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公的年金(国民年金や厚生年金)の基本的な知識

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社会保障

ライフプランを考えるうえで真っ先に知る必要があるのが公的年金についてです。

 

公的年金は、会社を定年退職した後の生活の柱となるので、ライフプランでもリタイアメントプランでも非常に重要な項目です。

にもかかわらず、公的年金は制度が複雑なので多くの人は何となく知ってるだけです。

また、噂が先をいってしまい、公的年金はもらえないものと思い込んで保険料を払わない人もいます。

 

とはいえ、「ねんきんネット」のおかげで、今では自宅にいながら将来の年金について少しは分かるようになりました。

少し前までは、あと数年で年金生活という人からも、「いくらの年金がもらえるの?」とか「年金っていつからもらえるの?」といった質問を受けてました。

多くの高齢者にとって老後の主な収入源が公的年金なのにもかかわらず、制度自体があまり知られてないんですね。

 

年金制度を分かりにくくしている理由は様々あります。たとえば年金は公的年金だけでなく、民間でも年金と呼ばれる商品を扱っています。

実は年金と一口にいっても、国民年金や厚生年金、共済年金といった公的なものから、民間会社が扱う個人年金、また、確定給付企業年金、確定拠出年金といった公的年金に準ずるものまであります。

 

年金を理解するうえで何より重要なのは、日本国民の全てが対象である国民年金を理解し、次に会社員が対象になる厚生年金を知ることです。

公的年金は国民年金と厚生年金の2階建て

公的年金制度の細かい部分は複雑なので、重要なポイントに絞って知ることが大事です。

国民年金と厚生年金といった公的年金は強制加入なので、最初に知っておくべき年金です。それ以外の年金は基本的に任意加入です。

国民年金は全ての国民が対象になりますが、厚生年金は会社員や公務員といった人しか加入できません。といっても転職すれば、国民年金の被保険者から厚生年金の被保険者になったり、反対に厚生年金から国民年金の被保険者になることもあります。

厚生年金は、国民年金に加えて加入するので、国民年金を1階部分、厚生年金を2階部分といったりします。また、確定拠出年金や個人年金を3階部分ということもあります。

・1階部分(国民年金)

・2階部分(厚生年金保険)

・3階部分(確定給付等年金、確定拠出年金、国民年金基金、個人年金)

 

 

国民年金は、すべての国民が対象なので、日本に住む20歳以上60歳未満の人は原則として加入します。

全員が対象ですから、自営業や無職の人は当然のこと、20歳以上の学生も対象になります。

 

厚生年金は、会社員勤めの人が加入する国民年金の上乗せ年金なので、企業勤めをしていない無職の人や学生さん、自営業の人は加入できません。

 

ときどき勘違いされている人がいるのが、厚生年金に入っていると国民年金の対象ではないというものです。

厚生年金の被保険者も国民年金の第2号被保険者として国民年金の被保険者になります。

つまり、会社勤めをしていた経験がある人は、受給資格を満たせば、将来は国民年金と厚生年金を受け取れるということです。

例:22歳から8年会社員、その後自営業、35歳から55歳まで会社員、55歳から再び自営業の人

①国民年金は20歳から60歳までの分が老後に支給

②厚生年金は会社員勤めの期間(22~30歳、35~55歳=合わせて28年分)分が老後に支給される

①+②=年金額

 

また、年金というと老後に受け取るものだけだと思っている人もいますが、公的年金には障害と死亡が原因による年金もあります。

それぞれ障害年金(障害基礎年金・障害厚生年金)と遺族年金(遺族基礎年金・遺族厚生年金)と呼ばれる年金です。

 

小さな子供がいる家庭では、働き手(妻が専業主婦の場合の会社員の夫など)の死亡について大きな保障を必要とします。

公的年金は強制加入なので選択の余地はありませんから、公的年金制度だけでは不足する保障を補う形で民間の生命保険を活用するようにします。

公的年金について知らないと、不必要に高額の死亡保険に加入することにもなり、月々の生命保険料が無駄に高額になってしまいます。

 

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専業主婦も国民年金の被保険者になる

会社員などは、会社を通して厚生年金の被保険者になれますが、自営業や無職の人だと厚生年金の被保険者にはなれません。

 

国民年金には、第1号被保険者から第3号被保険者までありますが、自営業者や無職の人であっても第1号被保険者として国民年金に加入します。

厚生年金の被保険者は、第2号被保険者になります。

そして、第3号被保険者は、第2号被保険者の配偶者である一定の要件を満たす(年収が130万円未満等)人です。

ただし、専業主婦であっても夫が第1号被保険者であれば、妻の方も第1号被保険者(扶養がない)として保険料を納めることになります。

 

ちなみに年金の受給資格を満たすには、国民年金の被保険者期間が10年以上必要です。

国民年金の受給資格を満たせば、厚生年金の被保険者期間が1カ月しかなくても、加入期間相当の厚生年金を受給できます(本来の厚生年金)。

 

老後に受け取れる国民年金の年金額は?

