iDeCoは掛金全額所得控除・運用益非課税・受取時優遇の3段階で節税できる制度です。
2026年12月に予定される掛金上限の引き上げ、NISAとの使い分けを1級FP技能士が解説します。
この記事から分かること
- iDeCo(個人型確定拠出年金)の基本的な仕組みと加入条件
- iDeCoの3つの節税メリット(掛金・運用益・受取時)
- 2026年12月に予定されている掛金上限額の引き上げ内容
- iDeCoのデメリットと、無理のない範囲で活用するための考え方
- NISAとiDeCo、目的別の使い分け方
iDeCo(イデコ)とは?制度の基本
自分で運用して年金を作っていく制度に確定拠出年金というものがあります。
確定拠出年金には、企業が掛け金を拠出して従業員自身が商品を選ぶ企業型と、個人が加入して自分で運用する個人型があります。
確定拠出年金の個人型は前からありましたが、対象者の拡大で名称がiDeCo(イデコ)になりました。
iDeCoは原則60歳にならないと受け取れないので、老後資金作りに限定されますが、税金の面で大きなメリットがあります。
iDeCoの仕組みと加入条件

加入できる年齢と対象者
iDeCoで運用しても受け取れるのは原則60歳以降ですが、数々のメリットがあります。
iDeCoは掛け金を自分で出して、その掛け金を投資信託や元本確保の商品から3つ以上選んで運用することに特徴があります。
iDeCoは毎月の掛け金も自分で決め、運用も自分でするのですが、運用結果が将来受け取る年金に影響します。損を嫌がって元本保証の商品で運用してると、減りませんが増えもしません。
加入できるのは原則20歳以上65歳未満です。年齢の引き上げも検討されてます。
職業別(会社員・主婦・自営業)の掛金上限【現行】
掛金は月5,000円から1,000円単位で設定できますが、加入者の区分によって上限額が異なります。
| 区分 | 掛金上限(月額) |
| 第1号被保険者(自営業者等) | 6.8万円 |
| 第2号被保険者(会社員等) | 1.2万円〜2.3万円(企業年金の有無により異なる) |
| 第3号被保険者(専業主婦・主夫等) | 2.3万円 |
自営業者の上限が高く設定されているのは、会社員と違って上乗せ部分の厚生年金がないためです。
自営業者は、iDeCoなどの制度を活用しないと将来受け取れる年金額が少なくなりやすいことは、意外と知られていないかもしれません。
【重要】2026年12月から掛金上限が引き上げ予定
年金制度改正法にもとづき、2026年12月からiDeCoの掛金上限額が次のように引き上げられる予定です。
| 区分 | 現行 | 2026年12月以降(予定) |
| 第1号被保険者(自営業者等) | 6.8万円 | 7.5万円 |
| 第2号被保険者(会社員等) | 1.2万円〜2.3万円 | 6.2万円(企業年金との合算で上限) |
| 第3号被保険者 | 2.3万円 | 変更なし(2.3万円) |
特に第2号被保険者(会社員)は、企業年金の有無にかかわらず上限が一本化される形で大きく引き上げられる予定です。
掛金を増やしたいと考えている会社員の方は、この改正を待って増額を検討するのも一つの方法です。
※制度改正の内容は今後の法令の成立・施行により変更される可能性があるため、実施直前に最新情報をご確認ください。
iDeCoの最大の魅力|3つの節税メリット
ここまで税制面で優遇される制度は珍しいと思うほど、iDeCoは税制面で優遇されています。
掛金が全額所得控除になる
iDeCoの掛金は、その全額が所得控除の対象になります。
所得が減ることで、その年の所得税と翌年の住民税が軽減されます。
たとえば、配偶者(専業主婦)と子ども1人の世帯で年収700万円の方が毎月2万円をiDeCoに拠出した場合、年間4万5千円以上の節税効果が見込めます(課税所得や控除の状況により変動します)。
自営業者の場合、上限の月68,000円を拠出すると、所得500万円の方で約24万円の節税効果が期待できるケースもあります。
