売買、贈与、交換、新築、増築、改築等によって土地や家屋を新しく取得すると、「不動産取得税」という税金が不動産取得者に課せられます。
不動産取得税は、不動産の価格に税率を乗じて求めるだけですが、軽減措置や減免措置があるうえ、税制自体が特例措置が多いので複雑です。
軽減措置によって実際は支払わない人もいますし、取得した時の1度だけかかることから、なじみの薄い税金なのかもしれません。
この記事から分かること
- 不動産取得税とは何か、誰が納税義務者になるか
- 不動産取得税の計算方法(税率・課税標準の特例)
- 新築住宅・中古住宅それぞれの軽減措置の内容
- 令和8年度税制改正による変更点(床面積要件・免税点など)
- 非課税・減免になるケース
不動産取得税を納める人
不動産取得税は、その名の通り土地や家屋といった不動産を取得した人が納税義務者になります。
取得とは、不動産の所有権を取得することをいい、売買だけでなく、贈与、交換、新築、増築、改築など取得の原因は問いません。
ただで不動産を取得した場合も、所有権を登記していない場合も不動産取得税の対象となります。
不動産の取得時期

売買などの契約によって不動産を取得した場合、特約がなければ、代金の支払いや引き渡しの日にかかわらず、原則として契約を締結した日が取得日になります。
ただし、契約書に所有権移転の時期に関する特約があれば、その特約に定められた日が取得日になります。
建物を新築した場合は、最初に使用または譲渡が行われた日に取得したとみなされ、その時点の所有者または譲受人が納税義務者になります。
新築の日から6か月を経過しても使用・譲渡がない場合は、6か月を経過した日に取得があったとみなされます。
不動産取得税の計算方法
不動産取得税は、次の式で計算します。
- 不動産の価格(固定資産課税台帳の価格)× 税率 = 税額
不動産の価格は、実際に購入した価格ではなく、市町村の固定資産課税台帳に登録されている価格(固定資産税評価額)を用います。
税率は本則4%ですが、特例により土地・住宅の取得については3%に軽減されています(令和8年度時点でも継続しています)。
また、宅地や宅地比準土地(宅地以外の土地で、価格の決定が近隣の宅地の価格に比準して行われている土地)を取得した場合、不動産の価格を1/2とする課税標準の特例が設けられています。
この特例における「宅地」は住宅用に限られず、店舗用地なども対象になります。
新築住宅の固定資産税は新築翌年の1月1日を基準日としますが、不動産取得税は新築された時点の価格を基礎とする点が異なります。
非課税の不動産取得

