賃貸不動産だと月々の家賃しか費用は発生しませんが、不動産を購入した場合は購入費用以外に様々な費用がかかります。
中でも区分所有のマンションでは、管理人と修繕積立金といった費用が発生します。
どちらも将来的なマンションの資産価値に影響する費用ですが、それぞれの目的や性質は異なります。
区分所有マンションにかかる管理費と修繕積立金
新築、中古にかかわらず、区分所有のマンションを購入すると、区分所有権という権利を持ちます。
一戸建てであれば、共有もありますが基本的には一人の人が所有します。
ところが、マンションの場合は一棟の建物を構造的に区分し、多数の人が区分所有に基づいてそれぞれの部屋を所有します。
区分所有者は、敷地及び共用部分の管理に要する費用として、管理費と修繕積立金という2つの費用を負担します。
管理費は、マンション共用部分の通常の管理に要する経費をいい、修繕積立金は、特別の管理に要する経費をいいます。
管理人修繕積立金の用途は明確に区分され、日常的に発生するのが管理費、数年ごとに行う修繕や不測の事故に充てるのが修繕積立金です。
管理費と修繕積立金の金額は、原則的には共用部分の共有持分で計算するとされています。つまり、部屋が広い方が多く負担することになります。
そして、共有持分は専有部分の床面積の割合のことをいいます(規約で別段の定めをすることができます)。
管理費は通常の管理に要する経費
管理費は、通常の管理に要する経費に充当されます。
上に書いたように、共用部分の管理について経常的に発生する費用のことです。
マンション標準管理規約では、
1.管理員の人件費
2.管理組合が支払う税金など
3.共用設備の保守点検・運転費
4.備品費・通信費その他
5.共用部分の火災保険、地震保険といった保険料
6.経常的な補修費
7.管理員の清掃費、ごみ処理費
8.委託業務費
9.専門的知識を有する者(マンション管理士や建築士)の活用に要する費用
10.管理組合の運営に関する費用
11。その他管理組合の一般的な業務に要する費用
といったものが管理費にあたるとされます。
管理費等に不足が生じる場合は、管理組合は組合員に対し、管理費の負担割合によって必要な金額の負担をその都度求めることができるとされています。
修繕積立金は特別の管理に要する費用
各区分所有者は、特別の管理に要する費用のため、修繕積立金を負担します。
特別の管理に要する費用なので、経常的な費用に充てることは出来ず、建て替えの調査や大規模修繕といったものに充当されます。
マンション標準管理規約には、
1.一定年数の経過ごとに計画的に行う修繕(大規模修繕)
2.不測の事故その他特別の事由により必要となる修繕
3.敷地・共用部分等の変更
4.建物の建て替えおよびマンション敷地売却(建て替え等)に係る合意形成に必要となる事項の調査
5.その他敷地・共用部分等の管理に関し、区分所有者全体の利益のために特別に必要となる管理
といったものに修繕積立金を充てるとされています。
駐車場の使用料は、駐車場の管理に要する費用に充てられる他、修繕積立金として積み立てられます。
国道交通省が平成23年4月に公表した「マンションの積立金に関するガイドライン」によれば、建物の規模が大きくなるほど必要な修繕積立金の額は低くなる傾向にあるとされています。
修繕積立金の積立方式
長期修繕計画は、5年ごとに見直されることが必要ですが、見直しによって修繕積立金が増加することがほとんどといわれます。
これはただ単に修繕工事費が増加しただけでとはいえないようです。
修繕積立金の積立方式には、長期修繕計画の期間に均等の額を積立てる「均等積立方式」と、最初の積立額を抑えて段階的に値上げしていく「段階増額積立方式」とがあります。
新築マンションを分譲するときに、修繕積立金が高いと売れにくいので、ほとんどのマンションでは段階増額積立方式が採用されています。
そのため、段階増額積立方式を採用しているマンションでは、修繕積立金が不足して管理に悪影響が出たり、修繕のための一時金が必要になったりします。
修繕積立金が不足するのであれば、総会で修繕積立金の増額について話し合われるのですが、入居者が高齢だと増額について合意が得られず、問題化することになります。
ガイドラインでは、均等積立方式を基本としていますが、均等積立方式であっても修繕費の高騰があれば修繕積立金の増額はあります。
タワーマンションのように1階から足場を組まない修繕では、ゴンドラを設置する等特別な修繕が必要なので、修繕費も高額になる傾向にあります。
おわりに
この1年間で首都圏のマンション平均価格が10%以上値上がりしました。
このまま値上がりしていけばいいのですが、何のきっかけで暴落するかは分かりません。
東京のマンションでは年収の10倍でローン組むのが当たり前になってるので、事前のリスク確認は必須です。
最近、リスクとバブルの歴史に関する本を読みました。
いずれも名著といえる本なのでおすすめです