コラム

どこまでが不動産なのか、土地と建物は分けて考える

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いくら便利になっても人間には住む場所が必要なので、不動産が不要になることはないでしょう。

寝る場所も、仕事をする場所も、図書館にも、買い物をする場所にも土地と建物があるように、生きていくためには思っている以上に不動産と関りをもちます。

 

しかし、不動産はどこまでなのか、どういったものが不動産なのかと問われると、答えるのは難しいのではないでしょうか。

我々が生活していくうえでは、ものごとに定義が必要ですが、不動産も法律で定義が決められています。

法律上の不動産の定義

民法での不動産の定義は、86条で「土地とその定着物」とされています。

また、民法87条には、1項で「その物の常用に供するため、自己の所有に属する他の物をこれに附属させたときは、その附属させた物を従物とする。」とあり、2項で「従物は主物に従う」とあります。

 

定着物とは、移動が出来ないものをいうので、土地の売買取引では定着物も含めて所有権が移転します。

 

自動車やテレビといった物は、持ち運びができるので、定着物にはならず、普通は動産として扱われます。

庭に置いてある灯ろうや銅像は持ち運びが簡単にはできませんが、定着物ではありません。

定着物に当たるのは、建物と樹木、塀などです。

 

ただし、建物は土地から独立した扱いのため、別々の不動産として扱われます。

不動産の登記でも、建物と土地が別々の所有権になっていることがあります。

建物は所有しているけど、土地は地上権、賃借権、使用借権といった場合です。

 

ちなみに欧米には建物は土地の従物として一緒に取引されるのが一般的なので、海外で不動産投資をする場合や、外国人と不動産取引をする場合は、このことを知らないとトラブルになる可能性があります。

 

建物を購入しても土地が別の人の場合は、多くは借地権として土地の所有者に地代を支払います。

日本では賃借人が保護されるので、土地の所有権があっても、建物が別の人の物なら土地を自由には使えません(借主保護)。こういったケースは底地といわれ、不動産の評価もあまり良くないことが多いです。

 

土地を借りて建物を建てるケースは、土地と建物のどちらも所有権と比べると、借り入れが難しいといった問題があります。

 

土地の範囲

不動産で多いトラブルの一つが土地に関するものです。

土地は、目に見えず、高価なため少しの土地をめぐってトラブルに発展することが多いです。

 

土地の範囲は、境界によって決まっています。

この境界がもとでトラブルになることもあります。

不動産登記する際に測量した境界は筆界といわれ、所有者が主張するのが所有権界といわれます。

筆界と所有権界の二つに食い違いが生じるとトラブルになりやすいです。

 

境界は目に見えますが、本当の境界の場所が実は違っていたということもあります。

所有者が勝手に境界の位置を変える可能性もありますし、境界標がある場所が必ずしも正しいとは限りません。

 

民法では、土地の所有権は、法令の制限内において、その土地の上下に及ぶとあります。

空中や地中でも所有権が及ぶことになります。

 

区分所有での分離処分の禁止

上記で書いたように、日本では建物と土地は別々の不動産として扱われるため、土地と土地の上の建物とで所有者が異なることがあります。

 

土地が別の人の所有であっても、地上権や賃借権、使用借権があれば、その土地を使用する権利があります。

 

建物の一室を所有するマンションでは、建物の敷地を利用する権利は敷地利用権といわれています。

敷地利用権のうち、所有権や地上権、賃借権は登記ができます。

また、登記をした敷地利用権は敷地権といわれています。使用借権は、登記ができないので敷地権にはなりません。

 

そして、敷地利用権が数人で保有する権利のときは、原則として専有部分と敷地利用権とを分離して処分できません(規約で定めれば可能)。

分離処分の禁止に反して処分した場合は、その処分は無効とされます。

つまり、専有部分か敷地利用権のどちらかだけを売却することは出来なくなり、専有部分と敷地利用権は一緒に処分することになります。

 

また、民法では、共有物を所有者の一人が放棄したり、死亡したときは、その持分は他の共有者に帰属するとあります(255条)。

すると、単独で所有していた専有部分は国へ、敷地利用権は共有なので他の区分所有者に帰属することになります。

つまり、専有部分と敷地利用権が分離することになるので、敷地利用権が区分所有者全員の共有であるときは、民法の255条の規定を適用しないことになっています。

これにより、どちらも国に帰属することになり、分離を回避できることになります。

 

建物の範囲

建築基準法の建物は、「土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱もしくは壁を有するもの、これに付属する門若しくは塀、観覧のための工作物又は地下もしくは高架の工作物内に設ける事務所、店舗、興行場、その他これらに類する施設(鉄道及び軌道の路線敷地内の運転保安に関する施設並びにこ線橋、プラットホームの上家、貯蔵槽その他これらに類する施設を除く)をいい、建築設備を含むものとする。」とされます。

つまり、土地に定着していて、屋根があり、柱か壁が有るものが建物になります。そして、これに付属する門や塀などを含み、建築設備も含みます。

 

建物の売買では、エアコン・ガス湯沸かし器は取引の対象に含まれるのかといった質問をよく受けます。

民法第87条では、主物に付属する物を従物と呼ぶことが規定されています。

不動産取引では、建物が主物になり、エアコンやガス湯沸し器といった設備は従物になります。

また、畳、建具も建物の従物になります。

そして、主物の権利が移転した場合は、従物もこれに従って移転するとされます。

 

付帯設備表と物件状況等報告書

建物の取引では、物件と一緒に取引されるものは何か、取引される物件の状況はどうなっているかを、売主から買主に報告してもらうといったことが行われています。

不動産業者は、この時に使う文書をそれぞれ「付帯設備表」「物件状況等報告書」と呼んでいます。

 

付帯設備表を記入してもらえば、どこまでが取引対象かが明らかになりますし、利用可能かどうかも分かります。

ただし、故障がないとしたものが故障で利用できない場合は修理しなければならなくなります。

物件状況等報告書を記入してもらえば、売主が知っている建物の状況について、記入時点でどこに故障や不具合があるか分かります。

 

以前の民法では、買主が売主の責任を追及するには隠れた瑕疵(売主が知らないこと)が必要とされていたので、物件状況等報告書がとても大事でした。

民法改正によって担保責任を追及するのに瑕疵(欠陥)は隠れたものでなくてもよくなりました。

 

おわりに

不動産の契約では、物権とか登記とか債権、債務といった難しい言葉が出てきてよく分かりませんよね。

当社では、口頭では難しい専門用語を出来るだけ使わないようにし、分かりやすくお客様をサポートするように心掛けています。

分からない点があれば、お気軽に質問してください。

 

一戸建てとマンションとでは、それぞれにメリットとデメリットがあります。購入する前に、それぞれのメリット・デメリットを知っておくことは大事です。

 




  • この記事を書いた人

たくあん(ネトゲ)

横浜で不動産仲介業ファイナンシャルプランナーをしています。

 

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不動産だけでなく、ライフプランの相談にも寄り添った対応をしていきます。

ジャンル:雑記、ライフスタイル

宅建士、管業、簿記1級、1級FP、社労士、ローンアドバイザー

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