世界の不動産事情を比較!国によって異なる所有権と資産価値の考え方

不動産

不動産屋にとって案内中のお客様との会話は、ニーズを把握するためにも大切です。

最近では外国籍のお客様からの問合せも珍しくないですが、案内をしていると話がかみ合わないことがあります。

話を聞いてみると国によって契約や習慣に違いがあることが原因のようです。

特に不動産については、国が違えば扱いが全然違うことも珍しくないので、誤解のないよう注意しながら説明しています。

今回は、日本と諸外国で異なる不動産制度の違いを整理します。

 

この記事から分かること

  • 日本が外国人の不動産所有を無制限に認めている、世界的に見て珍しい国である理由
  • 国によって異なる外国人の不動産所有規制(禁止・使用権のみ・課税・購入禁止)
  • 日本と欧米で異なる「建物の価値」に対する考え方
  • 日本の法律で土地と建物が別の不動産として扱われる理由
  • 相続登記の義務化(2024年〜)の背景

 

国によって違う?外国人の不動産保有を認める国と認めない国

日本では、国籍にかかわらず個人が土地を所有する権利が認められています。

これは世界的に見ると、実は珍しい部類に入ります。

 

この制度を背景に、外国資本による日本国内の土地取得が以前から話題になっています。

林野庁の統計では、2006年から2017年までに外資・外資系企業が買収した日本国内の森林総面積は5,789haにのぼるとされています(これは山手線内側の面積の9割に相当する広さです)。

ただし、森林以外の土地取引は政府への報告義務がないため、実際にどれだけの国土が外国人・外国資本に取得されているかを示す網羅的なデータは存在しません。

 

諸外国の外国人不動産規制は、大きく次のパターンに分かれます。

分類 主な国・地域
所有権を認めない カンボジア、ミャンマー、フィリピン(土地は不可、コンドミニアムの一定割合は所有可)
所有権ではなく使用権のみ 中国(土地は国有・集体所有、個人は使用権を取得)
所有は認めるが課税を強化 シンガポール(住宅購入時に物件価格の60%相当の追加印紙税)
一定期間、購入そのものを禁止 カナダ(住宅用不動産の外国人購入禁止。2023年開始、2027年1月まで延長中)

ベトナムのように、近年になって外国人の不動産購入を一部解放した国もあります。

一方で、投資目的の不動産購入が価格高騰を招くとして、外国人の所有に一定の制限を設ける国は珍しくありません。

日本は現時点でこうした制限を設けていませんが、近年の地価上昇を背景に、一定の土地について何らかの制限を求める声も出てきています。

 

日本は建物の寿命が短い?資産価値が下がりやすい理由

日本は欧米と比較して新築住宅の流通数が多く、中古不動産の取引数が少ない傾向にあります。

 

日本では、建物は年月とともに劣化し価値が下がっていくものと捉えられがちですが、欧米では不具合箇所を修繕しながら長く使い続けるものと捉えられる傾向があります。

建築後30年も経てば、日本の中古市場では建物の価値がほとんど評価されないことも多い一方、欧米では修繕やリノベーションを重ねることで、経済環境によってはむしろ値上がりすることも珍しくありません。

 

現在は東京を中心にマンション価格が上昇していますが、これは近年の需給を背景にした動きであり、「建物は年数とともに減価する」という考え方が、これまでの日本の中古不動産市場の基本でした。

 

新築の認可の得やすさも、日本と欧米で異なります。

日本では比較的新築を建てやすい一方、欧米では新築の認可を得るまでに1年以上かかることも珍しくないとされています。

 

中古不動産のリスクと対策(インスペクション制度)

国土交通省が新築を購入した人に行ったアンケートでは、中古物件を選ばなかった理由として「欠陥がありそう」「リフォームにいくらかかるか分からない」といった声が挙げられています。

 

こうした背景から、2018年(平成30年)4月の宅建業法改正により、不動産会社が仲介時に「インスペクション(建物状況調査)」のあっせんを行う仕組みが導入されました。

購入前にインスペクションを実施することで、修繕が必要な箇所やおおよそのリフォーム費用を把握しやすくなり、中古不動産を選びやすくなる効果が期待されています。

なお、インスペクションは目視による調査が基本のため、把握できる内容はあくまで概算にとどまる点には注意が必要です。

 

土地と建物、日本と諸外国の違い

日本の法律では、土地とその定着物(建物など)が「不動産」とされます。

不動産の大きな特徴は、その名の通り動かせないという点です。

 

日本では、土地と建物は別々の財産として扱われるため、土地の所有者と建物の所有者が異なることも珍しくありません。

登記簿も、土地と建物でそれぞれ別に作成されます。

 

一方、ドイツやフランスなど大陸法の国では、建物は土地と一体のものとして扱われ、独立した不動産としては扱われません。

日本のように土地と建物を別々の権利として登記する仕組みは、国際的に見るとやや特殊な制度と言えます。

 

相続登記の義務化と所有者不明土地問題

土地と建物が別々に扱われることで権利関係が複雑になりやすいため、これを明らかにする制度が「登記」です。

しかし、日本では不動産の登記が必ずしも義務ではなかったため、相続した不動産の登記が行われないまま放置され、所有者が分からなくなる「所有者不明土地」が社会問題になっていました。

 

これを受けて、2024年(令和6年)4月から相続登記が義務化され、相続の開始と所有権の取得を知った日から原則3年以内に登記の申請を行うことが必要になっています。

 

まとめ

  • 日本は国籍を問わず個人が土地を所有できる、世界的に見て珍しい制度を持つ国
  • 外国人の不動産規制は国によって様々で、所有禁止・使用権のみ・課税強化・購入そのものの禁止など幅がある(カナダは2027年1月まで住宅購入禁止を延長中)
  • 日本の中古住宅市場は、欧米と比べて建物の価値が下がりやすい傾向にある
  • 2018年からインスペクションのあっせん制度が始まり、中古住宅選びの参考情報として活用できる
  • 日本では土地と建物が別の不動産として扱われるが、ドイツ・フランスなどでは建物は土地と一体として扱われる
  • 2024年4月から相続登記が義務化され、所有者不明土地問題への対応が進められている

 

 

免責事項

本記事は一般的な情報提供を目的としており、各国の法制度は今後変更される可能性があります。海外不動産の取得を検討する際は、現地の最新の法制度を専門家にご確認ください。本記事の内容は執筆時点の情報に基づいています。

 

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