今でこそ少なくなりましたが、かつては仕事から家に帰ると必ずといっていいほどポストに不動産屋のチラシが入ってました。
以前から、不動産会社の広告というと胡散臭いイメージをもっている人は少なくありません。
例えば、チラシに載ってる土地がすごい安いからと思って不動産会社に問い合わせてみると、実際は建物が建てられない土地だったということはよくあります。
これだけ聞くと何だか悪人の集まるひどい業界だと思うかもしれません。
確かに不親切ですが不動産会社はうそをついているわけではありません。また、不動産会社の広告は一定の決められたルールのもと行われています。
おとり広告は禁止されている
おとり広告とは、反響を取るために不動産がありもしない物件を掲載している広告です。
おとり広告は、法律で禁止されています。悪質な場合は、免許停止や取り消しもあり得ます。
しかし、悪質な業者は法律なんか問題にしないので、反響を取るために周辺の物件よりもかなり安い家賃設定をしたり、駅まで随分と近くしたり、部屋が家賃の割にかなり広かったりというありもしない物件を作り上げます。
そして、実際に問い合わせてみると、「まだありますのでご来店してください。」といい、喜んで店に行ってみると「今決まっちゃいました。」などと平気で言います。

特に東京の業者は酷かった。


不動産業界は悪質な業者が多い?
東京は業者が多いので取り締まりが厳しくなっても、まだまだ悪質な業者は多いみたいです。
私も大学時代に賃貸物件をメインに扱っている不動産会社で働かせてもらった経験がありますが、周りを見てもおとり広告だらけでした。
賃貸では、実際に案内中に別のお客さんからの申し込みがあることは少なくないので、本当にあったのかおとり広告なのかの判断が難しいです。
さすがに売買ではほとんど聞きませんが、賃貸ではまだあるみたいなので、胡散臭いと感じたときは他の不動産に行くといったことも必要です。
悪質な業者の中には決めないとキレだすような営業もいるという話を聞いたことがあります。

中にはお金を返さない業者も
賃貸では、物件の申込みをする際に申込金がかかることがあります。
申し込みの際に申込金と称してお金を受け取り、お客さんが申し込みを解除してもお金を返還しないという業者もいます。
ちなみに申込金は、契約のときに支払うものなのですが、申し込みの段階ではせいぜい意思表示を示す程度のものでしかありません。
契約時に支払う手付金とは全く異なります。というより、賃貸で手付金を支払うというのは一般的ではありません。それに手付金は、契約の相手に支払うものなので、原則不動産屋は出てきません。もしも、不動産屋さんに賃貸で手付金を要求されたらあやしいと思った方がいいかもしれません。
申込金は、契約が成立したら仲介手数料に充てられるのが普通なので、人によってはそっちの方がいいと思うお客さんもいます。

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物件資料に告知事項ありって書いてある場合
物件探しをしていると他と比べて安い物件があることがあります。
その物件資料をよく見ると、備考欄に「告知事項あり」と書いてあります。
告知事項とは?何か起きたのか?
「告知事項あり」の意味は、それを知ったら部屋を借りたくないなあと思うような事項があるということです。
一般的には、自殺や他殺が過去に起きた物件を指すことが多く、心理的に嫌がられることから「心理的瑕疵物件」とか「事故物件」ともいいます。
ちなみに瑕疵というのは、キズという意味です。
告知事項は説明義務が法律によって定められている
なぜ、告示事項ありという表示がされているかというと、不動産会社は心理的瑕疵物件について、これから部屋を借りる人に対して契約前に告知することが法律で決められているからです。
もし、法律で告知しないことが決まっていなければ、わざわざ不動産会社が不利になることを告知するわけがありません。
ただでさえ不動産会社と消費者には情報に差があります。
告知義務は、消費者のためにある義務です。
借りる、借りないは別にして消費者が告知事項を知って自分で判断して借りる分には問題ありません。
多くの場合は、告知事項ありと書いてある物件は、周辺よりも安くなっています。
ただ、内装もきれいにリフォームされていれば、意外と気にならないかもしれません。

具体的な告知事項の説明例
どのような場合に「告知事項あり」と不動産屋が書かないといけないのか。
実は、これについては明確な基準がなく、消費者がそれを知っていたら借りないことについて告知しなければならないとされているだけです。
消費者が告知事項について知ってるか否かによって、消費者の目的が達成できるかどうかがポイントみたいです。
自然死は
自然死については、告知する必要はないとされています。
自然死についてまで告知義務有にしてしまうと、多くの物件は高齢者お断りになってしまい、高齢者が部屋を借りることができなくなります。
なので、告知義務有となるのは、自殺とか他殺に限っているようです。
どれだけの期間、告知義務があるのか
では、何年も前の事件についても告知しなければいけないのでしょうか。
これについても、法律上の明確な決まりがないため、過去の裁判例を参考にするしかありません。
過去の裁判例でも実は事件ごとに判断が分かれていて、明確な決まりはありません。
有名な殺人事件で20年前の事件について告知義務がありとされたことがありますが、これは売買の場合です。
売買の場合は、資産価値にも影響することがあるので、20年経っても告知義務ありと判断したのかもしれませんね。
期間についても借り手がそれを知っていたら、借りなかったかどうかがポイントとなるようです。
ある弁護士の先生は、2年間が一つの目安といっています。
駅から徒歩10分と書いてあるけど本当に歩ける?
不動産会社からもらった物件資料では10分と書いてあったのに、実際に歩いてみたらとてもじゃないが10分ではたどり着かなかった、なんてことはありませんか?
実はこの徒歩〇分という表示については、不動産表示の規則によって決まっています。
徒歩1分というのは、80メートルで関することに決まっています。
そして、坂も平坦も関係なく徒歩1分=80メートルという決まりです。
なので、不動産の販売図面では、駅から自宅まで平坦で坂が一切ない物件も、駅から自宅まで延々と坂が続く物件も、駅から徒歩10分という表示になります。
物件から駅まで実際に歩いてみることが大事
特に横浜や横須賀は、関東でも坂が多くて有名なエリアです。
販売図面の徒歩〇分という表示は、老若男女問わず80メートルです。
販売図面で判断するのではなく、実際に駅から歩いてみることが大切です。
ちなみに、徒歩1分が80mとなったのは、行政庁の女性が実際に歩いてみたら80mで1分かかったことから決まったそうです。

まとめ
・不動産屋の広告にも法律のルールがある
・おとり広告とは、存在しない物件でお客さんに問い合わせをさせる広告である
・おとり広告は処罰の対象となる
・告知事項ありの物件は安いことがある
・告知事項とは、一般的にお客さんが嫌がる事項で、「心理的瑕疵物件」や「事故物件」と呼ばれることもある
・自殺や他殺といった事件が起きた物件では、事件があったことを知らされる
・告知義務の期間について明確な決まりはないが、2年程度が目安とされている
・不動産の表示は、規則で80メートルが徒歩1分と決まっている
・物件から駅まで実際に歩いて初めて分かることがある