年金には、国が運営する公的年金と国以外が運営する私的年金があります。
公的年金の代表的なものには、国民年金と厚生年金があります。私的年金には、生命保険会社等が扱っている個人年金といったものがあり、こちらは加入が任意です。
公的年金は、制度が複雑で分かりにくいのですが、何かあったときの生活を支える一番身近な年金制度です。
厚生労働省白書によれば、老後世帯の7割が年金のみに頼った生活を送っていると答えているように、ライフプランやリタイアメントプランを考えるうえで、公的年金は一番重視しなければいけない項目です。条件を満たす限り、年金の支給が継続するのが公的年金の良い点です。
この記事では、公的年金制度の基本的な仕組みについて解説します。
この記事で分かること
- 公的年金の3つの特徴(国民皆年金・賦課方式・物価スライド)
- 誰が加入対象になるか
- 賦課方式と積立方式の違い
- マクロ経済スライドの仕組み
- 3つの支給事由(老齢・障害・死亡)
目次[閉じる]
公的年金のポイント(国民皆年金・世代間扶養・物価に連動)

公的年金には、国民皆年金、賦課方式(ふかほうしき)、物価スライドといった特徴があります。言い換えると、国民皆年金は強制加入、賦課方式は若者が年金受給者を扶養、物価スライドはインフレにも対応する、となります。
特徴と内容
- 国民皆年金 → 強制加入・原則すべての国民が対象
- 賦課方式 → 現役世代が年金受給者を扶養する世代間扶養
- 物価スライド → インフレに対応して年金額が改定される
こういった公的年金の特徴は私的年金にはなく、政府主導だからこそできる制度といえます。私的年金の場合は、自分で加入しなければ年金はありません。
また、年金の財源は自分が納めた保険料で、受け取れる年金も基本的に加入時に分かります。
以前は、雇用される側の年金には、民間の厚生年金と公務員の共済年金とがありましたが、不公平感があったことから、法改正によって2015年から一元化されました。
国民皆年金|20歳~60歳ならみんなが対象

会社に勤めている人には、厚生年金があります。会社員以外の自営業や学生の人であっても、日本に住む20歳以上60歳未満の人であれば、国民年金の被保険者に強制加入となります。
日本に住む20歳以上60歳未満ということは、国籍が関係ないので外国人も原則強制加入の対象になります。
- 公的年金 →20~60歳は原則加入
- 専業主婦も強制加入
専業主婦・主夫も強制加入
誤解している人がいますが、専業主夫、専業主婦であっても強制加入です。
専業主夫、専業主婦の配偶者が厚生年金の被保険者であって、収入がないのであれば国民年金の第3号被保険者になります。第3号被保険者だと、保険料を徴収されないので実感がないかもしれませんが、専業主夫も専業主婦も国民年金の被保険者になります。
| 被保険者区分 | 対象者 | 保険料 |
| 第1号被保険者 | 自営業者・学生・無職等 | 自分で納付(令和7年度:17,510円/月) |
| 第2号被保険者 | 会社員・公務員等 | 給与から天引き |
| 第3号被保険者 | 第2号被保険者の扶養配偶者 | 自己負担なし |
社会保険制度によって個人から国全体でリスクを負うことになり、安定した保険運営が可能となります。
社会保険制度に不満を感じる人が増加
最近は、社会保障費が増大となり過ぎて社会保険制度を疑問視する人も増加しています。
- 消えた年金問題
- 受給者の記録の改ざん
- 保険料の私的流用
- 公表データの改ざん
- 個人情報流出
- 天下り・利権問題
- 制度の勝手な改正
- グリーンピア、無駄遣いetc
持続可能性が疑問視されている原因
- 少子高齢化で現役世代の負担が増加
- 右肩上がりの制度設計 → 時代に合っていない
- 世代間格差の増大
賦課方式|現役世代が年金受給者を養う方式

