まった新 NISAも老後資金作りに向いている制度です。
NISA制度は以前からありましたが、投資枠の上限が拡大され、非課税期間の無期限化がされました。
長期の積立・分散投資に向いた商品を選べば初心者にも始めやすく、老後2,000万円問題もだいぶ解消されます。
老後資金は負担のない範囲でiDeCo、それ以外はNISAといった感じでiDeCoとNISAの併用がおすすめです。
おすすめの点
- 非課税期間の無期限化
- 運用益の非課税
- 非課税枠が1,800万円まで拡大
それ以外の上乗せ制度
現在は新しい基金を設立できませんが、厚生年金基金というものもあります。国が行う老齢厚生年金の一部を代行してましたが、経済悪化によって代行割れが続出したことから、新規設立ができなくなりました。
中小企業が退職金を準備するための制度に中小企業退職金共済制度があります。事業主が掛け金を納付し、従業員が退職した時は勤労者退職金共済機構中小企業退職金共済事業本部から退職金が支払われます。
自営業者、会社役員のための小規模企業共済も退職時に備えて積み立てる制度です。
生命保険会社から発売されている個人年金も老後の資金になります。一定の保険料は所得税の保険料控除の対象になります。
まとめ
・老後資金は不足する
・不足する老後資金の分は上乗せを考える
・1号被保険者には、付加年金、国民年金基金、個人型確定拠出年金(iDeCo)、小規模企業共済、個人年金保険などがある
・第2号被保険は会社にある企業年金を確認し、利用できる制度を検討する
・iDeCoとNISAの併用で老後資金問題は緩和できる
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