リスクを取らずにこれだけの効果が見込めるのは、iDeCoの大きな特徴です。
運用益が非課税になる
株式や投資信託で利益が出ると、利益に対して20.315%の税率で課税(所得税、住民税、復興特別所得税)されます。
これがiDeCo口座で運用なら利益が非課税です。
また、iDeCoの対象になる金融商品は投資信託からなので投資初心者向きです。
国内株式、国内債券、外国株式、外国債券を組み合わせたものなので分散投資の効果も期待できます。
iDeCoは長期・分散・積立が前提なので原則60歳まで引き出せませんが、狼狽売り防止に役立ちます。
受け取るときも税制優遇がある
iDeCoは受取時の税金も優遇されてます。
iDeCoを受け取る方法には、年金として受け取る方法、一時金として受け取る方法、二つを併用する方法の3方法があります。
- 年金として受け取る方法
- 一時金として受け取る方法
- 年金と一時金を併用する方法
一時金として受け取る場合の税額は、「(一時金-退職所得控除)×1/2」で計算されます。
退職所得控除は、掛金の拠出期間(勤続年数に相当)が長いほど有利になります。
| 拠出期間 | 退職所得控除の計算式 | 控除額の例 |
| 20年以下 | 40万円×拠出期間 | 30年拠出で1,500万円 |
| 21年以上 | 800万円+70万円×(拠出期間-20年) | 40年拠出で2,200万円 |
iDeCoのデメリットと注意点
| 注意点 | 内容 |
| 原則60歳まで引き出せない | 老後資金専用の制度であるため |
| 価格変動リスクがある | 元本保証でない商品では損失が出ることもある |
| 手数料がかかる | 元本保証型の商品では、手数料がリターンを上回る可能性も |
| 所得がなければ効果が薄れる | 所得控除は、課税所得がある人ほど効果が大きい |
無理のない範囲で活用することが大切
iDeCoやNISAへの積立を優先しすぎるあまり、日々の生活が苦しくなってしまうケースも見られます。
NISAは途中で売却できますが、iDeCoは原則60歳まで引き出せないため、無理な掛金設定にはより注意が必要です(掛金額は途中で変更可能です)。
生活資金や近い将来に使う予定のあるお金までiDeCoに回さず、あくまで余裕資金の範囲で活用することが大切です。
NISAとiDeCoの違い|どちらを優先すべきか
NISAとiDeCoは、どちらが優れているかを比べる制度ではなく、目的が異なる制度として役割を分けて考えるのが基本です。
| 項目 | NISA | iDeCo |
| 自由度 | 高い(いつでも引き出し可能) | 低い(原則60歳まで引き出し不可) |
| 節税効果 | 運用益が非課税 | 掛金・運用益・受取時の3段階で優遇 |
| 向いている用途 | 老後資金以外(住宅・教育・将来の備え等) | 老後資金専用 |
一般的な目安としては、次のように考えると分かりやすくなります。
- 老後資金 → iDeCo
- それ以外(住宅・教育・将来の備えなど) → NISA
- 生活資金・近い将来に使うお金 → 投資に回さない
まとめ
☐ iDeCoは掛金全額所得控除・運用益非課税・受取時優遇の3段階で節税できる制度
☐ 2026年12月から、第1号被保険者は7.5万円、第2号被保険者は6.2万円に掛金上限が引き上げ予定
☐ 原則60歳まで引き出せないため、余裕資金の範囲で無理なく活用する
☐ 老後資金はiDeCo、それ以外の資金はNISAという役割分担で考える
【免責事項】
本記事は2026年8月時点の情報にもとづいた一般的な情報提供を目的としており、特定の運用成果を保証するものではありません。2026年12月に予定されている制度改正の内容は、法令の成立・施行により変更される場合があります。

コメント Comments
コメント一覧
コメントはありません。
トラックバックURL
https://yokohama-lifeplan.com/money/what-is-ideco/trackback/