日本銀行の政策金利引き上げの影響で大手金融機関が10月1日から変動金利を引き上げました。
据え置きの金融機関もありますが、多くの金融機関は店頭金利を0.15%引き上げました。
大手金融機関が変動金利を引き上げるのは17年ぶりとのことです。
それでも金利は低水準ですが、月の返済が数千円増えると心理的にいい気はしないですね。
店頭金利引き上げで適用金利も引き上げ
私がファイナンシャルプランナーを始めた時は、多くの金融機関の店頭金利は2.375%でした。
その後2.625になったり、2.875になったりしましたが、17年前からは長く2.475%でした。
この2.475%という金利は店頭金利といわれるもので、ローンの基準とされる金利です。
借入れた時期や借りる人の属性によってここから優遇幅(優遇金利)がとられます。
たとえば、優遇幅が1.8なら優遇金利は1.8%です。
今だと2%の人もいますが、私がファイナンシャルプランナーになった時は、優遇金利が1%を超えることはなく、せいぜい0.7%だったと思います。
そして、実際に適用される金利は、店頭金利から優遇金利を引いた数値で、これは適用金利といわれています。
店頭金利、優遇金利、適用金利の関係を表すと以下のようになります。
店頭金利 ー 優遇金利 = 適用金利
店頭金利が2.475%、優遇金利が2.0%であれば、2.475% ー 2.0% =0.475%が適用金利ということです。
今回0.15%上昇したので、この例であれば2.625%ー2.0%=0.625%になることになります。
変動金利が0.15%上昇する影響
変動金利が0.15%上昇するといっても、利用者に与える影響は同じではありません。
ほとんど返済し終わってる人がいれば、まだまだ借りたばかりという人もいます。
また、借入金額や年収によっても金利上昇が利用者に与える影響は異なるからです。
6000万円を5年前に0.475%で35年のローンを借りたのであれば、月々の返済は15万5千円くらいです。
そこから0.15%の金利が上昇すると、15万8千5百円くらいになり、毎月3千5百円くらい負担が増すことになります。
6千万円借りて、これくらいならたいしたことないと思うかもしれませんが、今後も金利上昇が続くようならボディーブローのように効いてきます。
だからといって固定金利がいいかというとそうとも言い切れません。今の固定金利が1%くらい変動金利より高いからです。
このまま変動金利が上昇を続ければ固定金利を選ぶのがよいという結果になることもありえますが、過去に変動金利が上昇して固定金利に乗り換えた人の中には、再び変動金利に変えて、借り換え費用で何十万円も払うことになった人もいます。
金利が上昇しても賃金や報酬がそれに伴って上昇すればいいですが、そうでないと日本経済から取り残されるように負担ばかりが増していきます。
しかし、一番問題なのは安いから、借りられるギリギリだったから変動金利にしたという人です。
住宅ローンで破綻する多くの人は、金利の変動よりも最初から無理のあるローンを組んでるからです。そういう人は今後起こりえるリスクと向き合うことも必要です。
私ならしませんが、繰り上げ返済をして不安を軽減させることもできます。人によっては借り換えが最善の人もいます。
変動金利は半年ごとに見直しがある
住宅ローンは大きく分けると、変動金利型、固定金利型、固定期間選択型の3つがあります。
変動金利は短期プライムレートを基準に金利が見直され、固定金利は10年物国債を基準に見直されます。
短期プライムレートは、金融機関が優良企業に対して、1年以下の貸し出しをする際の基準となる金利です。金融機関の短期プライムレートは日本銀行の政策金利に影響されます。
変動金利の基準とされる短期プライムレートはずっと変わってませんでした(1.475)。
それが7月に引き上げられたので、多くの金融機関で変動金利も見直されました。
変動金利が上昇したといっても、すぐに毎月の返済額が変わるとは限りません。
変動金利は、半年ごとに金融機関が適用金利を見直しますが、5年ルールといって、毎月の返済金額は5年間は変わらない仕組みがあるからです。
また、見直されて増加する場合も、1.25倍までが上限とされている125%ルールもあります。
5年ルールや125%ルールが適用されないローンもありますが、適用されるローンが多いです。
とはいえ、直ぐに毎月の返済額が上がらないというだけで、実際の金利は上がっています。
毎月の返済額は変わってませんが、返済額に占める利息の割合が増えているため、返してる元金が減ることになります。つまり返した借金が減ることになります。
おわりに
ネット、大手金融機関の店頭金利が上昇しましたが、実際の金額はそれほどではないかもしれません。
直ぐに急激な上昇があるとは考えにくいですが、今後金利が上昇することを考えて行動するとリスクに対処しやすくなります。