賃貸の初期費用はいくら?敷金・礼金・保証料まで一人暮らし・ファミリー別に宅建士が解説

投資 不動産

年が明けると不動産会社では本格的な繁忙期になります。1月から3月になると入学や入社に合わせて部屋を探す人が増えるからです。ちなみに賃貸だけでなく売買も1月から3月は繁忙期になります。

 

賃貸物件を契約する際には、家賃だけでなくさまざまな初期費用がかかります。

総額は物件によって異なりますが、一般的に家賃の4〜6か月分が目安です。

家賃8万円の物件であれば、初期費用は32〜48万円になる計算です。

引越し費用や家具・家電の購入費用は含まれていないため、新生活の準備には想定以上の資金が必要になることも少なくありません。

 

この記事では、賃貸契約時にかかる費用の種類と仕組み、一人暮らし・ファミリーでの違い、そして知らないと損する注意点を宅建士の立場から解説します。

 

この記事で分かること

  • 賃貸の初期費用の相場(一人暮らし・ファミリー別)
  • 敷金・礼金の仕組みと最新動向
  • 敷金ゼロ物件の注意点
  • 共益費・管理費の見方(家賃に含まれているケースの落とし穴)
  • 申込金と手付金の違い
  • 保証会社・火災保険などその他の費用

 

賃貸の初期費用一覧

賃貸契約時にかかる主な費用

費用項目 目安 返金
敷金 0〜2か月分 あり(修繕・損害分を除く)
礼金 0〜2か月分 なし
前家賃 1か月分 なし
仲介手数料 0.5〜1か月分 なし
保証会社利用料 0.5〜1か月分 なし
火災保険料 1.5〜2万円(2年分) なし
鍵交換費用 1〜3万円 なし

敷金・礼金のある物件では合計が家賃の5〜6か月分、敷金・礼金ゼロの物件でも3〜4か月分程度かかります。

 

敷金とは?

敷金は、部屋を借りた人(賃借人)が家賃の滞納や契約違反による損害に備えて、部屋を貸す人(賃貸人、大家)が借主から預かっておくお金のことをいいます。

敷金は契約期間の間、賃貸人に預けておきますが、預けたお金に利息は付きません。

また、敷金は契約違反等による損害に備えて賃貸人が預かるものなので、通常は契約が終了して物件の明け渡しが終われば、修繕や損害分を控除した金額が賃借人に返金されます。

 

昔と今

単身者向けの賃貸物件でも、20年ほど前は敷金2か月が当たり前でした。

保証会社の普及や礼金ゼロ物件が出てきたことで、敷金も1か月の物件が増え、今では敷金を2か月取るような単身者向けの物件はほとんど見なくなりました。

中には最初に掃除費用、鍵交換費用がかかるだけで、敷金がゼロという物件も出てきました。

 

一人暮らし・ファミリーで異なる敷金の相場

横浜・湘南エリアについて調べてみたところ、単身者向けの賃貸物件では、敷金ゼロの物件が半数以上ありました。

ただし、ファミリー向けの賃貸物件は相変わらず敷金2か月の物件が多いです。

  • 一人暮らし向け(ワンルーム・1K・1DK) → 横浜・湘南エリアでも半数以上が敷金ゼロ
  • ファミリー向け(2LDK以上) → 敷金2か月の物件もある

 

大家さんが変わった場合の敷金

賃貸借契約期間中に、売却や競売によって大家さんが変わることがあります。

この場合でも、前の大家さんに預けた敷金は新しい大家さんに引き継がれます。

大家さんが変わったからといって、敷金を新たに支払う必要はありません。

退去時には、新しい大家さんから敷金が返還されます。

 

礼金とは?

礼金は、敷金と違って契約が終了しても返ってきません。

 

礼金の始まりは、戦後の住居不足の際に賃借人から賃貸人に礼として金銭を支払ったことから始まったといわれています。

今のように十分に住居がある場合には馴染まない気もしますが、今でも慣習として続いています。

といっても現在は礼金ゼロの物件が多いです。特にその傾向は単身者向けの賃貸物件で顕著で、少なくとも横浜・湘南エリアでは単身者向けの賃貸物件が主流です。

一方、ファミリー向けの賃貸物件では礼金を1か月以上とるものもあります。

 

礼金ゼロでも別名目で費用が発生するケースがある

礼金ゼロを謳っていても、「契約事務手数料」「室内消臭施工費」などの別名目で同程度の費用を請求されるケースがあります。

昔と違って礼金で儲けることができなくなったので、過大な清掃代や会員費といった別の名目で金銭を取る会社もあります。

初期費用の内訳を確認し、不明な費用は聞いてみることも必要です。

 

共益費と管理費

共益費と管理費は、同じような意味合いで使われています。

共益費と管理費は、アパートやマンションの共同使用する設備の維持のために使われる費用です。

具体的には建物の電灯や清掃の人件費、共同の水道費用、町内会費(本当は強制できない)などに使われます。つまり、みんなで利用する部分の維持費のことをいいます。

 