次のような場合の不動産取得には、不動産取得税が課されません。
- 相続によって不動産を取得した場合
- 法人の合併または一定の分割により不動産を取得した場合
- 学校法人が保育・教育の用に供する不動産を取得した場合
- 宗教法人が境内建物・境内地を取得した場合
- 社会福祉法人などが一定の社会福祉事業の用に供する不動産を取得した場合
- 公共の用に供する道路、保安林・墓地・運河用地・水道用地・用悪水路・ため池・堤とうなどの用に供するための土地取得
- 土地区画整理事業の施行に伴う換地の取得
不動産取得税の軽減措置
住宅及び住宅用の敷地を取得した場合は、一定の要件に該当すれば、軽減措置の対象になります。
新築住宅、新築住宅の敷地、中古住宅、中古住宅の敷地に分けて見ていきます。
新築住宅の場合
新築住宅の軽減措置を受けるための床面積要件は、令和8年度税制改正により見直され、次のとおりになっています。
| 要件 | 内容 |
| 床面積の下限 | 40㎡以上(改正前は50㎡以上)※東京都特別区内の一部エリアは50㎡以上のまま据え置き |
| 床面積の上限 | 240㎡以下 |
| 貸家住宅(戸建て以外) | 1戸につき40㎡以上 |
控除される額は、住宅の価格から1戸につき1,200万円です。
また、認定長期優良住宅を取得した場合は、控除額が1,300万円に拡充されており、この特例は令和13年(2031年)3月31日まで延長されています(元は令和8年3月31日までとされていましたが、税制改正で延長されました)。
新築住宅の敷地
住宅を新築した場合、次のいずれかに該当すれば、敷地についても軽減の対象になります。
- 敷地を取得した日から2年以内にその敷地の上に住宅が新築されたとき(3年に延長される特例が設けられている場合があるため、取得時期によっては都道府県税事務所への確認をおすすめします)
- 敷地を取得した日前1年以内にその敷地の上に住宅を新築していたとき
未使用の新築住宅とその敷地を取得した場合も、同時取得や取得時期の前後関係によって軽減の対象になることがあります。
軽減される額は、次のいずれか多い額です。
- 45,000円
- 土地1㎡あたりの価格(宅地評価土地は1/2に調整した額)× 住宅の床面積の2倍(1戸につき200㎡限度)× 3%
中古住宅の場合
軽減の要件は、床面積が50㎡以上240㎡以下で、取得した人が居住し、次のいずれかに該当することです。
- 昭和57年1月1日以降に新築された住宅
- 新耐震基準に適合していることが証明された住宅
- 上記に該当しないが、取得後に耐震改修を行い、新耐震基準への適合証明を取得した住宅(取得日から6か月以内に証明書を提出し、居住の用に供したものに限る)
控除額は、新築時期によって異なります。
| 新築時期 | 控除額 |
| 昭和51年1月1日〜昭和56年6月30日 | 350万円 |
| 昭和56年7月1日〜昭和60年6月30日 | 420万円 |
| 昭和60年7月1日〜平成元年3月31日 | 450万円 |
| 平成元年4月1日〜平成9年3月31日 | 1,000万円 |
| 平成9年4月1日〜 | 1,200万円 |
中古住宅の敷地
中古住宅の敷地についても、敷地と住宅を同時に取得した場合や、取得時期が前後1年以内の場合に軽減の対象になります。
軽減額の考え方は、新築住宅の敷地と同様です。
免税点(令和8年度時点/2027年度からの変更点)

不動産の価格が一定額に満たない場合は、課税されません(軽減措置による控除後の額で判定します)。
| 区分 | 現行の免税点 | 2027年度分から |
| 土地 | 10万円 | (据え置き見込み) |
| 新築・増築・改築の家屋 | 23万円 | 66万円に引き上げ |
| その他の家屋(中古取得等) | 12万円 | 34万円に引き上げ |
令和8年度税制改正大綱では、2027年度分から家屋の免税点を大幅に引き上げる方針が示されています。
今後、少額の家屋取得については、より課税対象になりにくくなる見込みです。
不動産取得税が減免される場合
次のようなケースでは、不動産取得税が減免されます。
減免を受けるには、納期限までに「減免申請書」の提出が必要です。
- 取得直後の不動産が災害により滅失・損壊した場合、または被災した自己の不動産に代わる不動産を被災後3年以内に取得した場合
- 3親等内の血族・配偶者・1親等の血族の配偶者間で行われた不動産の贈与を、贈与日から1年以内に取り消し、贈与・取消しの双方に経済的利益が伴わない場合
- 土地区画整理事業に伴う移転補償金を受けた家屋の代わりとなる家屋を、一定期間内に区画整理事業の施行区域内に取得した場合
申告と納期
不動産を取得した日から10日以内に申告する必要があります。
不動産取得税は、都道府県税事務所から送付される納税通知書に記載された納期までに納付します。
まとめ
- 不動産取得税は、売買・贈与・交換・新築・増築・改築で不動産を取得した際にかかる税金
- 税額は固定資産課税台帳の価格に税率(原則4%、特例で3%)を乗じて算出する
- 新築住宅の床面積要件は令和8年度税制改正で40㎡以上に緩和された(一部エリアを除く)
- 認定長期優良住宅の1,300万円控除は令和13年3月31日まで延長されている
- 家屋の免税点は2027年度分から大幅に引き上げられる予定
- 相続による取得は非課税、災害等による減免制度もある
不動産取得税は特例や期限付きの措置が多いため、実際の取得時期によって適用条件が変わることがあります。
取得を予定している場合は、最新の情報を都道府県税事務所や専門家に確認することをおすすめします。
免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としており、税額の計算や軽減措置の適用可否は個別の状況により異なります。実際の申告・納税にあたっては、最新の税制および都道府県税事務所の案内をご確認いただくとともに、税理士等の専門家にご相談ください。本記事の内容は令和8年度税制改正の情報に基づいています。
参考

