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不動産会社は「同和地区」の質問に答えらません

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私たち不動産業者は、「同和地区」の所在に関する質問についてお答えできないようになっています。

いわゆる同和問題は、不動産売買の現場でたびたび問題となっています。

 

過去には、マンション建設業者から調査の依頼を受けた調査会社が、マンション建設予定地の被差別部落について調べて報告をするという事件がありました。

この事件は、国会でも取り上げられ、大阪では条例で土地差別調査や報告行為が規制の対象となりました。

 

同和問題は、無知からくるものが多く、放っておくだけではなかなか解決しないようです。

同和問題に対して法律で規制するのもいいですが、上から押さえつけるより、歴史的背景や正しい知識を学んで一人一人が自分で考えた方が差別意識は解消するように思います。

同和問題とは

同和問題とは、日本の歴史形成の過程において生まれた身分階級によって、一部の人々が著しく低い地位におかれました。

この低い地位におかれた人々というのが、「エタ・非人」と呼ばれた集団です。

このエタ・非人と呼ばれた人々が住んでいた地域を「被差別部落」や単に「部落」などと言ったりします。

「同和地区」というのは、被差別部落などの行政上の呼び方で、意味は同じです。

被差別部落出身者に対する問題を同和問題と呼んでいます。

 

エタ・非人は、1871年の「解放令」によって、身分も職業も平民と同様になったのですが、150年経った今も差別はあるようです。

東京よりも、被差別部落の多い関西や九州で差別が多い傾向にあります。

東京の学校では、同和問題について授業で行わないこともありますが、同和地区の多い大阪では授業で取り上げることが多いそうです。

 

不動産業者を対象にした「同和地区の所在について問い合わせを受けたことがあるか」というアンケートでは、東京の業者が3割なのに比べて大阪や京都の業者は44%と多く質問を受けています。

 

なぜエタ・非人が生まれたか

エタ・非人がどうして生まれたかについては、学者の間でも意見が分かれているようです。

 

エタは、漢字で書くと穢多となります。

 

日本で肉食が盛んになったのは明治以降と言われますが、大化の改新以前、大昔の日本では肉食の習慣があったとされています。

肉食文化があったことから、獣を屠殺する専門家が誕生するのですが、その専門家がエタ・非人の祖先になります。

 

しかし、天武天皇(675年)が牛馬犬猿鶏の肉を食べることを禁止します。

牛は農業の役に立ち、馬は人を乗せて遠くまで行くことができ、犬は番犬になるといった理由からです。

 

やがて平安時代になると仏教の「殺生禁断」の教えが広まり、死に携わることは「死穢(しえ)」によって地獄に落ちるとされるようになります。

「穢れ(ケガレ)」意識が広まっていく中、ケガレを受け入れさせられたのがエタ・非人でした。

自然死した動物の皮を剥ぐ職業は、やがて賤民扱いされるようになり、死んだ動物の解体以外にも、汚物の片づけや、処刑の手伝い、皮革生産といったことを行うようになります。

 

エタは、河原者、長吏、かわた(皮田、革田、皮多)とも呼ばれ、組織的な団体に組み込まれるようになります。

ちなみに家康の出自も賤民と言われています。

 

有名な「浅草弾左衛門」は、江戸幕府のもとで関東八州のエタ頭を務めた人物です。

浅草弾左衛門は、大きな屋敷を構え、身分はエタなれど、大名にも匹敵するほどの財力があったようです。

 

差別戒名

解放令でエタ・非人という言葉は使われなくなりましたが、解放令後も「新平民」と呼ばれるなど、被差別部落出身者は差別に苦しめられたようです。

 

宗教でも、被差別部落出身者に対して差別が行われていました。

一般的には「差別戒名」といわれる被差別部落出身者に対する差別問題です。

 

差別戒名とは、被差別部落の人に対して、畜(ちくしょう)、賤(いやしい)、革(かわた)、卜(げぼく)、旃陀羅(インドの被差別民)といった普通には戒名に用いない文字が使われていたというものです。

また、「玄田牛一(縦から読むと畜生に見える)」というものも有名な差別戒名です。

現在は、宗教団体も反省して差別戒名解消に向けて戒名を付け直しているようです。

 

江戸時代は、公家・武士以外は苗字を名乗ることが許されていませんでしたが、実際には先祖代々の苗字はあったとされており、明治になって苗字を名乗ることが許された際は先祖から伝わる苗字を名乗った人もいたそうです。

しかし、被差別部落出身者は、先祖代々の名前がありませんから、村の僧侶に名前を付けてもらったりしたそうです。

この際、ひどいケースでは、被差別部落出身者と分かるような苗字をつけられるといったこともありました。

 

被差別部落に対する土地差別

被差別部落と呼ばれる土地は、不動産の取引で差別を受けています。

不動産の取引では、物件の調査が行われますが、その際に対象物件が被差別部落にあるのかの問い合わせる業者もいます。

2007年に起きた「土地調査差別事件」は、国会でも取り上げられる事態となり、土地差別調査が規制の対象となりました。

 

被差別部落かどうかは、土地価格にも影響を与え、融資などでもマイナス要素となっている可能性があります。

 

不動産の取引前には、重要な事柄に対して重要事項説明が行われます。

重要事項説明の目的は、購入意思に影響する情報を与えることによってトラブルを排除することです。

たとえ被差別部落であることが購入の意思に影響するものであっても、同和問題は法の下の平等と関りがあるため、むしろ不動産業者は説明することができないのです。

 

まとめ

・かつてエタ・非人と呼ばれた人々やその地域についての問題を同和問題と言います。

・エタ・非人と呼ばれたのは、たまたま動物の死に関する職業に携わっていただけという理由です。

・今も同和地域に対する土地差別意識があります。

・同和地区について調べると人権侵害にあたることがあります。

・不動産会社は、事前に物件調査を行いますが、同和地区については教えることが禁止されています。

 

被差別部落の所在がどこなのかを不動産業者に質問しても、法律を遵守する会社は答えてはくれません。

 

 

参考文献

「被差別部落一千年史」高橋貞樹著

「社会外の社会 えた非人」柳瀬勁介著・塩見鮮一郎訳

「浅草弾左衛門とその時代」塩見鮮一郎著

「最後の弾左衛門」塩見鮮一郎著

「弾左衛門の謎」塩見鮮一郎著




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