老後2,000万円問題は、公的年金だけでは老後の生活費が不足する可能性があることを示した問題です。
年金の仕組みと不足額を正しく理解すれば、必要以上に不安になる必要はありません。
この記事では、公的年金の基本と不足分を補う具体的な方法を整理します。
この記事から分かること
- 老後2,000万円問題の中身と、その計算の考え方
- 自営業者(第1号被保険者)が使える年金の上乗せ制度(付加年金・国民年金基金など)
- 会社員(第2号被保険者)が使える企業年金制度(確定給付企業年金・企業型DC)
- iDeCoとNISA、それぞれの役割と使い分け方
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日本の公的年金は2階建て
日本の公的年金は、全ての人が対象の国民年金と会社員などが加入する厚生年金の2階建て年金といわれています。
| 2階部分 | 厚生年金保険 |
| 1階部分 | 国民年金 |
2階建て年金について詳しくは以下のリンクから
年金だけでは老後は足りない?公的年金と私的年金の仕組みをFPが整理
日本の年金は国民年金・厚生年金の2階建てに、iDeCoなどの私的年金を加えた3階建て構造です。国民年金の3つの被保険者区分や、公的年金だけで老後資金が不足しやすい理由を1級FP技能士が解説します。
横浜ライフプラン1級FP技能士事務所
老後2,000万円問題とは何か

老後2,000万円問題は、国民年金と厚生年金だけでは不足する部分についての問題です。
国民年金や厚生年金は納付済期間や報酬月額などによって金額が違うので、自営業の期間が長かったり、アルバイト・パートの期間が長かったりすると将来受け取る年金にも影響します。
老後の生活費はいくらかかるのか
総務省の家計調査年報によれば、65歳以上夫婦のみの無職世帯では毎月26万円がかかるといわれています。
公的年金の平均受給額と不足額
一方で公的年金の平均は20~22万円なので、毎月不足する分は老後までに貯めた資金を取り崩すことになります。
この取り崩すために必要な資金が2,000万円なので、老後2,000万円問題といわれています。
なぜ「2,000万円不足」と言われるのか
老後の収入から支出を引いたマイナス分は、老後のために必要な備えとして準備しなければなりません。
毎月5万円のマイナスと想定した場合、毎月のマイナス分を退職時から平均余命までカバーできる資金が必要です。
例えば、65歳で定年退職するのであれば、そこから平均余命(24年)と長生きを考えてプラス10年の34年分のマイナス分が必要です。
- -5万円×12カ月×34年=△2,040万円
この例では退職までに約2,000万円が必要となります。
第1号被保険者が利用できる年金の上乗せ制度

老後の収入を補う資金の作り方には、積立投資、生命保険、不動産投資といったものがありますが、老後の暮らしを補填できるならどれでも大丈夫です。
ただ、利用する商品によって有利不利はあります。
特に国民年金しか対象にならない期間は上乗せを考える必要がありかもしれません。
付加年金|少額で利用できる制度
国民年金の第1号被保険者であれば、付加年金の対象になります。
付加年金は毎月の保険料に400円プラスして納めることで、老齢基礎年金がプラス200円されるというものです。
例えば、付加年金として10年納めれば400円×12カ月×10年で48,000円を上乗せして納めたことになります。
この結果、将来の年金が24,000円(200円×12カ月×10年分)増えることになります。
つまり額面上は2年で元が取れることになります。 額面上といったのはインフレには対応できないので、実質で見ると2年以上かかるかもしれないからです。
国民年金基金|老齢基礎年金に上乗せする仕組み
国民年金基金も老齢基礎年金に上乗せする制度です。
掛け金は給付の型、加入口数などで異なります。 iDeCoと併用できますが、掛け金の上限はiDeCoとあわせてになります(現行は68,000円)。
2026年12月から、第1号被保険者のiDeCo等の掛金上限は7.5万円に引き上げられる予定です。
制度改正の詳細は、実施が近づいたタイミングで最新情報をご確認ください。
国民年金基金には、居住地に基づいて加入する「地域型」と、特定の業種に従事する人が加入する「職能型」があり、いずれか一方を選んで加入します。
また、第1号被保険者である限り、途中でやめることができない点にも注意が必要です。
会社員が利用できる企業年金制度