現在の年金で行われている賦課方式というのは、年金の給付に必要となる財源を現役世代からの保険料でまかなうという方式です。
現役世代から年金受給者への世代間扶養ともいわれます。今の賦課方式は修正を加えた方式で運営されています。
賦課方式と積立方式の比較
賦課方式の他にも「積立方式」という年金方式があります。 積立方式では、働いている間に年金保険料を積み立てておき、将来の年金受給時に年金として受け取ります。
賦課方式と比べると、より自己責任が強いのが積立方式といえますが、日本では積立方式は採用されておらず、賦課方式が採用されてます。
| 方式 | 仕組み | 特徴 |
| 賦課方式(日本が採用) | 現役世代の保険料で受給者を支える | インフレに対応しやすい |
| 積立方式 | 自分が納めた保険料を積み立てて将来受取 | 自己責任が強い・インフレリスクあり |
少子高齢化が進んだことで世代間による人口の差が出ていますが、年金受給者の割合が多くなれば、当然、現役世代の負担が重くなります。
世代間の年金格差には賦課方式にも原因があります。
ただ、賦課方式には賦課方式のメリットがあります。
賦課方式は、積立方式よりもインフレに対応しやすいといわれています。積立方式だと、積み立てた保険料がインフレによって、将来受け取る年金が目減りするといったリスクがあります。その点、賦課方式であれば、世代間扶養なのでインフレによるリスクは少なくなります。
年金制度発足時の経済状況が原因で賦課方式を導入したという説や、官僚の不祥事が原因という説もあります。
物価スライド|世の中の物価や賃金に対応する仕組み

公的年金の年金額は法律で定められています。
しかし、法律で定められた金額のままだと、受け取っている年金額は変わってないように見えて、実際の価値は下がっていることになります。そのため、公的年金では物価の変動に応じて年金額が改定される仕組みがとられています。
保険料水準固定方式
平成16年の改正で、保険料水準固定方式とマクロ経済スライドという仕組みが取り入れられました。
保険料水準固定方式によって、平成16年から平成29年9月まで段階的に保険料が引き上げられていきました。
その結果、現在は厚生年金保険料率は18.3%、国民年金保険料は月16,900円(令和6年・令和7年値上げ→令和7年17,510円)で固定されています。
さらに、手取り賃金や物価変動率を加味して保険料が決定されます。
- 厚生年金保険料率:18.3%(固定)
- 国民年金保険料:令和7年度 月17,510円(毎年度改定)
マクロ経済スライド
マクロ経済スライドは、年金給付と保険料負担に応じて調整する仕組みです。現役世代の減少と平均余命の伸びを考慮した率によって、給付水準を調整するという仕組みです。
本来であれば、物価が上昇すればそれに伴って年金も改定されますが、このマクロ経済スライドによる調整率によって年金の上昇が抑えられます。つまり、物価が上昇した分だけ年金も上昇するわけでなく、調整率分だけ受け取る年金が少なく抑えられます。
年金の対象となる主な原因は老齢、障害、死亡

高齢者に支払われる老齢年金については多くの日本人が知ってると思いますが、公的年金は高齢者が受け取る老齢年金だけではありません。
公的年金の主な支給事由には、老齢、障害、死亡の3つがあります。
国民年金では、老齢は老齢基礎年金、障害は障害基礎年金、死亡は遺族基礎年金として給付されます。 厚生年金では、老齢は老齢厚生年金として、障害は障害厚生年金、死亡は遺族厚生年金として給付されます。
- 老齢 → 老齢基礎年金・老齢厚生年金
- 障害 → 障害基礎年金・障害厚生年金
- 死亡 → 遺族基礎年金・遺族厚生根金
| 支給事由 | 国民年金 | 厚生年金 |
| 老齢 | 老齢基礎年金 | 老齢厚生年金 |
| 障害 | 障害基礎年金 | 障害厚生年金 |
| 死亡 | 遺族基礎年金 | 遺族厚生年金 |
- 老齢年金:65歳から生きている限りずっと支給される終身年金
- 障害年金:一定以上の障害が認められる場合に支給
- 遺族年金:被保険者が死亡した場合に残された遺族に支給
老齢年金は条件を満たす限り支給が継続されるため、長生きリスクへの備えとして重要な役割を果たします。
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今回のまとめ
公的年金の3つの特徴
| 特徴 | 内容 |
|---|---|
| 国民皆年金 | 20歳〜60歳は原則強制加入 |
| 賦課方式 | 現役世代の保険料が年金財源・インフレに強い |
| 物価スライド | 物価変動に応じて年金額が改定される |
3つの支給事由
- 老齢(65歳〜):老齢基礎年金・老齢厚生年金
- 障害:障害基礎年金・障害厚生年金
- 死亡:遺族基礎年金・遺族厚生年金
公的年金はライフプランを考える上で欠かせない制度です。まず公的年金でどれだけカバーされるかを把握した上で、不足分をiDeCoやNISA等で補う計画を立てることが重要です。
免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の金融商品の推奨ではありません。年金保険料・制度内容は変更される場合があります。本記事執筆時点(2026年4月)の情報です。

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