世界の不動産事情を比較!国によって異なる所有権と資産価値の考え方

投稿日:2019年7月1日 更新日:

不動産屋にとって案内中のお客様との会話は、ニーズを把握するためにも大切です。

最近では外国籍のお客様からの問合せも珍しくないですが、案内をしていると話がかみ合わないことがあります。

話を聞いてみると国によって契約や習慣に違いがあることが原因のようです。

特に不動産については、国が違えば扱いが全然違うことも珍しくないので、誤解のないよう注意しながら説明しています。

国によって違う?外国人の不動産保有を認める国と認めない国

日本に住んでいると、個人が不動産の所有者となれるのは当たり前ですが、国によっては個人が土地を保有することが出来なかったり、外国人には規制されることがあります。

 

日本では国籍に関係なく、個人に土地を保有する権利が認められているため、何年も前から外国資本が日本の土地を買い占めていることが問題視されています。特に中国人が地方の安い土地を買って太陽光パネルを設置し、森林が削られてハゲ山になる等、自然破壊が問題になってます。

「林野庁の統計によると、’06年から’17年までに外資および外資系が買収した日本国内の森林総面積は5789ha。しかし、森林以外の土地売買については政府へ報告する義務がないため、実際どれくらいの面積の国土が外国人に買われているのか、データ自体がないのです」

この5789haは、山手線内側面積の9割に相当する広さだが、これはあくまで氷山の一角というわけだ。

外国人による日本の土地買収の激化 北海道や長崎、沖縄も

  • 日本→無制限(主に先進国)
  • 無制限→一部の国で制限する流れ

 

ベトナムでは最近になって外国人の不動産購入が解放されましたが、カンボジアやミャンマーのように外国人に土地の所有を認めていない国も多くあります。

中国のように所有権でなく使用権を認めている国もあります。

  • 外国人に土地所有認めない→カンボジア・ミャンマー・フィリピン・インド
  • 使用権のみ→中国(土地は国のもの)

 

外国人に対して土地の所有を認めている国でも、カナダやシンガポールといった国のように、外国人が不動産を購入する場合は加算税を課すのが普通です。

日本は外国人の不動産購入について無策ですが、欧米のように外国人には加算税が課されるようにする等の対策をしないと、将来日本人が困ることになる可能性が高いです。現に不動産の価格上昇が起きてるため、一定の土地については制限を設けるべきという声が多数です。

  • 外国人は課税→カナダ・シンガポール
  • アメリカ→州による

 

投資目的で不動産を購入する人がいれば価格が高騰するので、外国人の所有権には一定の制限を加えるのは外国では普通に行われてます。

 

日本は建物の寿命が短い⁉

日本は欧米と比較して新築の流通数が多く、中古不動産の取引数が少ないといわれています。

 

日本では、建物は年月とともに劣化していくものと捉えられていますが、欧米では不具合箇所を修繕しながら永続的に使い続けると捉えられています。

建築後30年も経てば、日本の中古不動産市場では建物はほとんど評価されませんが、欧米では古くなっても修繕やリノベーションしていれば価値が維持されます。

中古マンションであれば、日本では購入から数年もすればだいぶ値下がりするのが一般的ですが、欧米では経済環境によって逆に値上がりしていることも珍しくありません。

現在は東京を中心にマンション価格が上昇していますが、これはむしろ例外で、建物は減価していくといった扱いが今までの日本の中古不動産市場でした。

 

他に日本と欧米の違いとして挙げられるのが、新築建物の認可の得やすさがあります。

日本では新築を建てやすいのですが、欧米ではなかなか新築を建てることは難しく、認可を得るのに1年以上かかることも珍しくないそうです。

 

また、日本で中古不動産の市場が発展しなかった理由の一つに中古不動産のリスクがあります。

国土交通省の新築不動産を購入した人に対するアンケートによれば、中古不動産を選ばなかった理由に「欠陥がありそう」「リフォームにいくらかかるか分からないから」といったものが挙げられてます。

2018年からインスペクション(目視による検査)のあっせんが始まってますが、これは日本の中古不動産市場の活性化を図る目的があります。

購入前にインスペクションを実施することで、リフォームにいくらかかるか、修理が必要な箇所の把握といったことが可能となり、中古不動産を購入しやすくなるからです。

「インスペクションは目視なのであくまでも概算です」

 

諸外国に見る土地と建物の関係

日本の法律では、土地と土地の定着物が不動産とされています。

不動産の特徴としては、名前の通り動かすことができないという点です。

 

また、日本では土地と建物は別の財産として扱うため、土地の所有者と建物の所有者が異なることはよくあります。

登記簿でも建物と土地はそれぞれ別に設けられています。

 

ところが、国によっては土地と建物を一体として扱う国があります。

ドイツやフランスといった欧米では、建物は土地と一体として扱われています。

日本とは違い、ドイツやフランスといった国では、建物を独立した不動産とは扱わないのです。

 

土地と建物が別々だと権利関係が分かりにくくなりますが、この権利を明らかにする制度が登記制度になります。

しかし、不動産の登記は必ずしも義務になっていないので、現金で不動産を購入すると誰が所有者か分からないことにもつながります。

現在、所有者不明の土地が問題化していますが、これは相続した不動産を登記をしないケースが多いことから起きています。

その後、2024年に相続について3年以内の登記が義務化されました。

 

おわりに

日本では、不動産とは土地と土地の定着物をいいます。

外国では、不動産の所有は外国人には制限されることも多いですが、日本では外国人でも不動産の所有を認めています。

欧米では建物は古くなっても価値は変わらないといった見かたをしますが、日本では建物は古くなると価値がゼロになると見られます。

日本の法律では、土地と建物は別々の財産として扱われ、それぞれ所有者が異なることがあります。

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