公的年金から受け取れる年金の種類と受け取るための加入期間

社会保険

公的年金には国民年金と厚生年金保険があります。

年金というと老後に受け取るものと思うかもしれませんが、実は老後だけに限った話ではありません。

私も社会保険労務士の学習をするまでは老後に受け取るものだけと思ってました。

また、老後になれば誰でも年金を受け取ることができると思ってましたが、年金を受け取るには要件があることを知りました。

今回は年金の主な種類と年金を受け取るための要件について見ていきます。

公的年金から受け取れる年金の種類

国民年金と厚生年金保険が主な年金給付として定めてるものは、老齢年金の他に障害年金と遺族年金があります。

老齢年金には国民年金の老齢基礎年金と厚生年金保険の老齢厚生年金がありますが、障害年金と遺族年金にもあります。

障害年金は障害基礎年金と障害厚生年金が、遺族年金には遺族基礎年金と遺族厚生年金があります。

保険事由と年金

国民年金 厚生年金給付
老後(65歳) 老齢基礎年金 老齢厚生年金
障害 障害基礎年金 障害厚生年金
死亡 遺族基礎年金 遺族厚生年金

 

老齢年金(老齢基礎年金と老齢厚生年金)は65歳になると年金を受け取れますが、障害年金(障害基礎年金と障害厚生年金)は被保険者が事故で障害を負った時、遺族年金(遺族基礎年金と遺族厚生年金)は被保険者が死亡した時に年金を受け取れます。

老齢年金と障害年金は本人に、遺族年金は遺された遺族が受け取ることになります。

一人一年金の原則

年金制度には、一人一年金の原則があるので2つの年金を受け取ることはできません。

しかし、同一の事由によって発生した年金は受け取ることができることがあります。

国民年金の被保険者期間しかない人(自営業者等)が65歳になったら、老齢基礎年金を受け取れます。

国民年金の第2号被保険者(会社員等)であった期間がある人が65歳になったら、老齢基礎年金と老齢厚生年金を受け取れます。

同じく国民年金の被保険者期間しかない人が要件を満たす障害が残ったら、障害基礎年金を受け取れます。

国民年金の第2号被保険者の人が事故にあって要件を満たす障害が残ったら、障害基礎年金と障害厚生年金を受け取れます。

国民年金の被保険者期間のみの人が死亡して18歳未満の子がいれば、遺族基礎年金を遺族が受け取れます。

国民年金の第2号被保険者の期間がある人が死亡して遺族がいれば、遺族基礎年金と遺族厚生年金を受け取れます。

 

また、第2号被保険者だった夫を亡くした65歳以上の妻は、自分の老齢基礎年金と遺族厚生年金を受け取ることができます。この場合に妻に障害基礎年金の受給資格があれば、障害基礎年金と遺族厚生年金の併給が可能(選択できる)です。

老齢年金を受け取るには10年以上の加入期間が必要

老齢基礎年金を受け取るためには、10年以上の受給資格期間が必要です。以前は25年でしたが、それだとニートが受け取れず、保険料の払い損になってしまうことから短縮されました。

受給資格期間は、保険料納付済期間、保険料免除期間、猶予期間、合算対象期間をいい、全部足して10年以上必要です。

10年に足らない場合は、未納の保険料を支払ったり、任意加入することで10年の受給資格期間を満たすことができます。

 

老齢厚生年金の方は、老齢基礎年金の受給資格(10年)を満たしていれば、たとえ1カ月しか加入していなくても支払われます(本来支給の老齢厚生年金)。ただし、年金額も1か月分なので少ないです。

障害年金を受け取るには

障害基礎年金の受給要件

  • 初診日のある月の前々月までの年金の加入期間のうち、保険料納付済期間と免除期間を合計した期間が2/3以上ある
  • 初診日の属する月の前々月までの1年間に保険料未納期間がないこと
  • 20歳前に初診日がある

 

障害厚生年金の受給要件

  • 厚生年金保険の被保険者期間に初診日がある病気やケガであること
  • 初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間のうち、保険料納付済期間と免除期間を合計した期間が2/3以上ある
  • 初診日の前日において初診日の属する月の前々月までの1年間に保険料の未納期間がないこと

遺族年金を受け取るには

遺族基礎年金を受け取れる人は、子(18歳になった年度の3月31日まで)または子がいる配偶者です。つまり18歳未満の子がいなければそもそも遺族基礎年金の対象ではありません。

また、死亡した人の要件もあり、以下のいずれかを満たす必要があります。

  • 国民年金の被保険者だった
  • 国民年金の被保険者であった人が国内に住所がある60歳以上65歳未満だった
  • 死亡した時に老齢基礎年金の受給権者
  • 死亡した時に老齢基礎年金の受給資格期間を満たしていること

 

加えて死亡した人の保険料の納付要件があります。

  • 死亡日の前々月末までに保険料納付済期間と免除期間を合計した期間が2/3以上であること
  • 死亡日前日において、死亡日の前々月末までの1年間に保険料の滞納がないこと

 

遺族厚生年金を受けるには短期要件または長期要件といった要件を満たす必要があります。

短期要件は加入中の人が死亡した場合の要件をいい、長期要件は厚生年金の受給資格期間を満たした人が死亡した場合の要件です。

まとめ

・年金は老齢年金だけではない

・年金の主なものには老齢年金、障害年金、遺族年金がある

・老齢年金を受け取るには10年の加入期間(受給資格期間)が必要

・年金を受け取るには受給要件を満たす必要がある

・保険料が未納だといざという時に年金が受け取れない

コメント

タイトルとURLをコピーしました