住宅ローン利用者を相手にしたアンケートでは、住宅ローン利用者の過半数が「不動産会社、住宅会社」の社員の意見を住宅ローンの決め手としたと回答しています。
不動産の購入に付随する業務では、不動産会社や住宅会社が住宅ローンの窓口となるので、この結果は当然だと思います。
しかし、不動産会社や住宅会社の営業マンが住宅ローンに精通しているとは限りません。
不動産会社の営業マンの仕事は、不動産取引を仲介したり、取引を円滑に進めることなので、住宅ローンの知識までは求められてないからです。

不動産会社の営業マンにしてみれば、住宅ローンは審査に通るかどうかが問題なので、お客さんが借りる住宅ローンの金額が妥当かどうかまで教えてはくれません。
例え不動産会社の営業マンが住宅ローンに精通していたとしても、営業マンから提示される住宅ローンがお客さんにとって妥当な金額とは限りません。
不動産会社で一般的に行われている住宅ローンの資金計画といえば、金利と借入金額を金融電卓に入力すれば出てくる住宅ローンの返済額の計算です。
このような資金計画では、当面の住宅ローンの返済額しか分からないので将来のリスクを知るには無理があります。
もしも、このような資金計画をもとにこれから住宅を購入しようと思っているのであれば、もう一度見直した方がいいかもしれません。
目次
こんな人は要注意かも
住宅ローンを考えている人で以下の項目に当てはまる人はいませんか?
以下の項目はそれ自体がリスクになりえます。
□ 借り入れ限度額で資金計画を立てている
□ 変動金利が変わらないことを前提に資金計画を立てていないか
□ 金利が変動した場合の住宅ローンの返済額の仕組みを理解しているか
□ 子供がこれから進学する予定だ
□ 定年退職後も住宅ローンを支払うか
□ 定年後の住宅ローンはいくら残るか
□ 年金の仕組みが分からない
□ ライフプランを立てていない
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リスクは住宅ローンだけではない
皆さんもご存知の通り不動産の購入は人生で一番高い買い物です。
そのため、住宅ローンが生活に与える影響は大きく、資金計画を失敗すると取り返すのに時間がかかります。
金利や毎月の住宅ローン返済額といった住宅ローンの一面だけを見ただけでは将来のリスクを把握するのは無理があります。
例えば、現在、40歳の人が住宅ローンを返済期間35年で借りるとすれば、何もしなければ返済し終わったときは75歳になっています。
75歳といえば、今なら定年退職して年金生活をしている年齢です。
中には退職金で住宅ローンを返済するという人もいますが、そうすると老後生活の資金が不足する可能性が高いです。
また、返済までの75歳までの10年間を働き続けても現役時代のような収入は一般的には期待できません。
以上のようなことにならないためにも、年金、老後生活を踏まえた資金計画が重要になってきます。
総務省が発表しているデータによると、高齢者世帯(年金世帯)では平均して毎月5万~6万円が不足しているようです。
賃貸であればもう少し不足金額は多くなるでしょう。
当社にもこういった相談が多いので一つ言わせていただくと、
これから住宅ローンを利用しようと思うのであれば、少なくても年金と老後時点での住宅ローンの残債について知っておくことです。
「住宅ローンの残債」というのは、住宅ローンがいくら残っているかという意味です。
自宅を売却するときも残債がカギとなることがあります。
住宅ローンの残りが2,000万円ある人が自宅を1,500万円では売らないでしょう。たとえ1,500万円が相場であってもほとんどの人は売却を躊躇するのではないでしょうか。
当社では、将来の住宅ローンを踏まえたプランニング相談に対応しておりますが、日本ではまだまだこういった提案は少ないようです。
不動産会社や建築会社との付き合いは借りるまでですが、住宅ローンとの付き合いは35年です。
リスクを取るのは不動産会社でも銀行でもなく、お客様自身です。
リスクには事前に把握できるものと出来ないものがある
金融や投資では、不確実なものをリスクといい、リスクはかならずしもマイナス要素とは限りません。
しかし、事前にわかるリスクは把握しておくことです。
リスク自体をコントロールすることは無理でも、何かあった場合に備えることは可能です。
急なリフォームもリスクといえますが、建物は劣化していくのが明らかなので把握できるリスクです。
普段からリフォーム費用を積み立てておけば、「直す費用がない」といったことを回避できます。
ライフプランの主役はお客さん自身
リスクというと保険を思い出す人が多いのですが、リスクに備えることができるのは保険だけとは限りません。
