賃貸物件探しでは、敷金と礼金が少ないものを選ぶことで初期費用を抑えられます。
店舗の場合は、「居抜き物件」や「フリーレント」を選ぶことで初期費用を抑えることが可能です。
居抜き物件は店舗、フリーレントはアパートやオフィスを対象にした物件で見かけます。
新しく事業を始める時に多くの人は初期費用で悩みます。
金融公庫や銀行から借りたとしても、最初はいろいろ費用がかかるのであっという間に資金は減っていきます。
事業を開始したばかりの時は、費用を抑えつつ、ある資源でどうやって利益を出すかを考えなければいけません。居ぬき物件をうまく利用することで費用と開業準備期間を抑えられます。
この記事では、店舗・事務所物件の初期費用を抑えるための主な方法として、居抜き物件・フリーレント物件・貸主負担物件の3つを解説します。
この記事で分かること
- 居抜き物件とは何か・利用するメリットとデメリット
- 居抜き物件を選ぶ際の確認ポイント
- フリーレント物件の仕組みと短期解約違約金の注意点
- 貸主が初期費用を負担する物件の実態
- 店舗物件選びで最も重要なポイント
方法①:居抜き物件を活用する

居抜き物件とは
居抜き物件とは、前の賃借人が使用していた内装・設備・備品などをそのまま引き継ぐ形で借りられる物件のことです。
飲食店・美容室・事務所など、業種によっては内装工事に多額の費用がかかります。
居抜き物件を選ぶことで、前の入居者が整えた設備・内装をそのまま活用でき、初期の内装工事費用を大幅に削減できます。
居抜き物件のメリット
①内装・設備工事費用を抑えられる
一から内装工事を行う「スケルトン物件」と比べて、工事費用が大幅に少なくて済みます。特に厨房設備・空調・配管などが整っている飲食店物件では、数百万円単位の節約になることもあります。
②開業までの時間を短縮できる
内装工事期間が不要または短縮できるため、早期開業が可能になります。
③設備の動作確認ができる
実際に使われていた設備があるため、事前に動作確認できます。
居抜き物件のデメリット・注意点
①前の入居者のイメージが残る
前の店舗の雰囲気・レイアウトが残るため、独自のコンセプトを出しにくい場合があります。こだわりのある内装にしたい場合は向きません。
②設備の老朽化リスク
前の入居者が長期間使用した設備は、老朽化していることがあります。引き継いだ後に故障・修繕が発生するリスクがあります。
③なぜ前の入居者が退去したか確認する
居抜きで出回る物件の中には、立地や集客に問題があったために撤退した店舗も含まれます。なぜ前のテナントが退去したのかを可能な範囲で確認しておくことが重要です。
特に飲食店では、ネットで集客努力をしても立地の影響を大きく受けます。
駅前・主要道路沿いなどの立地かどうかは、居抜き物件を選ぶ際の重要な判断基準です。
居抜き物件を選ぶ際のチェックポイント
- 前テナントの退去理由を考える
- 引き継ぐ設備の動作確認・状態を内見時に確認する
- 設備の撤去義務・原状回復の範囲を契約前に確認する
- 立地条件(集客ポテンシャル)を独自に調査する
- 設備の所有権(無償譲渡か有償譲渡か)を確認する
方法②:フリーレント物件を活用する

フリーレント物件とは
フリーレントとは、一定期間の家賃が無料になる物件のことです。
「フリーレント2か月」と表示されている場合、入居から2か月間の賃料が発生しません。
賃貸人(貸主)にとっては、フリーレントにしてでも早期に入居者を確保したいという事情があります。
開業準備期間中の家賃負担を減らせるため、初期費用の削減に有効です。
フリーレント物件の短期解約違約金に注意
ほとんどのフリーレント物件には、短期解約に対するペナルティ条項が設けられています。
たとえば「入居から1年未満に解約する場合は、フリーレント相当額(または賃料1か月分)を違約金として支払う」という特約が一般的です。
確認すべきポイント
- 違約金が発生する期間(何年未満の解約が対象か)
- 違約金の金額(フリーレント相当額か月額賃料か)
- 短期解約自体が不可なのか、違約金を払えば解約可能なのか
フリーレント物件は、物件の条件自体が人気のないケースも少なくありません。
なぜフリーレントにしているかを確認したうえで判断してください。
フリーレントでも発生する費用
フリーレントは「家賃が無料」であって、すべての初期費用がゼロになるわけではありません。
以下の費用は通常通り発生します。
- 仲介手数料
- 鍵交換費用
- 火災保険料
- 保証会社利用料
- 敷金・礼金(物件による)
契約前に初期費用の全体像を確認してください。
方法③:貸主が初期費用を負担する物件

先日、賃貸物件を検索していたら、契約時に係る初期費用の保証会社の加入金、鍵交換費用を賃貸人が負担するというものがありました。
近年、空室期間が長い・アパート全体の空室率が高い物件では、貸主が初期費用の一部を負担するケースが見られます。
貸主負担の例
- 保証会社の加入金を貸主が負担
- 鍵交換費用を貸主が負担
- 礼金をゼロにする
こうした物件は初期費用を抑えられるメリットがある一方、空室が長期化している理由がある可能性があります。
立地・設備・周辺環境を通常以上に慎重に確認することが重要です。
店舗・事務所物件選びで最も重要なポイント:立地

前の入居者が飲食店であれば、居抜き物件として次の入居者募集をすることも多いです。次の入居者も似たような業種となるケースが多く、前の設備、備品を利用できます。
居抜き物件・フリーレント・貸主負担など、初期費用を抑える手段はさまざまですが、いずれの物件でも立地の確認は最優先事項です。
どれだけ内装にこだわっても、ホームページやSNSで集客努力をしても、立地が悪ければ売上に直結します。
特に飲食店・美容室・小売店などの来客型ビジネスでは、立地が事業の成否を大きく左右します。
立地確認のポイント
- 最寄り駅からの距離・動線
- 前面道路の交通量・視認性
- 競合店舗の有無
- ターゲット顧客の通行量・時間帯
飲食店であれば、味に自信があってもお客さんの来店がなければ廃業ですので、ネットが普及した現代でも場所は重要です。
初期費用を抑えることは大切ですが、「安いから選ぶ」ではなく「事業に合った立地かどうか」を最優先に判断したほうがよいでしょう。
まとめ
店舗・事務所物件の初期費用を抑える主な方法は3つです。
①居抜き物件
前テナントの内装・設備を引き継ぎ、工事費用を削減。退去理由・設備状態の確認が必須。
②フリーレント物件
一定期間の家賃が無料。短期解約違約金の条件を必ず確認する。フリーレントでも仲介手数料・保険料は発生する。
③貸主が初期費用を負担する物件
保証会社加入金・鍵交換費用などを貸主が負担するケースがある。空室長期化の理由を確認する。
いずれの場合も、初期費用の節約だけでなく立地と事業との適合性を最優先に判断することが、長期的な事業の安定につながります。
本記事は宅地建物取引士・1級ファイナンシャル・プランニング技能士が監修しています。 物件の条件は個別に確認してください。

