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派遣社員でも社会保険に入れる?条件・注意点・よくある誤解を専門家が解説

派遣社員でも社会保険に入れる?条件・注意点・よくある誤解を専門家が解説

今や派遣で働くことは珍しいことではなくなりました。 派遣の解禁をめぐっては、当初はパートなどを対象に限定するはずでしたが、そうはなりませんでした。

派遣解禁に携わった教授の中にはこんなはずではなかったといった人もいたそうです。何かと非難されることの多い派遣ですが、派遣解禁はデメリットばかりとは言えません。

派遣は自分の希望を伝えて自由に働くこともできますし、比較的採用されやすいので、未経験からでも様々な職種を経験することが可能です。

働く人も多くなった派遣ですが、派遣は就業形態が特殊なため、その特殊性を理解せずに就労している派遣社員は多いです。

 

この記事から分かること

  • 派遣社員でも条件を満たせば社会保険に加入できる仕組み
  • 派遣労働者の使用者責任は誰が負うのか
  • 雇用保険・労災保険・厚生年金・健康保険・介護保険それぞれの適用条件
  • 2024年10月に拡大された「特定適用事業所」のルール
  • 2028年10月に予定されている雇用保険の適用拡大

 

目次[閉じる]

【結論】派遣社員でも条件を満たせば社会保険に加入できる

結論から言うと、雇用保険・健康保険・厚生年金は、一定の労働時間・収入条件を満たせば、派遣社員であっても加入が義務付けられます。

「派遣は社会保険に入れない」というのは誤解です。

派遣社員は派遣会社(派遣元)と労働契約を結ぶため、社会保険の手続きは派遣元が行います。

 

◎このパートのポイント

  • 派遣は派遣会社(派遣元)との契約
  • 社会保険の手続きは派遣元が行う
  • 一定の労働時間・収入条件を満たせば加入が義務

 

派遣社員の使用者責任は誰が負うのか

社会保険の被保険者

派遣労働者は、派遣元の会社と労働契約を結んで派遣先に派遣され、派遣先の指揮命令のもとで働きます。

労働基準法では、労働者が業務中に誤って第三者に損害を与えたりケガをさせたりした場合の責任(使用者責任)を、使用者に負わせています。

派遣労働者の場合、労働契約を結んでいるのは派遣元のため、使用者責任は原則として派遣元が負います。

ただし、労働者派遣の就業実態上、派遣元に責任を問うのが難しい事項(労働時間・休憩・安全衛生に関する事項など)については、労働基準法の特例として、派遣先が使用者責任を負うこととされています。

 

社会保険とは何か

社会保険とは、国や自治体が保険者となって運営する公的な保険制度で、民間の生命保険・医療保険とは仕組みが異なります。

具体的には、雇用保険・労災保険・国民年金・厚生年金・健康保険・介護保険などが該当します。

 

社会保険の最大の特徴は、対象要件を満たせば本人の意思にかかわらず強制的に加入する点です。

「加入したくない」「扶養に入っていたい」と希望しても、要件を満たしていれば加入が必要です。

また、社会保険には2年の時効があり、要件を満たしていたにもかかわらず未加入だった場合、最大2年分の保険料を遡って請求される可能性があります。

 

社会保険が適用される労働者

 

派遣労働者が加入する社会保険について要件を整理していきます。

 

雇用保険の適用(派遣元で加入)

雇用保険は、次の適用除外に該当しない限り、加入対象になります。

  • 1週間の所定労働時間が20時間未満
  • 同一の事業主の適用事業に継続して31日以上雇用されることが見込まれない
  • 季節的に雇用される人で、4か月以内の期間を定めて雇用される、または1週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満に該当する など

 

なお、2028年10月には、この「週20時間」という基準が「週10時間」に引き下げられる法改正が既に決定しています。

今後、より短時間の勤務でも雇用保険の対象になる見込みです。

 

労災保険は雇用形態を問わず適用

 労災保険については、労働者を使用する事業は原則的に適用されるとされているので、雇用形態にかかわらず適用されます。
違法就労であっても同様です。
 

厚生年金の適用条件

公的年金には国民年金と厚生年金がありますが、短時間労働者に該当しなければ、原則として厚生年金が適用されます。

 

短時間労働者に該当する人(週または月の所定労働時間が通常の労働者の4分の3未満)は、次のいずれかに該当すると厚生年金の適用が除外されます。

 

  • 1週間の所定労働時間が20時間未満
  • 継続して2か月を超える雇用の見込みがない
  • 報酬の額が月額88,000円未満
  • 学生である

 

なお、この4分の3未満の短時間労働者が厚生年金・健康保険に加入するには、勤務先が「特定適用事業所」に該当している必要があります。

 

特定適用事業所の企業規模要件は段階的に引き下げられており、2024年10月からは厚生年金の被保険者数51人以上の企業が対象です(2016年10月:501人超→2022年10月:101人超→2024年10月:51人以上)。

 

派遣元がこの規模に該当するかどうかは、加入可否を左右する重要なポイントです。

 

 

さらに、以下に該当する人は厚生年金の適用除外になります。

 

  • 臨時に使用される人で、日々雇用される人(1か月以内)
  • 臨時に使用される人で、2か月以内の期間を定めて使用される人
  • 所在地が一定しない事業所に使用される人
  • 季節的業務に使用される人(4か月以内) など

 

健康保険の適用

健康保険は、派遣元が法人であれば原則として適用されます。

適用除外の条件は、厚生年金とほぼ同様です。

 

健康保険には年齢の上限はありませんが、75歳になると後期高齢者医療制度に移行するため、原則として75歳未満までが加入対象になります。

 

介護保険の適用

介護保険は、40歳以上の医療保険加入者が対象になります。該当すれば派遣労働者も対象です。  

  • 派遣労働者 → 派遣元の社会保険に加入
  • 適用除外に該当しなければ原則として加入
  • 40歳以上の医療保険加入者→介護保険の対象

 

派遣社員の社会保険まとめ

保険の種類 加入条件の目安 加入手続き
雇用保険 週20時間以上/31日以上の雇用見込み 派遣元
労災保険 雇用形態を問わず原則適用 派遣元(事業所単位)
厚生年金・健康保険 週20時間以上・月額賃金8.8万円以上・雇用見込み2か月超・非学生(+派遣元が特定適用事業所であること) 派遣元
介護保険 40歳以上の医療保険加入者 派遣元

 

よくある誤解と正しい知識

誤解 正しい知識
派遣は社会保険に入れない 条件を満たせば加入できる
派遣先が手続きする 派遣元が手続きする
日雇労働者は除外される 条件を満たせば加入対象になることがある
社会保険料は全額自己負担 派遣元と折半

 

まとめ

  • 派遣労働者の使用者責任は、原則として派遣元会社が負う
  • 社会保険は要件を満たせば強制的に適用される
  • 派遣社員でも、条件を満たせば派遣元の社会保険に加入する
  • 厚生年金・健康保険の短時間労働者向け適用除外は「2か月を超える雇用見込みがないこと」が基準(2022年10月改正)
  • 短時間労働者の加入には、派遣元が「特定適用事業所」(2024年10月時点で被保険者数51人以上)に該当している必要がある

 

 

免責事項

本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の雇用契約や派遣元の状況によって適用条件は異なります。詳細はハローワークや年金事務所、専門家にご確認ください。本記事の内容は執筆時点の情報に基づいており、法令等の内容は今後変更される場合があります。

 

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