確定給付企業年金(DB)とは
確定給付企業年金は、企業が加入する上乗せ年金制度です。
将来の給付金額があらかじめ決めっているので確定給付といいます。
今話題のiDeCoは個人型確定拠出年金のことですが、確定拠出年金が将来の年金を自分で運用するのに対して、確定給付企業年金は自分で運用することはしません。
- iDeCo→だれでも利用できる→リスクは加入者が負う
- 確定給付企業年金→会社に制度がないと利用できない→リスクは会社が負う
給付額が確定してるので、それに応じた掛け金を企業が拠出します。掛け金は企業が支払いますが、取り決めによって加入者も負担することができます。
確定拠出年金(企業型DC)とは
確定拠出年金は、加入者が自分で掛け金を運用し、運用した結果を老後の年金として受け取れる制度です。したがって運用の知識と巧拙に影響を受ける制度といえます。
確定拠出年金には、企業型と個人型(iDeCo)とがあります。
企業型を利用するには企業が企業型確定拠出年金を実施してる必要があります。企業型確定拠出年金の掛け金は企業が負担します。
確定拠出年金(iDeCo)は老後資金作りの要

確定拠出年金の個人型がiDeCoです。
個人型は自分で加入と掛け金を決めます。
掛け金の受け取りは原則60歳以降と決まっており、老後資金にしか使えないので生活に無理のない範囲で利用するのが基本です。
- 節税で非常に有利
- 拠出時・運用時・受取時にメリット
- 60歳以降じゃないと受け取れない
- 掛け金が負担になって生活が苦しくなる→iDeCo貧乏
- iDeCo貧乏になる→本末転倒
老後資金作りにNISAを活用するという選択
2024年度から始まった新 NISAも老後資金作りに利用できる制度です。
NISA制度は以前からありましたが、投資枠の上限が拡大され、非課税期間の無期限化がされました。
長期の積立・分散投資に向いた商品を選べば初心者にも始めやすく、老後2,000万円問題もだいぶ解消されます。
◎NISAがおすすめの点
- 非課税期間の無期限化
- 運用益の非課税
- 非課税枠が1,800万円まで拡大
iDeCoとNISAの使い分け
老後資金は負担のない範囲でiDeCo、それ以外はNISAといった感じでiDeCoとNISAの併用がおすすめです。
- 老後資金のみ→iDeCo(課税の繰り延べ効果大)
- 教育資金・住宅資金・老後資金→NISA(非課税制度)
そのほかの老後資金の上乗せ制度

厚生年金基金
老齢厚生年金の一部を代行する制度でしたが、運用環境の悪化により代行割れ(積立不足)が相次いだことから、現在は新規設立ができなくなっています。
中小企業退職金共済制度
中小企業が退職金を準備するための制度です。事業主が掛金を納付し、従業員の退職時に独立行政法人 勤労者退職金共済機構から退職金が支払われます。
小規模企業共済
自営業者や会社役員が、廃業・退職に備えて積み立てる制度です。
個人年金保険
生命保険会社が販売する個人年金も、老後資金の選択肢の一つです。一定の要件を満たす保険料は、個人年金保険料控除の対象になります。
まとめ|老後資金は年金+自助努力で備える
- 老後2,000万円問題は、金融庁2019年報告書に基づく平均的なモデルケースの試算
- 第1号被保険者(自営業等)は、付加年金・国民年金基金・iDeCo・小規模企業共済などが選択肢
- 第2号被保険者(会社員)は、勤務先の企業年金制度(DB・企業型DC)の有無を確認する
- iDeCoの掛金上限は2026年12月に引き上げ予定(第1号被保険者は7.5万円)
- iDeCoとNISAを役割分担しながら併用することで、老後資金づくりの選択肢が広がる

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