家賃と管理費の見せ方

賃貸の管理費は、物件によってゼロだったり、高めに設定されていたりと、いまいち分かりにくいと感じる人も多いようです。

分かりやすくするために最初から家賃に含めているケースもあります。

広告だと家賃ばかりに目がいきがちなので、家賃を減らしてそのまま共益費を上げるなんてケースもあります。

先月まで家賃10万円だった物件が、今月は家賃8万円になっているのを発見し、驚いてよく見たら管理費が2万円増えただけという例もありました。

 

分譲マンションであれば、法律でエレベーターの維持費や清掃、毎月の費用に使用することが決められています(管理費と修繕積立金はちゃんと区別される)。

分譲マンションは設備が充実しているので管理費が割高ですが、賃貸人が負担している管理費と貸し出す場合の管理費・共益費が一致するとは限りません。

  • 分譲マンションの管理費15,000円→賃貸人として貸し出す場合の管理費→家賃に含む・一致しないことも多い

 

ちなみに共益費がゼロだったとしても、賃貸人には修繕義務があるので電灯がつかない場合は、催促すれば直してくれます。

ちなみに部屋の電球とか電池は特約で賃借人の負担とすることが普通です。

 

申込金と手付金

不動産会社に支払うお金には、申込金と手付金といったものがあります。

この2つは似ているので混同して使っている人がいますが、この2つは意味が全く違います。

 

申込金とは

申込金というのは、申込の時に預ける金銭です。

申込金の目的は、申し込みの意思表示のためです。

売買だと新築マンションの申込の際に、賃貸だと部屋を見つけて申込んだ際に必要になることが多いようです。

 

申し込みの際の意思表示に必要となるだけなので、契約が成立しなければ返金されます。

悪質な業者の中には返金しないのもいるようです。

 

手付金とは

手付金は、契約が成立した際に支払うお金です。

売買では契約を解約する時のために必要ですが、賃貸で手付金を必要とすることは普通はないです。

売買の契約をしても手付金を放棄することで契約を解除できます。手付金は後に代金の一部に充当されることが多いです。

 

このように似たように使われる申込金と手付金ですが、その性質は全く違います。

自分が支払うものが何なのかを理解していおくことは重要なので、不明だったら納得するまで質問した方がいいです。

 

保証会社の利用料

最近では、保証会社への加入を必須としている管理会社が多くなっています。

保証会社は、借主が家賃を滞納した場合に代わりに立替払いをする会社です。

利用料の目安は初回が家賃の0.5〜1か月分だったり、年間更新料がかかるケースもあります。

 

昔は、トラブルに備えて契約時に連帯保証人を求められるのが一般的でしたが、最近は敷金がゼロの物件の普及と連帯保証人とのやり取りの煩雑さから、連帯保証人を取らずに保証会社を利用するケースが多くなっています。

その後、個人根保証契約について法律の改正があったので、保証会社が当たり前になりつつあります。そのうえで連帯保証人が求められることもあります。

 

火災保険料・鍵交換費用

火災保険料

賃貸借契約では、ほぼすべての物件で火災保険への加入が求められます。

費用の目安は2年で1.5〜2万円程度です。

不動産会社が指定する保険に加入するよう求められることが多いですが、条件を満たす保険であれば自分で選んだ保険に加入できる場合もあります。法人の事務所向けには割安な保険商品もあります。

 

鍵交換費用

前の入居者が合鍵を持っているリスクを防ぐため、入居前に鍵を交換するのが一般的です。

費用の目安は1〜3万円程度で、ディンプルキーや複数ロックの場合は高めになります。

 

敷金ゼロ物件の注意点

敷金ゼロ物件は初期費用を抑えられる反面、いくつかの注意点があります。

 

退去時の費用請求に注意

敷金がない分、退去時に原状回復費用(クリーニング・修繕費)を別途請求されるケースがあります。入居時に「退去時費用の目安」を確認し、契約書の特約をよく読んでおくことが重要です。

 

物件の質に注意

敷金礼金ゼロ物件は不人気の部屋が対象となっている可能性が高く、日当たりの悪さや設備の劣化などが目立つ物件も多いことがあります。初期費用の安さだけで判断せず、内見で物件の状態をしっかり確認することが大切です。

 

まとめ

賃貸の初期費用のポイントまとめ

  • 初期費用の総額は家賃の4〜6か月分が目安
  • 一人暮らし向けは敷金ゼロが増加。ファミリー向けは敷金2か月の物件がまだ多い
  • 礼金ゼロでも別名目で費用が発生するケースがある
  • 物件比較は家賃+管理費の合計額で行う
  • 賃貸で求められるのは申込金(契約不成立なら返金)。手付金は通常不要
  • 保証会社への加入は必須が多い
  • 敷金ゼロ物件は退去時費用と物件の質に注意

 

初期費用の内訳は物件によって異なります。見積書を受け取ったら確認し、不明な費用は質問しましょう。

 

本記事は宅地建物取引士・1級ファイナンシャル・プランニング技能士・マンション管理士が監修しています。 詳細は各不動産会社または専門家にご確認ください。

 

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