住宅ローンの金利は、月々の返済額・総返済額に大きな影響を与えます。
同じ借入額でも、金利が0.1%違うだけで、35年間の総返済額に数十万円の差が出るのは普通です。
ただし、住宅ローン金利には「店頭金利」と「実質金利(適用金利)」という2つの金利があり、混同されやすいテーマです。
金融機関のポスターに掲載されている金利が、必ずしも実際に適用される金利とは限りません。
この記事では、横浜で1級FP×宅建士の立場から、店頭金利と実質金利の違い・優遇幅の仕組み・適用される金利のタイミングまで解説します。
この記事で分かること
- 店頭金利(基準金利)とは何か
- 実質金利(適用金利)との違い
- 「優遇幅」の仕組み
- 金利が適用されるタイミング(契約時 vs 融資実行時)
- フラット35の融資率と金利の関係
店頭金利とは何か

店頭金利(基準金利)は、金融機関が公表する基準となる金利です。
銀行のポスターやウェブサイトの金利一覧に掲載されているのが、この店頭金利です。
店頭金利は、金利のタイプによって異なります。
- 変動金利型:最も低い水準
- 固定期間選択型:中程度
- 固定金利型:最も高い水準
2026年4月時点では、主要な金融機関の変動金利型の店頭金利は2.6〜2.875%程度となっています。
長期固定型(フラット35含む)はさらに高い水準になります。
ただし、住宅ローンを実際に利用する方の多くは、店頭金利そのままで借りているわけではありません。詳しくは次の章で説明します。
実質金利とは何か|優遇幅の仕組み

金融機関は、借入者ごとに「優遇幅」という形で店頭金利から一定の金利を差し引いて貸し出しています。
優遇幅を差し引いた残りが、実際に適用される金利、つまり実質金利(適用金利)です。
計算式
店頭金利 − 優遇幅 = 実質金利
例
分かりやすく例を挙げて説明します。
- 店頭金利:2.875%
- 優遇幅:▲2.0%
- 実質金利:0.875%
このように、店頭金利だけを見ても、実際に適用される金利は分かりません。
優遇幅は人によって異なる
優遇幅は、以下のような要素を金融機関が総合的に判断して決定します。
- 年収・勤務先・勤続年数
- 頭金の割合
- 他の借入状況
- 金融機関と既存取引(給与振込・公共料金引落しなど)の有無
そのため、同じ金融機関で同じ時期に借りた場合でも、人によって実質金利が異なることがあります。
優遇幅は近年拡大傾向
金融機関の住宅ローン市場での競争もあり、優遇幅は長期的に拡大傾向にあります。
2026年4月時点では、優遇幅が2%を超える金融機関も珍しくありません。
関連記事
金利が適用されるタイミングに注意

住宅ローンを契約する際、契約日と融資実行日(物件の引き渡し時)は異なるのが一般的です。
新築マンションや注文住宅では、契約から融資実行まで数か月、場合によっては1年以上空くことがあります。
この間に金利水準が変わった場合、どの時点の金利が適用されるかは重要なポイントです。
原則は融資実行時の金利
民間住宅ローンの多くは、融資実行時の金利が適用されます。
例えば、契約時の店頭金利が2.875%だったが、融資実行時には2.700%に下がっていた場合、適用されるのは2.700%です。
逆に、契約時より融資実行時に金利が上がっていれば、上がった金利が適用されます。
フラット35は別の取扱い
フラット35の場合は、申し込み時の金利ではなく、融資実行時(資金実行時)の金利が適用されます。
原則的な考え方は民間ローンと同じです。
金利上昇局面での注意点
2024年3月の日銀によるマイナス金利解除以降、国内金利は緩やかな上昇局面に入っています。
契約から融資実行までの期間が長い場合、その間に金利が上昇する可能性があります。
「契約時の金利で借りられる」と思い込まず、融資実行時に金利が変動する可能性を理解しておくことが大切です。
関連記事:
フラット35は融資率で金利が変わる

フラット35(住宅金融支援機構と民間金融機関が提携する全期間固定金利型住宅ローン)は、民間ローンと異なり、融資率(物件価格に対する借入額の割合)によって適用金利が変わる仕組みです。
買取型(現在の主流)
買取型のフラット35では、融資率9割以下(=頭金1割以上)で金利Aプランが適用され、9割超よりも低い金利が適用されます。
- 融資率9割以下 → 金利Aプラン(低い金利)
- 融資率9割超 → 金利Bプラン(やや高い金利)
両者の金利差は時期により異なりますが、0.1〜0.3%程度の差が一般的です。
35年返済で見ると、総返済額に数十万円〜100万円超の差が出ます。
保証型(取扱い金融機関は限定的)
フラット35には買取型とは別に保証型もあります。
保証型では、融資率8割以下・8割超9割以下・9割超で金利が異なる仕組みになっています。
ただし、保証型を取り扱う金融機関は限定的で、現在の主流は買取型です。
詳細は住宅金融支援機構の公式サイト・各取扱金融機関のサイトでご確認ください。
返済期間による違い
フラット35では、返済期間が20年以内か21年以上かでも適用金利が変わります。
短い返済期間のほうが金利は低い水準となります。
関連記事
まとめ
住宅ローンの金利を理解するうえでの要点を整理しました。
| 用語 | 内容 |
| 店頭金利(基準金利) | 金融機関が公表する基準金利 |
| 優遇幅 | 借入者ごとに店頭金利から差し引かれる金利 |
| 実質金利(適用金利) | 店頭金利-優遇幅=実際に適用される金利 |
| 金利の適用タイミング | 原則、融資実行時の金利が適用される |
| フラット35の融資率 | 9割以下で金利優遇を受けられる |
住宅ローンを比較する際は、店頭金利だけを見ず、自分の条件で適用される実質金利を必ず確認することが大切です。
複数の金融機関の事前審査を受けて、優遇幅・実質金利を比較されることをおすすめします。
また、契約時から融資実行までの期間が長い場合は、その間の金利変動も視野に入れて、固定金利・変動金利の選択をご検討ください。
ご相談のご案内
株式会社ライフプランでは、横浜を拠点に、1級FP・宅建士・マンション管理士の複合的な視点から、住宅ローンに関するご相談を承っています。
- 住宅ローンの金利タイプの選び方
- 複数の金融機関の比較
- フラット35と民間ローンの比較
- ライフプランを踏まえた借入額の判断
免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の金融機関・住宅ローン商品の利用を推奨・勧誘するものではありません。金利・制度は本記事執筆時点(2026年4月)のものです。
最新情報は各金融機関・住宅金融支援機構の公式サイトをご確認ください。住宅ローンには金利上昇等のリスクがあります。当社は投資助言業・代理業の登録を行っておりません。

