バブルの時代は、家庭を持って自分の住宅を購入することがサラリーマンの平均像と言われていました。
しかし、今は順調な人生を歩んでいても、住宅購入がきっかけとなって、生活に追われるようになる人もいます。
毎月のローン返済額が適切であれば問題ありませんが、無理のある資金計画だと大変です。
10年以上前のことですが、住宅ローンが返せない人から相談を受けてアドバイスする仕事をしていました。
ローンが返せない人に共通するのは最初から無理がある返済計画でお金を借りているからです。
不動産会社の営業さんは、売上を上げることが第一優先なので、無理のある資金計画だとしても契約を勧めてきます。なので無理があるローンを組んでいる人は多いです。
目次
不動産屋は住宅ローンに詳しいとは限らない
不動産は専門性が高く、住宅ローンも高い専門性が必要なため、短期間ではこれらの知識は身につきません。
そこで不動産の購入者にとって頼りになるのが不動産業者なのですが、不動産業者だからといって不動産と住宅ローンの知識があるとは限りません。
不動産会社は、社員の出入りが激しく、入社1か月目の新人でも普通に営業しています。
また、不動産会社では、住宅ローンを将来も支払っていけるかどうかまではお客さんに教えてくれません。
というより住宅ローンの知識については、不動産会社の社員の中には素人と大して変わらない人もいます。
不動産会社の営業さんは、不動産取引の専門家ですが、住宅ローンについてはあくまでもサービスで行っていることです。
バブル後もローン破綻が減らないのは、こういったことが影響しているのは間違いないでしょう。
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住宅ローン利用者に大きな影響力をもっているのは不動産業者、住宅販売業者の営業
住宅金融支援機構による「2017年の住宅ローン調査」によれば、「利用した住宅ローンを知るきっかけとして影響が大きかった媒体等」の第1位は「住宅・販売事業者」となっています。
住宅・販売業者と答えたのは34.6%に及んでおり、3人に1人が不動産業者によって住宅ローンを利用することになったと答えています。
次に多いのが「インターネット」で18.7%、その後に「金融機関」12.5%、「クチコミ」11.7%と続いています。
ところが住宅ローンの専門家といわれる「ファイナンシャルプランナー・住宅ローン・アドバイザー等の専門家」は、4.7%でした。
何千万円という借金をするのにもかかわらず、ほとんどの人は専門家に相談していないことになります。
ファイナンシャルプランナーの全部が必ずしもローンに詳しいとは限りませんが、不動産業者や住宅販売業者よりはローンに対する知識があることが多いです。
第三者の視点からアドバイスを受けられるのは貴重だと思います。
住宅ローンの返済額は誰でも簡単に計算できる
住宅ローンを借りたときの月々の返済額は、「金融電卓」を使えば簡単に計算できます。
金融電卓を使えば、借りる金額、金利、返済期間、を入力するだけで月々の返済額が求められるので、3秒もあれば誰でも計算できます。
金融電卓を用いて住宅ローンの金額を出すだけであれば、当然ですが住宅ローンの仕組みや知識は不要です。
売れてる営業マンだからといって住宅ローンに詳しいかというと……実はそうとは限りません。
実際、管理人の知り合いのトップ営業マンは、よく使う金融機関の金利について知らないどころか金利が何かもよく分かってませんでした。
不動産会社の仕事は、不動産取引が円滑にできることなので、住宅ローンに関する諸手続きは業務の範囲外となります。
多くの不動産会社が住宅ローンの手続きをお客さんに代わって行うのは、住宅ローンが通らないと報酬を得られないからです。
言い方は悪いですが、不動産会社にとっては、住宅ローンの審査がOKならばお客さんが住宅ローンで破綻しようが関係ないことになります。
不動産会社の中には、仲介手数料とは別に住宅ローンあっせん料として何十万円も請求する会社もあります。そういう会社は避けたほうがいいと思います。
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住宅ローンには、借りられる金額と返せる金額がある
住宅ローンの借り入れでは、「借りられる金額」と「返せる金額」とを分けて考える必要があります。
借りられる金額とは、借りる人の返済能力や購入する不動産の担保評価等を参考にした金融機関が貸してくれる上限額をいいます。
そして、返せる金額とは、その人が将来にわたって無理なく返済していける金額をいいます。
今は無理がなく返済できたとしても、子供が進学する時期や老後生活の時期に破綻する人は多いので、将来も無理なく返済していける金額で借りる必要があります。
ローンが将来に与える影響は大きく、退職後にローン破産する人もたくさんいます。
年金制度を知らなければ、無理のない住宅ローンの返済金額を求めることは難しいでしょう。
無理な資金計画だと、定年退職した後に生活が激変することもありますから、無理なく返していけるという考えは重要です。
年収5倍の法則を知っていますか
世の中には、年収の〇倍までといった、年収5倍や年収6倍の法則があります。
年収の5倍で借りた人でも破綻する人はいます。まあ、ライフプランを立てても破綻する人は破綻しますけど……。
個人ごとに異なる価値観を過去の経験則で求めた法則に当てはめても意味がありません。
ライフプランはその人の価値観を基にして設計するので、年収5倍の法則(ルール)よりは効果が期待できると思います。
若いうちなら年収5倍でもうまくいくかもしれませんが、ある程度年齢を重ねた人がローンを組むときは完済時年齢だけでなく、返済額も重要なポイントになります。
例えば、年収700万円で夫婦に子供2人の家庭をモデルケースとしてみます。
他にローンがなければ「借りられる金額」は、フラット35なら7,000万円になります。一般的な金融機関でも4500万円くらいは借りられるでしょう。
5倍の原則であれば3500万円、6倍の原則なら4200万円となります。
しかし、人によっては、3500万円でも厳しい人もいます。
特に子供の進学に私立を希望して大学の資金も援助するのであれば、3,000万円でも厳しいかもしれません。
今は、余裕で住宅ローンの返済ができたとしても、子供の教育資金と老後資金の準備が必要です。
将来も含めた収入には限りがあるので、収入を何に使うかうまく配分しなければ老後資金を準備できない可能性があります。
高齢者の生活保護が急増していると最近のニュースで取り上げられてましたが、現在の現役世代はしっかりとした将来の計画を立てないと同じことになるかもしれません。
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不動産屋で住宅ローンに詳しい人は少ない
不動産会社の人の全部が、借りられる金額と返せる金額の違いについて分かっているとは限りません。
不動産会社は、住宅ローンの審査に通る上限の「借りられる金額」だけ把握しておけば、問題ないので分かる必要もありません。
世の中には、ネット、雑誌、新聞と様々な情報が氾濫していますが、実際は違うことも多いです。
不動産の購入は、住宅ローンに精通した不動産屋か、不動産に精通した住宅ローンの専門家に相談するとリスクが減ります。
ちなみに老後のリスクがあるのは
1.地方でローンに頼って新築マンションを購入した人
2.賃貸生活なのに首都圏に住み続けたい人
3.借りられる金額で借りてしまった人
4.建物にお金をかける人
5.投資より貯金
といえます。
1.いつまでも担保割れ
2.首都圏は家賃が高く、年金に頼れない
3.返せる金額を意識することが大事
4.現状では古い建物は評価されない
5.インフレに勝てない