例えば、病気のリスクに備える場合の代表的なものには保険がありますが、別に保険に入らない代わりに貯金をして病気に備えるといった方法もあります。確かに保険の方が早くから保障を得られますが、保険料がかかります。貯金は最初は十分な保障を確保できませんが、何もなければお金が増えていきます。
リスクに備える方法には、リスクを移転するもの、リスクを低減させるもの、リスクを保有するもの、リスクがあるものを避けるもの等があります
リスクに対してどういった対応を取るかは、ライフプランの主役であるお客さん自身が決めることです。
当社では対応方法まで含めてサポートできます。
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住宅ローンのリスクは事前に把握できる
住宅ローンには大きなたくさんのリスクがあります。
住宅ローンを借りる人の将来の健康、子供の教育資金は準備できるの、年金だけで老後生活は大丈夫か、老後も住宅ローンを支払っていくのか、といったリスクが住宅ローンのリスクとして挙げられることがあります。
これらのリスクのうち、健康のリスクだけは事前に把握できませんが、子供の教育資金や老後生活、老後の住宅ローンといったリスクについては顕在化させることが可能です。
また、これらのリスクは賃貸生活でも同様です。
健康リスクは賃貸であってもありますし、賃貸だと持家よりも多くの保障が必要なので、もっと多くの保険が必要になります。
住宅ローンがあると子供の進学に影響を受けることがありますが、教育資金の準備が成り立つような住宅ローン借り入れ額にすれば両立は可能です。
老後生活については、一般的な老後世帯では年金だけでは生活費が不足することを明らかにします。
また、老後の住宅ローンについては、最初に実行可能な資金計画を提案し、住宅ローンの見直しと並行して考えていきます。
よくある「持家か賃貸か」については、個人の価値観やライフスタイルによって差があるので何とも言えませんが、賃貸だと老後に必要な資金が多くなるので、より多くの老後資金を準備しておくのがいいでしょう。、
購入する家が将来売れるかということも大事
不動産は、持っていれば値上がりするというものではありません。
首都圏では、不動産格差が出ており、大きく値下がりするエリアと古くなっても値下がりしにくいエリアとがあります。
今後、不動産を購入する際に重要になるのが将来の不動産がいくらになるのかといった観点です。
不動産の価値の目安となるのが「いくらで貸せるか」と「いくらで売れるか」です。
不動産が資産である以上、将来、賃貸として他人に貸すことや、売却して換金することも想定しておくことは必要です。
少なくても駅からバス便の新築マンションを35年ローンで購入するのは私ならしません。
オーバーローンの可能性は高いことと、バス便だとマンションのメリットが半減します。
ライフプランを立てておくことで安心して楽しい住宅探しができる
よく雑誌やネットで専門家が「住宅ローンは年収の25%まで」とか「年収の5倍まで」と言っていますが、実はあまりあてになりません。
年収は一人一人違いますし、それこそ住宅に対する価値観も違います。
何に優先してお金を使うかや、今後のライフスタイルによっても、住宅ローンの適正な価格は異なります。
ただ、一つだけ言えるのはライフプランを立て、キャッシュフロー表を作成して事前にリスクを顕在化しておけば、不安を抱えて住宅探しをするよりも楽しい住宅探しができるはずです。
キャッシュフロー表を作成して今後の収支を把握します。
キャッシュフロー表を作ったからといってその通りになるわけではありませんが、今後のリスクについて対策を立てられます。
問題があれば老後を待たずに生活は苦しくなります。
ライフプランを立ててキャッシュフロー表で数値化すれば、無理のない住宅ローンの借り入れ額を知ることができます。
改善前は、定年を待たずに資産がマイナスになると予想されましたが、様々な見直しをした結果、80歳を超えても資産がマイナスにはならないという結果になりました。
※注意 ライフプランは作成時の時点の税法・社会保障制度を前提にしています。今後、法改正があれば当然前提条件が崩れます。また、ライフプランは経済環境が変われば変化するものなので、結果を保証したものではありません。あくまでも目安として見ておくのがいいと思います。
まとめ
・住宅ローンを利用する際は、将来のリスクを考えておく
・住宅ローンのリスクは事前に把握できる
・不動産の購入では将来売れるかどうかという発想も必要
・ライフプランを立てておくことで楽しい住宅探しができる