「SNSやってると、NISAやってるのが当たり前と錯覚しますが、やってない人は多いです」
2014年1月に導入されたNISA制度は、2024年から大幅に拡大されました。
投資をすると利益に約20%の税金がかかりますが、NISAを使えば非課税になります。
NISAは長期の積み立て投資向きと見られてるので、若い世代に有利と見られてますが、50代以降の世代にも有利な制度です。
そもそも投資に遅いということはなく、始めるのを先送りするほど効果が薄くなっていきます。
NISA(小額投資非課税制度)とは
NISAは、イギリスのISAという制度をモデルにした制度です。ISAの日本バージョンなのでNISAです。
普通は投資をすると利益に約20%の税金がかかりますが、NISA口座を利用して購入した投資信託や株には利益が出ても課税されません。
NISAの制度は2014年からありましたが、つみたてNISAは年間40万円まで、一般NISAは年間120万円まででした。また、非課税期間もあり、つみたてNISAで20年間、一般NISAで5年間まででした。
さらに、つみたてNISAか一般NISAのどちらかしか選べない中途半端なものでした。
2024年から始まった新NISAでは、非課税枠が拡大され、非課税期間が無期限になり、つみたて枠(つみたて投資枠)と一般投資枠(成長投資枠)との併用が可能となりました。
新NISA
つみたて投資枠 | 成長投資枠 | |
年間投資枠 | 120万円 | 240万円 |
非課税期間 | 無期限 | 無期限 |
限度額 | 1800万円(うち成長投資枠は1200万円まで) | |
投資対象商品 | 一定の投資信託 | 株式、REIT、投資信託など |
非課税限度額はつみたて投資枠と成長投資枠を合わせて1800万円ですが、そのうち成長投資枠は1200万円までです。
つみたて投資枠は投資信託だけですが、成長投資枠は投資信託に限られません。反対に成長投資枠も含めた全部を投資信託で運用することも可能です。
口座開設期間と非課税期間が無期限に
2023年までの旧NISAは、2023年までに口座を開設して始めないと対象となりません。新NISAからは、いつまでに口座を開設しなければいけないという期限はなくなります。
旧NISAで投資した分は、新NISAとは別に引き続き期限まで利用できます。
旧NISAでは、非課税期間が終了したら、引き続き非課税を利用する(ロールオーバー)か課税口座に移すかが必要でしたが、新NISAでは無期限になるのでそういった選択は必要なくなります。20年を超える長期の積み立ても可能です。
投資枠の拡大と再利用
旧NISAでは、一般NISAとつみたてNISAはどちらかしか選べませんでした。
これが新NISAでは、成長投資枠で年間240万円、つみたて投資枠で年間120万円の併用が可能になりました。合計すると最大で年間360万円まで利用できます。
投資信託を毎月3万円に設定して積立投資をしながら、成長投資枠を使って個別株を10万円購入するといったこともできます。成長投資枠で投資信託も買えるので、どちらも投資信託で買い付けることも可能です。つみたて投資枠は設定が必要。
総額では最大1800万円までが非課税になり、このうち成長投資枠の上限は1200万円です。
ただし、売却すると翌年にその分の枠の再利用が可能になります。
例えば、50万円で購入した商品が100万円になっていて、それを売ったら100万円と50万円の枠を手にできます。復活した枠を使って再び非課税投資ができるということです。
といっても積立て投資を長期でするのであれば、売却せずに保有を続けた方が運用額が大きいのでスケールメリットを活かせます。
50代以上にもNISAがおすすめな理由
投資信託は分散投資が効くといわれてますが、分散投資をしても価額の上下は別なので、短期で見ると損失が出ることは多いです。
短期だと基準価額がどうなるか予想するのは難しいですが、20年30年と長くなるほどリスクは減り、平均リターンに収束していきます。
昔は50代以上というと引退のことも考えないといけない歳でしたが、今は70代でも働いている人は多いです。
今の平均寿命は男性で81歳、女性で87歳なので、50代60代でもまだまだお金が必要です。
例え65歳で現役を引退したとしても、これから先を考えたら投資は必要です。わざわざ貧困な生活をするのではなく、投資を続けながらゆとりある生活を目指した方が賢明です。そう考えると50代、60代からNISAを始めても遅いということはないことになります。
また、50代60代ならそれまでに貯金してきた資産があるので、これを少しでもNISA口座で運用すれば、資産の枯渇を先延ばしできます。
例えば、65歳までに2000万円を貯めた人が、毎月10万円ずつ取り崩していくと、81歳で資金が枯渇します。
しかし、年4%で運用しながら取り崩せば、92歳まで伸ばすことができます。NISA口座でなかったら利益に課税されるので、もっと早く資金が枯渇します。
NISAのデメリット
とはいえNISAにもデメリットはあります。
よくいわれるのは損益通算ができないことです。
損益通算は、株でマイナスが出たら他の株の利益から差し引くことができる制度です(税金が抑えられる)。
損益通算ができないのは、損切りが必要な短期利益を目的とした人には向きません。
一方で個別株に投資しても長期投資を目的とするならNISAを活かせます。
また、株式や投資信託は元本保証がないので、NISAであっても損するリスクはあります。
岸田ショックで株式市場が下落した時、マイナスが話題となりました。マイナスになっただけで慌てて売却したような人は、先に勉強が必要かもしれません。
iDeCoに比べると自由がありますが、NISAの節税の効果はiDeCoに負けます。
iDeCoは拠出時、運用時、受取時の3回で節税効果がありますが、NISAは運用時だけです。
といってもiDeCoは受け取れるのが60歳からなので、老後資金はiDeCo、それ以外はNISAと分けてどちらも活用するのがおすすめです。
まとめ
新NISA
つみたて投資枠 | 成長投資枠 | |
年間投資枠 | 120万円 | 240万円 |
非課税期間 | 無期限 | 無期限 |
限度額 | 1800万円(うち成長投資枠は1200万円まで) | |
投資対象商品 | 一定の投資信託 | 株式、REIT、投資信託など |
20代30代は少額でも早く始めたほうが複利の効果に期待できます。一方で50代60代はそれまでに蓄えた資産を活用できます。
投資未経験の人は、少額から様子を見つつ、勉強していくのがいいと思います。