「賃貸不動産経営管理士」は賃貸物件の管理に関する資格

投稿日:2019年9月3日 更新日:

「賃貸不動産経営管理士」は、賃貸不動産の管理に関する専門資格です。

 

不動産の資格というと、宅地建物取引士が有名ですが、それぞれ目的が違います。

宅地建物取引士の専門は不動産の取引を円滑に行わせることであるため、賃貸不動産経営管理士の専門とは異なります。

賃貸不動産経営管理士は資格自体は前からありましたが、2021年に国家資格になるので宅地建物取引士と比べると知名度がほとんどありません。しかし、賃貸業界の需要が高まれば、知名度も増していくことでしょう。

賃貸経営に心強い味方、賃貸不動産経営管理士

現在の不動産市場は年々空き家が増加してるとはいうものの、不動産会社に来店するお客様の多くは賃貸物件をお探しなので、賃貸不動産の専門家である賃貸不動産経営管理士が求められています。

今の不動産賃貸業界は入居者とのトラブルが多く、賃貸不動産の管理業務が適正に行われているとはいいがたい状況です。

 

かぼちゃの馬車事件をきっかけに社会問題化したサブリース契約のトラブルは記憶に新しいと思います。

サブリースとは、業者が賃貸住宅をオーナーから借り上げ、その賃貸住宅を転貸する仕組みですが、契約時における説明不足が原因で、家賃保証をめぐるトラブルを引き起こしています。

スマートデイズの「かぼちゃの馬車事件」とサブリースの問題点

「かぼちゃの馬車」を運営するスマートデイズが、2018年4月に民事再生法を申請(後に破産)し、経営破綻しました。 このことで当分の間は銀行融資は厳しくなり、不動産投資市場は冷え込むと見込まれています。 …

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近年はシェアハウスが流行っていますが、シェアハウスでもいろいろ問題が起こっています。

シェアハウスを扱う不動産会社が、甘い投資計画を立てて高利回りをうたい、投資家と契約を結んだまではいいのですが、経営悪化を理由に賃料引き下げや支払い停止を通知する問題が続発しています。

不動産会社の説明不足によって、融資を返済できなくなって自己破産を迫られているオーナーもいます。

そのほか引き渡し後に起こる原状回復のトラブル、入居者間のトラブル等、賃貸住宅の管理業務には専門家が必要とされています。

シェアハウスを含め賃貸業界でオーナーをサポートする専門家が賃貸不動産経営管理士です。

 

国土交通省でも、賃貸住宅管理業者登録制度の規定や実態等を踏まえ、従来の契約書を見直し、新たに賃貸住宅管理業の標準契約書のひな形を策定して公表しています。

 

資格制度の概要

賃貸不動産経営管理士が国家資格になるのは2021年ですが、実は平成19年に始まった資格制度です。

賃貸不動産の管理業務に関する幅広い知識を体系的に学習し、賃貸不動産管理における専門家として認められたのがこの資格です。

 

現在は賃貸不動産経営管理士の資格は民間資格ですが、民泊管理業を行うには登録を受けた賃貸不動産経営管理士が必要とされています。

この資格制度は賃貸不動産経営管理士協議会が実施していますが、この団体は全国宅地建物取引業協会と全日本不動産協会も構成団体になっており、不動産業界で最も注目されている資格の一つといえます。

 

賃貸不動産経営管理士の主な業務には以下のものがあります。

・管理受託契約に係る重要事項の説明および説明書への記名・押印

・管理受託契約の成立時に交付する管理受託契約書への記名・押印

・サブリース契約時の重要事項説明

 

資格試験の概要

賃貸不動産経営管理士は、毎年11月中旬頃に試験が実施されます。

受験の申込みは、例年8月から9月下旬頃までとなっています。

2019年の合格発表は翌年1月です。令和6年度試験では12月26日です。

 

以前は1時間30分の試験でしたが、現在は2時間の試験になりました。

試験時間は、13:00~15:00の120分間で行われ、受験資格はなく、誰でも受験できます。

現在の試験は、4肢択一のマークシート形式で50問が出題されます。2019年は40問でした。

 

受験料は12,000円です。

 

過去の合格率

2023年 28.2%

 

2018年 50.7%

2017年 48.3%

2016年 55.9%

2015年 54.6%

 

2019年までは約50%の受験者が合格してましたが、国家資格後は約30%くらいです。

 

試験会場

民間資格の時は、札幌、盛岡、仙台、大宮、千葉、東京、横浜、金沢、名古屋、京都、大阪、神戸、広島、高松、福岡、熊本、沖縄の17地域でしたが、国家資格になって38地域で実施されています。

 

賃貸不動産経営管理士講習

賃貸不動産経営管理士試験に向けた講習が実施されており、講習を受講して修了すると試験の5問が免除されます。

 

2019年の講習は、33地域47会場で行われるようです。

2024年では、全国47都道府県で行われています。

 

講習の受講料は、実施団体ごとに異なります。このほかテキストも必要です。

 

合格率が30%なのを考えると、講習を受けるメリットはあります。

 

資格の登録

試験に合格した後、登録を行うことで資格者証が交付されます。

資格登録には要件を満たす必要があります。

 

賃貸不動産経営管理士の登録要件

・管理業務に関し2年以上の実務の経験を有する者またはその実務の経験を有する者と同等以上の能力を有する者

・賃貸不動産経営管理士試験の合格から1年以上が経過していない者または賃貸不動産経営管理士登録講習を修了した者

 

宅地建物取引士で管理業務の経験が2年以上あれば指定講習を受けるだけで業務管理者の要件を満たすとされてますが、今後廃止されると予想されています。

 

ダブルライセンスのすすめ

賃貸不動産経営管理士の資格は、宅地建物取引士やファイナンシャルプランナーといった資格とのダブルライセンスがいかせます。

既に宅地建物取引士の資格をお持ちであれば、短期間の学習で賃貸不動産経営管理士を狙えます。

 

売買専門の不動産会社でない限り、賃貸物件を探しているお客様は多いので、知識を活かせる場面はたくさんあります。

 

賃貸不動産の経営は不動産投資ですから、不動産運用を学ぶファイナンシャルプランナーとも相性が良く、ダブルライセンスが活かせます。

 

賃貸不動産経営管理士の資格講座を実施しているところは少ないですが、スタディングは講座を実施しています。

 

 

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