法律上の老齢基礎年金は、780,900円×改定率を基に、保険料納付月の割合で求めます。

780,900円の満額を受け取るには、20歳から60歳までの全期間納付する必要があります。

未納期間がある人は、納付済期間に応じた方式によって減額されます。付済期間でなくても、申請免除の制度による場合には、一定の割合が年金に反映されます。

780,900円×改定率×納付月数(※)/480月

※免除期間がある場合は、それに応じた割合

 

例えば、年金を受給するまでに30年公的年金の保険料を納めた人がいたとします。

この場合の国民年金額は、{78,900円×改定率(0.998)⇒779,300円}×30年×12か月/480月で求めます。

平成30年度は、779,300円×360/480なので、答えは584,475円

 

国民年金を納めると月の年金額が約1626円増えますが、国民年金の保険料は16,900円に改定率をかけたものです。

よく年金は何年で元が取れるかといった話が話題になりますが、今なら11年で元が取れる計算です。

保険料の支払いから受け取りまでにインフレや改正の可能性はありますが、これだけ見るといわれるほど酷い制度ではないのかもしれません。問題は世代間の不公平ですが、これが酷いです。

 

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厚生年金は報酬比例

年金を分かりにくくしている理由の一つが厚生年金の報酬比例だと思われます。

 

報酬比例というのは、報酬額に応じて年金額が変わるというものです。

また、厚生年金の金額は、平均標準報酬月額(または平均標準報酬額)に給付乗率を用いて計算しますが、給付乗率は平成15年3月と4月とを境にして異なります。

 

あまり複雑な計算をすると分かりにくくなってしまうので、ここでは例を用いて簡単な厚生年金の額を算出します。

平成15年4月以降の厚生年金の金額の計算は次のような計算式で求めます。

平均標準報酬額×5.481/1000×被保険者期間の月数=報酬比例の額(一円未満四捨五入)

被保険者期間が30年で平均報酬額が40万円だった人であれば、400,000円×5.481/1000×360月となります。

この人の老齢厚生年金は、789,264円となります。国民年金とあわせても楽な生活はできそうもありません。

 

ちなみに平成15年3月までの給付乗率は、7.125/1000です。この違いは総報酬制か否かです。

例えば、平成15年3月までの標準報酬月額が40万円で、被保険者期間が10年あり、平成15年4月以降の標準報酬額が40万円で、被保険者期間が20年の人はどうか…………約86.8万円の年金額となりました(目安です)。

 

年度が変わると年金額も見直し

年金は、法律による金額に原則として毎年度、一人当たりの手取り賃金の伸びや物価の伸びに応じた改定を行っています。

ただし、調整期間においてはマクロ経済スライドによる年金額の調整を行うようになっていて、今は調整期間にあたります。

 

今までは物価スライド特例措置によって実施されていませんでしたが、平成27年4月から特例水準が解消され、現在はマクロ経済スライドによって年金額が改定されるようになっています。

 

マクロ経済スライドの調整

マクロ経済スライドとは、保険料を負担する現役人口の減少や年金支給の負担増加につながる平均余命の伸びを年金に反映させることで、年金を一人当たりの手取り賃金や物価の伸びよりも抑える仕組みです。

この制度のおかげで、ますます年金制度が分かりにくくなっています。

 

おわりに

社会保険制度の問題は、ほとんど保険料を払っていないのに受け取れる人がいる世代間の不公平です。

現在、40歳以上の人は介護保険料を負担していますが、介護保険を利用している人は必ずしも会社員時代に保険料を負担してません。介護保険制度が2000年に始まったからです。

また、公的年金は現役世代の保険料を高齢者の年金給付にまわす賦課方式なので、少子高齢社会ほど現役世代の負担が増えます。

今、年金を受け取っている人は、平均で支払った保険料より多くの年金を総額でもらうことになりますが、今、保険料を負担している人は、支払った保険料より少ない年金を受け取るといわれています。

政府は年金制度を100年は維持できるといってますが、今の給付水準を維持できるとは言っておらず、保険料と年金給付のバランスが悪ければ、保険料を上げるか年金をカットする可能性は高いと思われます。

 

現在の年金制度だけでは老後の生活は保障されてないので、自助努力で何らかの手を打つ必要があると思った方がよいでしょう。

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